「デート……ですか?」朱莉は修也を見上げた。「はい。僕も蓮君との用事が無くなって暇になってしまったので。もし朱莉さんさえよければ、2人でどこかへ出かけたいなと思って」修也は笑みを浮かべている。「あ、ありがとうございます……。とりあえず上がって下さい。今コーヒーを淹れますね」「コーヒーですか? 嬉しいな。朱莉さんの家のコーヒーはとてもおいしいから僕は好きなんですよ」好きという言葉に思わず、赤面してしまう。朱莉は修也を前にすると意識してしまう。お湯を沸かす準備を終えると、ダイニングテーブルの椅子に座っている修也に声をかけた。「あの、それでは着替えをしてくるのでお湯が沸いたらこちらのポットに入れておいていただけますか?」「ああ、これだね? いいよ」ダイニングテーブルの上のポットに気づいた修也が返事をする。「すみません。各務さん。それでは5分ほどで着替えてきますので」朱莉は頭を下げると自室へと入って行った。白いブラウスに淡いパステルピンクの幅広のワイドパンツにクリーム色のニットのカーディガンを羽織り、朱莉はリビングへ戻った。するとちょうどお湯が沸いたのか、修也がやかんのお湯をポットに入れているところだった。「ありがとうございます、各務さん」朱莉が礼を言うと、修也が朱莉を見て目を細めた。「朱莉さん、よく似合っているね。うん、とても可愛いよ」思わずその言葉に朱莉は赤面する。「あ、あの各務さん。私はもう可愛いと言われるような年齢では……」真っ赤になりながら言うも、修也は首を傾げた。「どうして? 年齢なんか関係ないし、大体朱莉さんの方が僕よりも若いんだから」「あ、ありがとうございます……。あの、すぐにコーヒー淹れますね」朱莉は食器棚から2人分のコーヒーを淹れた。途端に部屋の中に良い香りが漂う。「うん……本当に良い香りだね。オフィスにもコーヒーマシンがあるんだけど、何故かな? 朱莉さんの家のコーヒーの方が香りも味もおいしく感じるよ」「そ、そうですか? そんな大したものでは……このコーヒーバックも通販で購入したものですし」「そっか……やっぱり誰かと一緒に飲むからおいしく感じるのかな?」修也は笑顔で言うとコーヒーを飲んだ。「あの……各務さんは結局秘書はおかれないんですか?」朱莉は修也の向かい側に座ると尋ねた。「うん。僕は翔がカルフ
Last Updated : 2025-06-09 Read more