夕食も千尋が作ってくれると言うので、ありがたくソファで休ませてもらうことにした。すると何故か突然急な眠気に襲われ、そのまま眠ってしまった……。ほんの一瞬の眠気だと思ったのに、何故か気が付くと千尋は僕の側に座り込み、右手をしっかり握りしめていた。「え? な、何? どうしたの? 千尋」 「あ……な、何でもない……」嘘だ、千尋の顔は真っ青だった。一体何があったんだろう?「だ、大丈夫だから。ちょっと渚君が一瞬消えて見えたような気がして……。アハハ……そ、そんな訳無いのにね」千尋のその言葉を聞いて全身の血の気が引いていくような感覚を覚える。「え? ごめんね! 渚君。別に傷つけようと思って言った訳じゃ……」千尋は慌てたように弁明するので、千尋の手をしっかり握りしめた。「大丈夫、僕はそう簡単には消えたりなんかしないよ」千尋を安心させるために笑顔で返事をした。そうだ……まだ消える訳にはいかないんだ。だって、僕はまだ千尋の気持ちを聞いていないから――**** 今日は仕事が休みだったのでアクセサリーショップへ足を運んだ。もうすぐホワイトデーだから千尋に何かプレゼントをあげたい。若い女性が喜ぶプレゼントはアクセサリーだとネットの検索であったので、早速買いに来た。店内に入ると平日だと言うのに若い女性が結構来ている。そして僕を見ると何故かヒソヒソささやきあっていた。やっぱり男が一人でこんな店に来るのは変なのかな?だけど、こんなに沢山アクセサリーが売ってるとは思わなかった。どんな物なら喜んでくれるのだろう?そこで若い女性店員に声をかけた。「あの……今人気のあるアクセサリーってどういう品物がありますか?」「贈り物ですね?」「はい、そうです」「それならこちらのお品物等は如何でしょうか?」店員さんが見せてくれたのはとてもきれいなピアスだった。そう言えば千尋もピアスをしていたっけ。喜んでくれるといいな。「ではこれを下さい」僕は品物を買うと店を出た。そして決めた。このピアスをホワイトデーにプレゼントする。そして千尋に僕のことをどう思っているのか尋ねてみようと――**** ホワイトデーがやってきた。朝食の席で僕は千尋にピアスのプレゼントをした。「渚君……これを私に?」「うん、千尋に似合うかなって思って選んだんだ。気に入って貰えたかな?」「勿
Terakhir Diperbarui : 2025-06-12 Baca selengkapnya