耀石グループ。章真が対応していたのは、副社長・王城の件だった。耀石グループ本社ビル最上階――社長室。章真は英国風のスリーピーススーツに身を包み、ソファに腰掛けていた。肘を膝につき、指先を組んでピラミッド型を作ったまま、床に跪き、涙と鼻水を流して命乞いを続ける王城を静かに見下ろしている。10年で300億円もの金を着服した男。あれだけ大胆なことをしておきながら、今では失禁しそうなほど怯え、ひたすら命だけは助けてほしいと懇願していた。王城は床を這うようにして章真の足元へ近づく。両手で必死に章真の脚へしがみつき、涙に濡れた顔で訴えた。「章真……頼む、お願いだ……長年お前についてきた情けに免じて……それに、お父さんとの付き合いもあったじゃないか……警察だけは勘弁してくれ……娘はもうすぐ結婚するんだ。相手は司法関係の仕事をしていて、本当にいい縁談なんだよ。あの子に『汚職犯の父親』なんて肩書きを背負わせたくない……章真……俺たちはどちらも父親じゃないか。どうか、その気持ちをわかってくれ……頼む……本当に頼む……」章真はふっと口元を緩めた。皿の上の焼き菓子を1つ摘まみ、そのまま王城の口元へ運ぶ。王城は一瞬目を見開いた。章真が何を考えているのか、まるで読めない。だが機嫌を損ねるわけにはいかない。彼は跪いたまま素直に口を開け、餌を与えられる犬のように差し出された菓子を受け入れた。章真は1つ押し込む。まだ噛み終わらないうちに、2つ目。さらに3つ目。4つ目。5つ目――容赦なく次々と押し込まれ、王城の頬は限界まで膨れ上がる。顔を真っ赤にし、首筋には血管が浮き、苦しそうに無理やり咀嚼しながら、それでも必死に愛想笑いを浮かべ続ける。目尻からは涙だけが零れ落ち、その姿は滑稽で、哀れそのものだった。だが章真は、そんな男を憐れむことなどなかった。軽く頬を叩き、吐き出すことを許さない。そして穏やかな口調で言う。「娘のことを本当に考えていたなら――最初からこんな真似はしなかったはずだ。300億円だぞ。一生どころか、何度人生をやり直しても塀の中だ。さっき父の情に免じてと言ったな。王城さん。父が信頼して、お前を副社長まで引き上げたんだ。その恩に、お前はどう報いた?300億円の横領か?
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