翌朝——「おはよう、翔」早目に出社していた修也はオフィスに入って来た翔に笑顔で挨拶した。「あ、ああ……おはよう。修也」翔は何となくばつが悪そうに修也をチラリと見ると椅子に座りPCの電源を入れてメールのチェックをしていたとき。突然デスクの上にトンと紙コップに入ったコーヒーが置かれた。顔を上げるとそこには笑顔の修也が立っていた。「はい、翔。朝のコーヒーだよ」「あ、ああ……ありがとう。修也」「うん。どういたしまして。あれ? 翔。何だか顔色が悪くない?」翔の顔を見て修也は表情が曇った。「実は昨日から少し吐き気が合って……吐き気は収まったんだが今朝から少し腹痛があってね……」「え? 腹痛があるのに出社してきて大丈夫なのかい?」「馬鹿言え、腹痛くらいで休むわけにはいかないだろう? 俺のことは大丈夫だからもう構うな。お前は自分の仕事をしろ」シッシッとまるで手で追い払われるような仕草迄されては、修也は引き下がざるを得なかった。「うん分かったよ。翔、でも苦しかったら我慢しないで言ってくれるかい? 僕は翔の秘書なんだから」「ああ、分かってる」そしてそれから約1時間後——「ウウ……ッ」翔が呻き、突然デスクの上に突っ伏してしまった。「え? 翔!?」修也は慌てて立ち上がり、翔の元へ駆け寄った。「翔! 翔!?」 必死に修也は呼びかけるも、翔は返事が出来ない。額には脂汗が浮いており、顔色は紙の様に白くなっていた。「た、大変だ!」これはただ事ではないと感じた修也は急いで電話に手を伸ばした——****——その頃。家事を全て終わらせた朱莉は蓮と一緒に部屋で遊んでいた。「はーい、レンちゃーん。ボール転がすよ~」朱莉はに鈴が入っている布製ボールを転がして蓮にキャッチさせる遊びをさせていた。その様子をサークルの外に出したウサギのネイビーが鼻をヒクヒクさせながら見ている。「キャッキャッ」蓮は楽しそうに笑い声をあげながら、転がってきたボールをキャッチして楽しそうに笑っている。「フフ……楽しい? レンちゃん」その時——リビングテーブルの上に乗った朱莉のスマホに電話の着信が入ってきた。「あ、ちょっと待っててね。レンちゃん、電話が鳴っているから」朱莉はスマホを手に取るとそれは翔からだった。「え……? 翔先輩? 何かあったのかな?」朱莉はスマ
Terakhir Diperbarui : 2025-06-04 Baca selengkapnya