「あら? 別にいいじゃない。航。私は貴方みたいな人好きよ。自分の心に素直な人間は好感が持てるわ。私は朱莉さんと貴方のこと応援するわよ? 2人はお似合いだと思うわ」明日香の言葉に航の顔は思わず綻んだ。「え……? その言葉……本当か? 本当に俺と朱莉はお似合いだと思うか?」「ええ、そうね。朱莉さんは何所かフワフワしているというか……のんびりしている雰囲気があるから、むしろ貴方みたいなタイプが彼女に合ってると思うわ。私も朱莉さんの今後のことを考えた場合、誰かパートナーになってくれる人がいれば安心して蓮を連れて行けるもの」明日香はそれだけ言い残すと洗面台を出て行った。「あ……」1人残された航は今の明日香の言葉で、何故昨夜朱莉が泣いているのかを悟った。(朱莉……ひょっとして明日香から蓮を連れて行くようなことを言われたのか? それで泣いていたのか?)あんなに可愛がっている蓮をもうすぐ手放さなくてはならない……朱莉の気持ちを考えると、航は胸が潰れそうな気持になるのだった――****「おおー! こ、これが朝食なのか!? すっげーな!」朱莉、明日香、航、蓮の4人は昨夜みんなでバーベキューを行なったウッドデッキでレストランから運ばれてきた朝食を見て航は歓喜の声をあげた。上質な木の箱に入って届けられた朝食は色とりどりのサンドイッチやサラダ。そして瓶に入ったヨーグルトや牛乳、オレンジジュース等が綺麗に並べられている。蓮もそれを見て大喜びしている。「お母さん、僕にこの苺のフルーツサンド頂戴」「いいわよ、でも蓮ちゃん。野菜サンドも食べるのよ?」朱莉は笑顔で答える。「うん、勿論だよ」一方明日香と航の方は……。「ねえ、航。そのゆで卵、とってもらえる?」「ああ、いいぜ。あ、そうだ。明日香、お前の目の前にあるボイルウィンナー2本くれよ」航は皿を明日香に差し出した。「ええ、いいわよ。ついでにハッシュドポテトもいるかしら?」「ああ、そうだな。くれ」何故か意気投合している。そんな様子を見て朱莉は不思議そうに首を傾げた。(一体、どうしたのかな……? 昨夜はそれ程仲が良さそうに見えなかったけど、何だか今の2人はすごく気が合ってるみたい)そして朱莉は思った。意外と明日香と航はお似合いなのではないだろうかと――午前10時――「よし、皆忘れ物は無いか?」航
Terakhir Diperbarui : 2025-06-17 Baca selengkapnya