Semua Bab 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~: Bab 171 - Bab 180

181 Bab

第171話 フィエレステ

「一人って言ってたけど、何でこんなダンジョンの中に居たんだ?」 『あぁ、それはこの泉が私達にとって居心地がいいからよ。偶に遊びに来るの。まぁ、こんな罠があったことを考えると他の子が来なかったのは幸いだったかもね』 「遊びにって、魔物とかも徘徊しているのに危険じゃないのか?」 『魔物なんて私達からしたら居ないも同然よ。気づかれることも触れられることも無いんだもの』なるほど。妖精にとっては魔物達は無害な生物ということか。それならダンジョンに遊びに来るというのも分からなくはない。「むぅ、姿は見えたけどやっぱり声は聞こえないわね。何でアキツグだけ・・・って、これロシェの時と同じね。ってことは言語知識の問題かしら?」ミアにそう言われて気づく。確かにそれなら俺にだけ聞こえるのは理解できる。とはいえ、俺が持っている知識で該当しそうなのは・・・ハーピィではないだろうし、精神体か?「質問なんだが、妖精って精神体なのか?」 『へぇ、よく分かったね。そう、私達は実体を持たない存在なの。だから通常だと実体を持つ存在には姿も見えないし声も聞こえないの・・・そのはずなんだけど、あなた何者なの?』 「ちょっと事情があってな。精神体の言葉が理解できるようになっただけだ」 『だけって・・・』やっぱりそうか。ってことはロンメルさんみたいに肉体を失ったら話が通じるようになるのか?いやまぁ、そんな事態には誰もなりたくないだろうけど。 と、そこまで考えて今回は言語の交換をしていないことに気づく。「なぁ、君は何で人間の言葉が理解できるんだ?」 『人間の言葉?あぁ、暇つぶしに覚えたのよ。妖精は基本的に寿命はないから、戯れで他種族の言葉を覚えたりすることも良くあるの。実際にその種族と話すことはほとんどないけどね。そもそもこっちの言葉が聞こえる存在がほとんど居ないし』 「寿命がない?」 『さっきも言った通り精神体だからね。とは言っても永遠に存在していられるわけでもないのだけれど、流石にそこは秘密ね。種族の存続にも関わる話だもの』よく分からないが、寿命はないが何かあれば消える?ことはあるらしい。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-08
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第172話 妖精の雫

ということで、二人にも泉であったこととフィエのことを話した。 戻ってくるまでは姿を消していたフィエだったが、説明の為に俺が頼むと二人にも姿を見せてくれた。『妖精、ね。確かに少し違和感はあったけど、まさかそんな存在を連れてきてたなんて、あなたといると本当に飽きないわね』 「はぁ・・・本当に居たんですね。私達の間では妖精なんて御伽噺に出てくる幻の存在みたいな感じでしたけれど」話を聞き終えた二人はまだ実感が湧かないのかポカンとして表情でフィエのことを見ている。俺はよく知らなかったが、人間達の間では妖精は噂の域を出ないような存在らしい。まぁロシェのようなハイドキャットですら希少な存在なのだ。姿も見えず、声も聞こえない妖精なんてなおさらということなんだろうな。『ところであの子、カサネって言ったっけ?さっきは何をしていたの?近寄りがたい恐ろしい魔力の流れを感じたんだけど』二人に説明を終えた頃にフィエがそんなことを聞いてきた。 妖精からしてもあの魔法はそんな風に感じる性質のものらしい。「えっと、ある魔法の練習なんだけど・・・カサネさん、フィエがカサネさんが何をしてたのか知りたいって。魔法のこと教えてやってくれるか?俺じゃうまく説明できそうにないからさ」 「分かりました」そうしてカサネさんが魔法について説明を始めたのだが、段々とフィエの表情が困ったようなものになってきた。多分かなり専門的な部分まで掘り下げられているからだろう。正直俺も良く分からない。『あ~うん、もういいわ。大まかには分かったから。って、私の声はこの子には聞こえないんだっけ。アキツグ頼むわ。それにしても中々怖いことをしてるのね・・・』 「カサネさん、大体は分かったってさ。ありがとう」 「えっ?そ、そうですか」説明を中断されたカサネさんは少し残念そうだったが、それよりフィエの最後の言葉が気になった。「フィエはこの魔法について何か分かるのか?」 『この子が説明してくれた以上のことは分からないわよ。ようは全ての属性を反転させて相手を消滅させようとしてるってことでしょ?よくそんなことしようと思うなぁって』
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-09
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第173話 ダンジョン探索の再開

フィエと別れた後、カサネさんに聞いたことを話しながら妖精の雫を渡すと彼女は早速それを腰のポーチに仕舞ってから修練を再開した。 俺達は休憩しながらその様子を見ていたのだが、しばらくすると一息ついてから少し興奮した様子でこちらに戻ってきた。「これ、すごいです!魔力制御に掛かる負担がかなり減りました!」 「へぇ!それはよかった。そんなつもりじゃなかったけど、フィエを助けた甲斐があったな」 「アキツグが急に「声が聞こえた」とか言い出した時は変な魔物に襲われるんじゃないかと心配になったけどね」 「うっ。いやけど聞こえたら気になるじゃないか。結果的にはカサネさんの役にも立ったんだし」 『それは分かるけど毎回上手くいくとも限らないんだから、行動する時は気を付けなさいね』 「・・・はい」結局最終的にはロシェの指摘に頷くことになった。最近迂闊に行動した結果失敗したことも時々あったからな。気を付けないと。「それで・・・一度この魔道具を使わずに実際に発動させてみようと思うんですが、危険かもしれないので少し部屋を出ていて貰っても良いですか?」というカサネさんの頼みに、俺達は顔を見合わせた。そしてお互いの表情を見ただけで同じ考えであることは分かった。「いや、俺達も残るよ。実戦相当ってことなら、近くに俺達も居たほうが良いだろ?」 「うんうん。カサネさんにだけ危険な目に合わせるわけにもいかないし」 『気持ちは分かるけど、今更私達に遠慮なんてする必要ないでしょ?』 「皆さん・・・ありがとうございます。でもなるべく下がっていて下さいね。最小の威力で試すつもりではありますけど」俺達の反応に、カサネさんは表情を明るくしてペコリとお辞儀をしたが、付け加えるようにそう注意をしてきた。「あ、それなら的を用意するか。ダンジョンの壁とかに当てて、何か影響が出るのも怖いしな」俺はそう言って適当な木材などで簡単な案山子もどきを用意した。「ありがとうございます。それでは・・・始めます」カサネさんは深く深呼吸すると呪文を唱え始めた。すると掲げる両手の先
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第174話 徘徊種再び

『あら、アキツグじゃない。まさかまたこんな直ぐに会うなんて意外と縁があるみたいね』そう、曲がり角を曲がった先で唐突に聞こえた声に驚いたが、その声には聞き覚えがあった。姿は見えないがそこに居たのはフィエレステだった。「なんだ、フィエか。驚かさないでくれよ。何でこんなところに居るんだ?」 『別に驚かせたつもりはないんだけど?って、あぁ姿が見えないのよね。普通に話してたから忘れてたよ。ここに居るのは知り合いに例の瓶とかについて警告に来たからだよ。ダンジョン内に住んでる珍しい子がいるんだ』なるほど。その子に知らせるためにこんな階層まで潜ってきたってことか。「でもダンジョンって迷路みたいな所もあるし、構造が変わることもあるんだろ?相手の場所とか分かるのか?」 『近くに居ればね。それに私達は壁なんて通り抜けられるからその辺は関係ないよ?』そう言えば妖精は精神体だったか。壁を無視できるのは便利そうだななんて考えてしまった。『そういえばアキツグ達の方こそ、気を付けたほうが良いよ?さっきこの辺に異様な気配の魔物が居たから』世間話のような口調でフィエはそんなことを告げてきた。 しかしその内容は聞き流せるものではない。もしかして例の徘徊種か?「それってどんな奴だ?」 『どんなって言われてもな~例えるなら熊みたいなの?』熊?熊と言うと前のシャドウウルスを思い出すが、同じような奴だろうか?『それじゃ、私は行くね。バイバイ~』 「ちょっ!ってもう居ないか?姿が見えないのはこういう時不便だな」言いたいことだけ言うとフィエはさっさと行ってしまったようだ。 他の皆は後ろで様子を伺っていたが、話が途切れたタイミングでカサネさんが話しかけてきた。「またフィエさんが居たみたいですね。何の話をされてたんですか?」俺がフィエから聞いたことを伝えると、カサネさん達の表情にも緊張が走った。「それは・・・フィエさんの言う通り、この階から離れたほうが良さそうですね」 「あぁ、でも十八階層への階段からはかなり離れてしまったか
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第175話 徘徊種『黒熊』との戦い(前編)

黒熊は急に現れた男を警戒して一旦は距離を取ったものの、再び影からその姿を現して攻撃に移る構えを見せた。 黒熊はその体格に似合わず、驚くほど素早く動きで突進してきた。鉤爪が鋭く閃き、剣士風の男に迫る。男の方は鉤爪と剣を打ち合わせた反動を利用して上手くその威力を受け流していた。だが――「くっ、重いな!」剣士風の男は完璧なタイミングで受け流したつもりだったが、それでも剣の持ち手が痺れた。「気をつけろ、あいつの爪はただの鋼じゃないぞ!」剣士風の男が叫ぶ。それを聞いて俺達も警戒を強めた。 先ほど倒れた男の鎧を切り裂いたのも、その爪の材質か纏っている何かの強化によるものかもしれない。 俺はチラリとカサネさんの方を見た。 カサネさんもその意図に気づいたのか、悩むような仕草を見せた後に首を振った。 まだあれの使い時ではないと判断したらしい。 確かに発動に成功したとはいえ、まだあの部屋での一回だけだ。しかも黒熊は影潜りでの回避能力も持っている。もしかしたら影ごと消し去れる可能性もあるが、そうならずにダンジョンの壁や床に当たった場合、何か影響があるのかも分からない。 俺はそれに頷いて返した。 そしてそのやり取りの間にも剣士風の男も動きを見せていた。「エンチャント・ファイア」その言葉と共に彼が持っている剣と盾が赤い光を纏った。 再び突進の構えを見せていた黒熊が一瞬動きを止める。そのまますぅっと近くの影に身を沈ませた。相手の変化に合わせて行動パターンを変えてきたのだ。スペックの高さに加えて頭まで回るとは厄介極まりない。「俺を狙うとは限らない。気を付けろ!」彼はそう言ったが、俺はこれの対策は分かっている。「ライト」俺達の中心に強めの光の玉を出現させる。影のできる範囲が変わり、少し離れた位置から黒熊が姿を現した。「なるほどな。影がない場所からは出られないわけか。少し眩しいが死角から狙われるよりはよほどましか」そう言って、彼は再び黒熊と正面から対峙した。 黒熊は忌々しそうに俺の方を睨みつけている。
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第176話 徘徊種『黒熊』との戦い(後編)

「ぐぉぅっ!」 「ブラストマインよ。ガイムをあんな目に合わせた借りは返させて貰うわ」そう言ったのは後ろに下がっていたパーティの魔導士の一人だった。 どうやら怪我を負ったメンバーも無事のようだ。 戦闘態勢も整ったらしく他のメンバーも黒熊を抑えるのに参加してくれた。 その頃にはゴブリンロードも消えていたが、彼らのおかげでどうにか耐えることができた。 そうして、とうとう二人の呪文が完成した。「エレメンタルアロー!」六属性と五属性の魔力から生み出された矢が黒熊に向けて撃ち放たれる。 当然黒熊もそれを見て回避を試みようとしたが――「バインドスラッシュ!」狙いすましたかのような剣士風の男の斬撃に黒熊の動きが一瞬止まる。 二本の属性矢はその黒熊の胴体と左胸にそれぞれが突き刺さった。「ぐおぉぉーーーー!!」黒熊が強烈な叫び声を上げて倒れ伏した。その二撃は黒熊の体に大穴を開けていた。 何とか倒せたとほっと一息ついた俺に対して、剣士風の男は油断なくその体に近づいて首を切り落とした。「死を確認するまでは気を抜くな。それは一番の隙になる」 「あ、あぁ。すまない。色々と助かった」 「ふん。止めを刺したのはあの二人だ。正直、こいつは俺でも手に余る化け物だ。これからは気を付けることだな。俺はこれで失礼する」 「えっ、あっ」俺達が何か言う前に剣士風の男はさっさとこの場を離れてしまった。 まぁ俺にはその理由は分かるのだが、他の人達は不思議そうにその後姿を見送っていた。「あの人行っちゃったわね。助けて貰ったお礼を言いたかったのに」 「ですね。黒熊の素材を取得した様子もなさそうでしたし、何のために助けてくれたんでしょうか?」 「さぁ。案外通り道の邪魔になるから協力してくれただけだったりしてな」 「まさか。そんな理由で倒すには相手が悪すぎますよ」そんな話をしていると例のパーティが俺達に近づいてきた。 なんかさっき助けてくれた魔導士の女性が
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-13
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第177話 戦いを終えて

あの後、黒熊のドロップ品についてはあのパーティと交渉結果で分配し、その場で野営して一晩を過ごした後、二十階層のボスには挑まずにダンジョンから帰ってきた。折角十九階層まで来ていたのに勿体ない気持ちも無くはなかったのだが、正直黒熊との闘いでお腹一杯な気持ちの方が大きかったのだ。 ダンジョンを脱出して屋敷に戻った後で、俺はカラブさんに連絡を取った。「あの時助けてくれたのはカラブさんですよね?ありがとうございます。カラブさんが居なかったら正直危なかったと思います。」 「あぁ。事前に今までより深い階層に挑むと聞いていたから、念のために後を追ったが正解だった。お前たちの様にショートカットはできないから、追いつくのは苦労したがな。それに礼は不要だ。姫様を守るのは俺の任務の内だ」確かにカラブさんからしたら俺達はおまけで、ミアを守るのが第一優先なのだ。 もしあの場のメンバーで敵わないと判断したなら、カラブさんはミアを無理やりにでも連れ出して撤退していただろうことは予想できる。「それより、あの時も言ったが気を付けろよ。まぁ、あの化け物は本来あんなところに居るようなやつではなかったようだが、それでも姫様に何かあったら仕方ないでは済まないからな」と、カラブさんが続けて言ってきた言葉からも、その予想は当たっているだろうと思えた。「はい。旅に出てダンジョン探索したりする以上、魔物と遭遇するのは避けられないですけど、目に見える危険は避けるように気を付けます」 「分かっている。それくらいは国王様も承知の上だろう。ま、俺から言いたいのはそれくらいだ。そっちから聞きたいことはあるか?」 「あ、例の黒熊のドロップについては?あの時カラブさんは何も持って行かなかったですよね?」 「要らん。俺は冒険者じゃない。姫様の護衛として当然のことをしただけだからな」 「あ、はい。分かりました」あの戦闘で一番身を危険に晒していたカラブさんに何も渡せないのは申し訳なさもあったが、その口調から何を言っても受け取らなさそうだと思った俺は大人しく引き下がった。 そうしてカラブさんへの確認も終えたので、俺達は黒熊について冒険者ギルドに報告に向かった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-14
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第178話 不穏な噂

あれから数日後、シディルさん達に感謝を告げてマグザを後にした。 現在はヒシナリ港に向かう途中でカルヘルドの街に立ち寄っていた。街は賑わいを見せていたが、以前立ち寄った時に比べるとその賑わいにはわずかながら違和感があった。「何でしょう。街の人達の雰囲気が少し変な気がしますね」 「あぁ、何か不安そうな心配しているような感じがするな」そんな話をしながらも市場を見て回っていると、ふと耳にした囁き声にアキツグ達の足が止まった。「…聞いたか?王都が、黒い竜に襲われているって話だ」噂話をしているのは、情報を売りにしているらしいやつれた男だった。顔は土気色で、その声にはどこか怯えが混じっていた。 アキツグはエルミアとカサネを伴い、男の周囲に集まった人々の輪に加わった。「おい、本当に竜が出たのか?」若い商人が聞くと、男は低い声で続けた。「見たやつがいるんだ。黒い翼が空を覆い、王城の近くを旋回していたってな」その話に、エルミアの顔が青ざめた。王都ハイロエント――それは彼女が守るべき故郷だったからだ。「王都が・・・本当に?」エルミアは唇を噛みながらアキツグに視線を向けた。「ミア、心配なのはわかるが落ち着け。ただの噂かもしれない。まずは確かめよう」とアキツグが冷静に答えた。 一方で、カサネは情報屋に直接話しかける。「その目撃者、どこにいるか分かりますか?」男は困ったように肩をすくめた。「さぁな。ただ、難民の一団がここを通り過ぎたのは確かだ。彼らを探してみると良いんじゃないか」その後、一行は街の宿屋に足を運び、難民らしき一団を見つけた。 エルミアはその中の一人に声を掛けた。「すみません。竜の噂を知りたいんです。あなたがたは王都から来たのですか?」とエルミアが尋ねると、その女性は少し怯えた表情を見せながらも頷いた。「ええ、私は王都から逃れてきた難民の一人です。数日前、黒い影が現れて王城を襲ったんです。月明かりに照らされたその
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-15
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第179話 カサネの覚悟

休憩以外は馬を走らせ続け、夜明け前にようやく俺達は王都ハイロエントの城門に到着した。 高くそびえる石造りの城壁は威厳に満ち、冷たい月光に照らされていた。 だが、その姿は依然と比べ所々に破壊の後が見られた。 城門で出迎えたのはカラブの部隊の仲間たちだった。「カラブ、戻ったか。ん?・・・姫様?!どうしてこちらに!?」兵士の一人が驚きの声を上げると、エルミアは毅然とした態度で進み出た。「王城へ案内して。詳しい状況を確認する必要があるわ」兵士たちは一瞬戸惑ったものの、カラブが「国王陛下の意は承知している。姫様をお守りするのが我々の務めだ」と断言すると、すぐに道を開いた。一行は王城の中枢部へと進んだ。廊下には焦げた跡が点々と残り、いくつかの扉は激しく破壊されていた。「竜の攻撃がここまで及んだのか…」とアキツグが呟くと、エルミアは唇をかみしめた。「これ以上、被害を出させるわけにはいかない…」謁見の間に到着すると、国王を含む主要な臣下たちが集まっていた。彼らの顔には疲労と緊張が色濃く浮かんでいる。「エルミア!」国王が娘の姿を見て驚きと喜びの入り混じった声を上げた。「どうして戻ってきたのだ?危険だからと伝えたはずだ」 「父上!」エルミアはその場に膝をつき、強い口調で答えた。「私は王女です。この国と民を守るためにここにいます。どうか私も共に戦わせて下さい!」その言葉に、国王はしばし沈黙した後、深く息を吐いた。「わかった。エルミア、お前の意志を尊重しよう。だが、我々も最善を尽くしている。竜を迎え撃つために、何か力になれる者がいれば申し出てほしい」アキツグは一歩前に進み出た。「俺たちも協力します」 「感謝する。エルミアや我らを救ってくれたことのあるお主らが味方になってくれるのは心強い」その後、対策会議が開かれた。応戦した兵士たちの報告によれば、黒竜は夜間にのみ現れ、短時間で激しい攻撃を加えた後、また姿を消すという。「黒
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-16
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第180話 夜の決戦

その晩、一行は城壁の上で竜の出現を待っていた。月明かりは雲に遮られ、星もわずかにしか見えない。王城の庭では、兵士たちが最後の準備を進めていた。巨大なバリスタが四方に配置され、魔導士たちが陣を組んで魔法陣を展開している。 俺達は別動隊として、王城の兵士たちとは異なる場所で待機していた。練度の異なる俺達が無理に混ざろうとしても連携を乱すことになるのは明白だったからだ。カサネさんは目を閉じ、静かに呼吸を整えていた。『来るわ』ロシェが低く呟いた瞬間、暗闇の中に巨大な影が現れた。 黒い竜が城上空を旋回し、その眼光が赤く光るたびに兵士たちのざわめきが広がった。「陣形を保て!」ゴドウェンが兵士たちを叱咤しながら剣を抜いた。「黒竜の影が見えた。南西からだ!」その瞬間、空気が張り詰めた。低い唸り声が徐々に大きくなり、やがて巨大な漆黒の影が城を覆う。黒竜は異常なまでに大きかった。全長は20メートルを超え、黒光りする鱗は魔法を弾くかのように硬質に輝いている。瞳は燃えるような赤で、そこには知性と冷酷さが混じり合っていた。「いくぞ!」ゴドウェンの号令とともに、魔導士たちが一斉に攻撃を放つ。火球、氷柱、雷光が黒竜を包み込むが、その鱗に当たると弾かれ、黒煙を残して消える。 そのまま彼らの正面にやってきた黒竜が吠えた。その咆哮は地面を揺るがし、城壁を砕いた。兵士たちが怯む中、エルミアが声を張り上げる。「怯まないで! 私たちが守らなければ、この城も、民も終わるわ!」その声に奮い立たされた兵士たちは再び体勢を立て直した。「バリスタの準備は整ったか!」ゴドウェンが叫ぶと、兵士たちが合図を送り、黒竜に狙いを定める。しかし黒竜は動きが素早い。飛び上がって空を舞い、巨大な尾で城の一部を薙ぎ倒した。「くっ、やはりあいつの動きを止めないとダメか!各自用意!」ゴドウェンの指示により、各兵が黒竜に悟られぬようにある場所に誘い込みを掛ける。それは中央にある円形の庭園だった。 黒竜も彼らを蹴散らすのに最適だと判断したのだろう。そこに降り立ち周囲を薙ぎ払おう
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-17
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