おそらく、三年間の結婚生活の中で、これほど悲しいと感じたことはなかった。本当は景苑には戻りたくなかった。けれど、気がつくと、足はすでに景苑の門の前で止まっていた。ドアを開けると、室内は暗く、人の気配もない。キッチンの調理台には、昨夜八雲が作った料理がそのまま置かれていた。すっかり冷えきっている。手つかずの料理をしばらく見つめてから、私はふっと口元をゆるめて笑った。背を向けて立ち去ろうとしたとき、目尻から一筋の温かい雫が滑り落ちた。本当に、滑稽だ。八雲はいつも仕事が忙しく、この三年間の結婚生活の中で、料理を作るのはずっと私の役目だった。思えば、この冷えきった料理は、八雲が私のために作った最初の食事だった。けれど――この料理もまた、小道具にすぎない。私にあの取引を受け入れさせるための、小道具。なんて哀しいのだろう。私は目元の涙を適当にぬぐい、浴室へ向かった。湯船に浸かったとたん、急にひどく眠くなった。ここ数日、ずっと気が張り詰めていたせいだろうか。ぬるいお湯に包まれて、ようやく少しだけ体の力が抜けた。もともと十分に休めていなかった上に、この二日間は出来事が多すぎた。疲れが一気に押し寄せてきたのだろう。頭がどんどん重くなり、立ち上がって寝室へ戻る気力さえ湧かない。そのまま浴槽の縁にもたれかかり、意識がぼんやりと遠のいていった。気がつけば、過去に戻っていた。私たちの、過去に。それほど遠くない、ほんの少し前のこと。二年前の八雲は、今とは違っていた。私たちは形だけの結婚とはいえ、あのころは彼はまだ私に優しかった。仕事が忙しいのは変わらなかったけれど、それでも時間を作ってそばにいてくれたし、私を喜ばせようとしてくれた。たまに彼の帰りが早く、まだ夕食ができていないと、上着を脱いでキッチンに入り、私と一緒に料理をしてくれた。ただし、その手伝い方は少し変わっていた。にんにくやねぎの皮をむいてくれるのだけれど、普通に隣に立つのではなく、私の腰を抱き寄せたまま、体をぴったり寄せて作業をするのだ。すらりとした腕が私の腰に回り、吐息も声もすぐ耳元に落ちてくる。「ねえ、優月って本当に腰が細いな」からかうような声に、耳たぶがくすぐったくなり、頬の奥がじんわりと熱を帯びる。胸の奥まで、
Read more