氷河の塔を出て下山した俺たちは、山のふもとに祠を作ることにした。 今は雪で何もかもが埋もれてしまっている。 山の崖になった部分を少し掘って、手頃な石を集めてきて祠にした。「よっしゃー!」 祠に小石を安置すると、小さい少女の姿の氷の女王が飛び出てきた。 同行していた雪の民たちがのけぞって驚いている。「なんで子供の姿なんだ?」 俺が聞くと、彼女は胸を張った。「そりゃあ本体から離れた場所だもの。小さくなって節約しないと」 何を節約するのか知らないが、本人(本神?)が言うのならそうなのだろう。 彼女はそれからも飛び跳ねたり、雪玉を作って投げたりしている。「そういや去年、途中で子供の姿になったけど。あれは何だったんだ?」 俺が聞くと、氷の女王は口をとがらせた。「ユウがさんざん炎で攻撃したからでしょ。あれだけダメージを負ったら体が小さくなって当たり前だもん」「あったかくなったら溶ける雪だるまみたいだな」 氷の女王は雪玉を投げつけてきた。「神様に向かって失礼すぎ! 罰として、来年のクッキーは今年の二倍持ってきなさい!」「はいはい」 来年はもっと甘味の強いハチミツ入りのを持ってきて、驚かせてやろう。「あと、お花も欲しい。今日のとは違う種類のやつ。お花って色んな種類があるんでしょ?」「数え切れないほどあるとも。毎年違うのを持ってきてやるよ」「うん!」 氷の女王は雪の上でくるりと回った。「よーし、それじゃあ今日は帰るね。また来年会おうね!」「ああ、またな!」 氷の少女は小さなつむじ風を起こすと、宙に消えていった。 後には笑顔の俺とクマ吾郎、まだ腰を抜かしている雪の民たちが残った。 氷河の塔からつながりの村へ戻る頃には、冬も後半になっている。 新しく買った機織り機と糸紡ぎ機は大活躍していて、村では
Last Updated : 2025-06-10 Read more