ただ……俊永はこの一連の流れに関わってる?どれだけ関わってるのか?楓は彼女の表情がどんどん冷たくなるのを見て、おずおずと尋ねた。「ディレクター、今後どうされるつもりですか?」風歌はスマホを楓に返し、まるで気にしていないかのように仕事へと目を戻した。「今は特に何も。もうすぐガールズグループの企画書提出だし、仕事優先で片付けるよ」「えっ?」楓はあ然としたまま声を上げた。「ディレクター、それじゃ相手がどんどん調子に乗って、状況もっとひどくなりますって!」風歌はそれに答えることなく、すでに完全に仕事へと集中していた。どうしようもない、何を言っても動かない。彼女の考えていることがまるで読めず、楓は肩を落として溜息をつき、オフィスを後にした。それから数時間も経たないうちに、ネット上の炎上は一気に加速し、トレンド上位に食い込んだ。風歌側が沈黙を貫いたことで、まるで誰かが仕掛けたかのように情報サイトやバズアカが次々とネタを煽り立て、世論は完全に一方通行になった。ついには風歌がかつて児童施設で育った孤児だという過去まで暴かれ、さらにはアングルで働いていることまでも晒された。アングルの前には報道陣が殺到し、彼女を捉えようと機会をうかがっていた。同じ頃、株式市場でもアングルの株価はわずか一時間で2%の急落を記録し、さらに下落の気配を見せていた。ネット上の論調は完全に柚希寄りだった。「柚希お嬢様が可哀想すぎる!御門さんとあんなに相思相愛だったのに、こんな腹黒女に割り込まれるなんて!」「こいつマジで消えてほしい。人にワインぶっかけるなんて傷害罪で逮捕でしょ普通!」「そうそう、不倫女ってだけでも最低なのに、やっぱ親のいない孤児ってのはろくでもない」「アイドルのファンです。会社は即刻この問題児を解雇すべき!素行の悪い社員がいると、うちの推しの評判にめちゃくちゃ悪影響なんだけど!」「同意」「全力で集団抗議に賛成!」「……」スマホを手にした柚希は、部屋のリクライニングチェアにもたれながら、頬が緩みっぱなしだった。あの女、もう二度と偉そうな顔できないでしょ。このままじゃ、アングルも風歌みたいなゴミ社員をさっさとクビにして、火種から距離取るでしょ?駿にも本性バレてるだろうし、きっとあいつも風歌を切り捨てる
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