なんだか浩平が手を組む話を持ち掛けてきたのは、何か下心があるようだな。綾は、彼が真奈美を狙っているのではないかと推測した。しかし、今、綾が一番心配しているのは輝のことだった。周りの年長者は皆、輝とあの我妻家の令嬢を気に入っているようだが、綾は輝があまり乗り気ではないように感じていた。綾は彼に尋ねた。「彼女は、どんなお仕事をされているの?」「鑑定士だ。二つのオークションハウスを経営している」輝は答えた。「鑑定士なんだ。じゃあ、二人とも同じ業界だね。共通の話題もあるし、確かに良い組み合わせだと思うけど」綾は頷いた。「彼女は多才な人だ。琴や絵画、書道など、何にでも精通していて、本も出版している。そして、作詞作曲も手掛けているらしい」「そんなにすごい人なのね。H市の我妻家は代々才女を輩出しているってよく聞くけど、本当みたいね」綾は思わず感嘆の声を漏らした。「彼女のおじいさんは絵の収集を大変好んでいて、以前、私の祖父の絵を手に入れるために、わざわざ訪ねてきたことがあったんだ。二人は意気投合し、最終的に祖父は自身の筆納の作品を彼に贈ったんだ。そしてそのお返しに彼から祖父に数十億円相当の骨董品が贈られ、二人の間には強い友情が芽生えたんだ」「それで、彼らは、両家を親睦を深めようとしているってこと?」輝は頷いた。綾は彼を見ながら言った。「家柄や身分が釣り合っているのはもちろん大切だし、あの令嬢も優秀な人よ。こう見るとあなた達はお似合いのように感じるけど、恋愛というのは条件が全てってわけでもないから。私の言いたいこと、分かるでしょ?」それを聞いて、輝のまつげが小さく震えた。彼は綾の言わんとしていることを理解していた。「分かっている」輝は視線を池の鯉に移しながら言った。「確か優秀で、性格も優しい。彼女と結婚すれば、きっと理想的な妻の役割を果たしてくれると思う」夜の庭園は静まり返り、池の滝のせせらぎだけが聞こえてくる中、男の低い声は、響いていた。そして、庭園へと続く小さな扉のところには、音々が立っていた。明かりの下、彼女のすらりとした姿は、どこか膠着しているようだった。輝の言葉は、一言一句、音々の耳に届いていた。彼女の手には、海外から取り戻したばかりの骨董品があった。輝がずっと探していた15世紀の磁器だ。ま
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