2人で食事をとり終え、朱莉が席を立つ。「翔さん。後片付けは私がしますので時間まで休んでいて下さい」「片付けも俺がやろうと思っていたんだけど?」「いいえ、大丈夫ですよ。その替わり、もし蓮ちゃんが目を覚ましたらお願い出来ますか?」「ああ。それなら任せてくれ」翔はリビングへ向かい、ベビーベッドで眠っている蓮の顔を覗きこみながら思った。(うん。さっきの会話……まるで本当の夫婦みたいだったな。朱莉さんと本当の家族になる……悪い話ではないかもしれない)キッチンの方を見ると、朱莉はエプロンをして食器洗いをしていた。(そうか。きっと琢磨は朱莉さんのああいう家庭的な所が好きになったのかもな……)そこまで思い、暗い気持ちが蘇ってきた。(そうだった……俺はもう琢磨から縁を切られたんだっけな。自分から切った時とは違う喪失感だ……)その時、翔のスマホに着信が入ってきた。相手は姫宮からだった。内容はお宮参りの件についてだった。今日はお疲れさまでしたと書かれていたので、翔はこの後、写真を撮りに出かけることになっている旨を書いて姫宮に送信した。(そう言えばうっかり朱莉さんに記念式典の話をするのを忘れていた。各社のCEOも来ると言っていたな。他にも関連企業の重要ポストも来ると言っていたし。……あいつがやってきたらどうしよう……。何処のCEOがやって来るのか知らされていないし、尋ねてもきっと祖父は答えてくれないだろう。父なら知ってるだろうか……? でも俺には教えるなと口止めされているかもしれない。あいつは俺とは違って思慮深い男だから誘われても来ない可能性の方が高いが……。とにかく何があっても絶対に朱莉さんとあいつを会わせるわけにはいかない。会えば絶対驚くに決まっている。当日はなるべく俺の側から離れない様に言っておかないと……)今から憂鬱な思いになり、翔はため息をついた——**** 目が覚めた蓮のオムツ交換とミルクを上げると朱莉は翔に声をかけた。「翔さん。そろそろ写真を撮りに行きませんか?」持参してきたノートパソコンで仕事をしていた翔が顔を上げた。「ああ、そうか。もうそんな時間なんだね。よし、それじゃ行こうか」「あの……お仕事されてましたよね? 大丈夫ですか? 何なら私1人で行っても構いませんけど?」 すると翔が立ち上った。「何言ってるんだ。俺は蓮の父親な
Terakhir Diperbarui : 2025-05-11 Baca selengkapnya