141 う~ん、しかし……相馬さんにはああは言ったものの実際は すごく困り果てていた。 それと相原さんからメールもらったことについて期待しないでおこうと 決めていたものの、帰り際にまさかの彼の姿を見たこと……おまけに 視線まで合い、実は私のことを待っていたのかもなんて都合のいい考えが チラッと浮かんだ。 あまりのジャストタイミングで現れた相馬さん。 相馬さんの出現がなければどんな展開になっていたんだろうと、 つい詮無いことを考えてしまう。 相原さんとは交際している範疇に入らないほどで、片手に余るほどしか 2人きりで会ったことはない。 でも会えると楽しいし、うれしいのはほんと。 そこへ突然の相馬さんの乱入で気持ちが付いていかない。 なんか、どっちを向いても宙ぶらりん状態なのを実感してしまう。 相馬さんからの申し出を先送りし、返事を引き延ばしている自分が 相原さんと今までのような関係性の中で今までのような付き合いをすること は二股になってしまうのかな? この辺のことで少しモヤモヤがあるけれど、どちらとも正式な交際はして いないのだから二股どころか一股《こんな言い方ないと思うけど》もない んじゃない? って思いなおしてみたり。 私は断ることで気まずくなり今の仕事を辞めなくちゃならなくなるのが 怖くて相馬さんにはっきりと断れなかったという側面もあるし、一方で どちらかが異動になった時に考えてみたいという気持ちも全くの嘘でも なく、といったところだろうか。 自分に問い掛けてみて出た結果はそういうところへと落ち着いた。 とにかく早くモヤモヤのない日常に戻りたい。 ◇ ◇ ◇ ◇ そんな花が相馬のことを冷静に対処することができたのは、知らず知らず 相原の存在が影響していたのかもしれない。 だが付き合ってもいない間柄でそのようなことを自分の中で思うことは 浮ついている中のただの自惚れのなせる業としか言いようがなく、そのよう に安易に考えることは、恥ずかし過ぎる。 だからそのような考えは微塵もしてはいけないと、心のどこかで 花は感じていた。
最終更新日 : 2025-05-18 続きを読む