【16】 帰りの馬車の中、王子ふたりと向かい合いながら、リザレリスはここ三日間のことを話した。ただ、シルヴィアンナの話題は避けた。つげ口、あるいは陰口みたいで嫌だったから。「楽しんでいるようだね」フェリックスは微笑んだ。リザレリスが意図的に避けている話題に気づいているかどうかはわからない。ちなみに、レイナードに吸血してしまったことも、もちろん触れなかった。「まっ、さすがはリザレリスだな。馴染むのも早いときてやがる」レイナードが愉快そうに笑った。そこへフェリックスがすかさず食いつく。「いつの間に、リザレリスと呼ぶようになったんだい?」「なっ、そ、そりゃあ、一応コイツも王女だからだよ」レイナードは取り繕いながらも歯切れ悪い反応を見せる。理由になっているようでなっていない。案の定、フェリックスにツッコまれる。「今日から王女になったわけではないんだけどねぇ」「てゆーか、今はその王女の話をしてんだろ。俺に振るな」「兄としては、愛する弟が心配なだけだよ」フェリックスは妙
最終更新日 : 2025-06-14 続きを読む