その日の真夜中、何故か僕は見知らぬベッドで寝ていた。一体ここはどこだろう? 僕はパニックになった。それに身体が思うように動かない。何とかふらつく身体を起こし、周囲を見渡した。「あれ……もしかしてここは病院……?」僕はどうやら個室のベッドに寝ていたらしい。ベッドに取り付けられた名札は無記名になっている。辺りを見渡し、そっと病室を出て部屋番号を確認する。「502号室……」ひょっとするとここは本物の間宮渚が入院している病院なのかもしれない。そこで、この病院の名前が分かる物が何かないか病室に戻り探してみることにした。テレビ台の引き出しを開けてみると病院のパンフレットがある。「国立総合病院」とあった。住所は、僕らが住んでいる場所から電車で数駅と割と近い病院だ。場所は分かったけど、どうしたらまた千尋の元に戻れるのだろう? いっそこのまま病院を抜け出してしまおうか? そもそも僕と間宮渚の身体は一つになってしまったのだろうか?悪い考えだけがグルグル頭を巡る。その時。巡回の看護師だろうか、こちらに近づいてくる。慌ててベッドに入ると眠ったフリをした。やがて看護師は部屋のドアを開ける。どうかこの部屋に入って来ませんように……。僕は必死で祈った。すると祈りが通じたのか、看護師はライトでグルリと部屋を照らしただけで、すぐに部屋から出て行った。良かった……。何とかバレずにすんだみたいだ。それにしてもこんな状況だと言うのに異常な眠気が僕を襲ってきた。もう意識を保っているのも難しい。そのまま僕は結局眠ってしまった……。 朝、目覚めるとそこは僕がいつも寝起きしている幸男さんの部屋だった。もしかしてあれは夢だったのだろうか? やけにリアルな夢だったなあ……。恐らく、この生活は長くは続かないんじゃないだろうか? 僕の本能がそう言ってる。本物の間宮渚はひょっとすると生きようと思っているのかもしれない。もし彼が目を覚ました時……それは恐らく僕がこの世から消滅してしまう日となるのだろう。そんな予感がする。だって元々この身体は彼の物。僕の身体はとっくに死んで無くなってしまっているのだから。だとしたら千尋と過ごすこの時間、一分一秒でも長く側にいたい。だから僕は朝ご飯を食べている時千尋に訊ねた。「今日、二人で一緒に何処かに出掛けてみたいかな……なんて」「そうだね、特
Terakhir Diperbarui : 2025-06-02 Baca selengkapnya