(ナースステーションで看護師さんたちが噂していた人って、きっと翔先輩の担当看護師さんのことだよね)朱莉は考え込みながら自販機へと向かった。自販機の前でアイスティーを購入して、再びナースステーションの前を通り過ぎようとした時、まだ看護師たちが話をしていた。(え? あの看護師さん達まだここで話をしていたの?)朱莉は何故か咄嗟に通路の角に隠れてしまった。そして、ナースステーションの様子をそっと伺った。4人の看護師たちはPCの前で噂話の続きをしている。「あんまり目に余るようなら看護室長に相談した方が良いわよね」「うん、本当。いくらこの病院の理事長が叔父さんだとしても、あれはいくら何でも無いわ」「藤井さんてお金持ちと若い男性に目が無くて困るわよ」「前回は大変だったじゃない、恋人を名乗る女性が現れてナーススーションに文句を言いに来たじゃないの……」「でも、結局あれは一方的に相手の女性がストーカーしてたのよね。結局その女性の方が訴えられたって話よ?」その時――「ダア、ダア」蓮が大声を出した。「え!?」「な、何!?」「赤ちゃん?」3人の看護師達はいきなり廊下で蓮の声が聞こ得たことに驚いたのか、全員が朱莉の方を振り向いた。「あ、あの……」朱莉はバツが悪そうに俯くと、看護師たちは慌てたように口々に言った。「あ、あの……今の話は……」「だ、大丈夫です! 鳴海さんと藤井さんのことは私たちが責任を持って、見張っておきますから!」「どうか……い、今の話は内密にお願い出来ますか?」思い切って朱莉は看護師たちに尋ねることにした。「あの、差支えなければ藤井さんという看護師さんの事教えていただけないでしょうか?」そこで看護師たちは藤井について語った。本名は藤井美奈代、年齢は23歳でこの病院に勤務したのは3年前。男性経歴が激しく、気に入った男性患者がいれば相手がいようが、既婚者だろうがお構いなしに声をかけると言うが、この病院の理事長が彼女の叔父にあたり、今まで隠蔽されてきたと言う。「そうだったんですか……」朱莉は複雑な心境で話を聞いていた。すると1人の看護師が慌てた。「大変! 藤井さんが戻って来たわ!」「すみません、今の話はここだけにしておいてくださいね!」「は、はい。分かりました」朱莉は急いで特別個室へと戻り、ドアを閉めるとソファに座っ
Terakhir Diperbarui : 2025-06-06 Baca selengkapnya