Semua Bab 離婚後、元夫の溺愛が止まらない: Bab 51 - Bab 60

番組チームが拠点としている山荘には、夜になっても灯りが煌々とともっていた。夕食を終えた出演ゲストたちは、制作陣に案内されて、山荘の奥にある宿泊棟へと移動した。この場所には、かつて由緒ある一族が代々受け継いできた城があったという。しかし時代の流れと共に家運が傾き、経営も立ち行かなくなった結果、他の資本に買収されることとなった。現在の建物は、当時の城の造りを活かしながらも、現代的なホテルとして大幅に改装・増築されたものだった。城の正門には、どっしりとした円柱がいくつも並び、その柱には緻密な彫刻模様が刻まれている。目に飛び込んでくるのは、重厚な赤木のフェンス。赤茶の屋根の上には尖塔の鐘楼がそび

「このコンテスト、なんだかややこしくて、もうお尻が痺れちゃったわ」紗月はすでに座っていられない様子で、小さい頃から講義や授業が何より苦手だった。「そして最後に——皆さんが一番気になっている、優勝者への賞品についてです」司会者の言葉に、ちょうどトイレを理由に抜け出そうとしていた紗月の耳がピクリと動いた。思わず腰を落ち着け、続きを聞こうと姿勢を正す。「最終優勝者には、パリ・ファッションウィークの首席デザイナーチームとしての参加権が与えられます。渡航・滞在を含むすべての費用は、東興エンターテインメントと提携企業である瀬名グループが全額負担します」司会者はもったいぶるように間を置き、それから賞

そしてすぐに肩を落としながらため息をついた。「まだ初日なのに、もう辞めたいって思ってるわ。あなた、本当に忍耐力あるよね」真依は落ち着いた表情で答えた。「たとえ今、私が尚吾の妻だってバレても、みんな釣り合わないって言うだけ。本当に相手を黙らせるのは口じゃなくて、実力よ。それにね、もともと私は尚吾と離婚しても何も得られなかった。でも今は、あんなに大きなダイヤモンドがある。それだけでも、ちょっと得した気分」紗月の目がぱっと輝いた。「そうよね。あなたが大きく名を上げて、玲奈の不倫を暴露すれば、名声も立場も両方手に入る。今どれだけあの女が脚光を浴びてても、あとで全部ブーメランになるわ。あのクズカッ

抽選が終わり、それぞれ部屋に戻る途中、真依ふと隣の部屋に目をやった。この部屋、空いているみたいだ。まだ誰か来るのか？そう考える暇もなく、真依は紗月の部屋に入り、すぐに玲奈の体型をもとにしたデザイン画を描き始めた。もしまたルールが変わったら困るからと、念のため紗月用の準備を進めておく。気づけば、作業は深夜1時近くまで続いていた。「あとちょっとで終わらせて寝ましょう」真依はそう言って、道具を片付け始めた。……そのころ尚吾は、急いで番組の現場へと向かい、寛貴の案内で寛人が用意した部屋に入った。部屋の前で一度立ち止まり、隣の部屋のドアを一瞥する。少しの間だけその扉を見つめたあと、視線を

玲奈は尚吾に見送られながら玄関へ向かっていたが、ふと目に留まった。玄関の棚の下から、白い紙が少しだけ覗いていたのだ。足を少しずらし、斜めの角度からその紙を見ると、それはデザイン画だった。玲奈は先ほど耳にした噂をすぐに思い出した。さっき耳にしたばかりだ。投資家が番組の現場に紛れ込んでいて、もしカメラに多く映りたいなら、うまく取り入るべきだと。玲奈は、まさにそんな女たちが尚吾に群がるのではないかと危惧していた。だからこそ、寛貴から尚吾が来ていると聞いたとたん、慌てて駆けつけてきたのだ。まさか、もう誰かが手を打ってるんじゃないでしょうね？デザイン画をじっと見つめる玲奈の瞳に、ふと一瞬だけ