Todos os capítulos de 碓氷先生、奥様はもう戻らないと: Capítulo 1021 - Capítulo 1030

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第1021話

「この浮気もの!」輝はスマホを奪い取り、怒鳴りつけた。「私のこと一番好きだって言ってたのに!たった一晩で、I市まで新しい男探しに行くなんて!」音々は数秒固まった後、怒りを通り越して笑ってしまった。「あなたが他の女と結婚しようとしてるのに、私が新しい恋を見つけるのはダメなんですか?自分勝手すぎませんか?」「誰が結婚するって言った?勝手に決めつけるなよ!」輝は苛立ち、まくし立てた。「詩乃さんとの結婚は、まだ考えている段階だ!まだ付き合ってもいないのに、結婚なんてありえないだろ!」「へえ」音々は無関心に言った。「彼女みたいな素敵な女性なら、早く結婚しちゃえばいいじゃないですか。私はもうあなたに未練はないから、これ以上、誤解されるのも面倒ですし」輝は何も言えなかった。「ホテルに着いたから、もう切りますね」ツーツー――輝はスマホを睨みつけ、険しい顔色になった。「見たかよ!」彼は綾の方を向き、訴えるように言った。「彼女はいつもこうなんだ。さっきまで好きだ好きだと言ってたのに、イケメンが通りかかった途端、口笛吹いてナンパするんだぞ!」綾は何も言えなかった。「ダメだ!」輝はスマホを綾に返し、自分のスマホを取り出して連絡先を開いた。「私もI市に行く!」綾は呆れながらも笑った。「I市は広いんだから、行ったって音々には連絡つかないでしょ」輝は言葉を失った。「輝、これで完全に振られたね」「私は、彼女がすぐに気持ちが変わるのが気に入らないだけだ!」輝は強がった。「私を好きだとか言ったわりには、急に冷たくなったりするし、一体どういうつもりなんだ!」「そういうあなたのほうこそ、子供っぽいのよ」綾は首を横に振った。「でも、自分の気持ちに気づいたのはいいことね。音々の居場所は、酒井さんが知ってるかもしれないから、誠也に聞いてみるね。あなたは先にI市に向かったら」「わかった!」輝はすぐに荷造りを始め、その日の一番早いI市行きのチケットを取った。......一方で、新井家。子供たちと再会した後、真奈美は若葉に、子供たちを数日間、新井家に泊めさせてほしいと相談した。彼女は今の自分なら精神状態は落ち着いているし、子供たちの世話もきちんとできると考えたからだ。若葉は承諾した。それを知った大輝は、真奈美が一人で心優の世話
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第1022話

「真奈美、これ、石川のおじいさんとおばあさんから持ってきてくれって頼まれたものよ。二人はいつもあなたのことを心配しているから、必ず受け取ってほしいと何度も念押しされたのよ」真奈美は若葉を見て、困ったように言った。「この間も、たくさんいただいたばかりでした」「取っときなさいよ」若葉は持ってきたものを置いて、真奈美の手を握り、優しく手の甲を叩いた。「おじいさんとおばあさんの気持ちなのよ。受け取って、安心させてあげて」真奈美は少し困ったが、若葉にそこまで言われては、これ以上断るのも悪いと思った。大輝と離婚はしたものの、石川家の皆は変わらず優しくしてくれるので、あまりよそよそしくするのも申し訳なかった。真奈美は優しく微笑んで言った。「ありがとうございます。彼らによろしくお伝えください」若葉は嬉しそうに言った。「あなたが受け取ってくれるだけで、なにより嬉しく思っているはずよ!」そう話していると、聡は心優を抱っこしてやって来て、若葉に挨拶をした。若葉は笑顔で聡に頷き返した。二日間も心優に会えなくて寂しかった彼女は、すぐに手を伸ばした。「心優、おばあさんに抱っこさせて」心優は歯固めを囓っていたが、聞き慣れた声を聞いて若葉の方を向くと、よだれでベタベタになった歯固めを差し出した。「あぅあぅ」おやつを分けてあげようとしているようだ。若葉は面白がって言った。「おばあさんは食べないわよ。心優が食べて」心優は何を言っているのか分からず、再び歯固めを口に入れて一生懸命に囓り、抱っこされようとする様子もなかった。「心優はおじさんに懐いてるのね」若葉は笑って言った。「石川家にいる時は、ほとんど大輝にべったりなのに。特に夜泣きする時は、誰が抱っこしてもダメで、大輝じゃないと泣き止まないのよ。大輝も、心優が生まれてからは、付き合いで外に出ることもなくなったし」そう言って、若葉は一瞬固まり、余計なことを言ってしまったと少し悔やんだ。それを聞いて、聡の顔は一瞬にしてこわばった。彼自身は嫌というわけではないのだが、ただ、真奈美の気持ちを考えると......その一瞬なんとなく、気まずい空気が流れた。若葉と聡は、思わず真奈美の方を見た。真奈美は二人のためらいを感じ取っていた。けれど、大輝は二人の子供の父親だ。自分の感情だけでいつま
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第1023話

......方や庭では、7人乗りのSUVの後部座席のドアが開いた。大輝は車から降り、聡から心優を受け取った。「この二日間、世話になった」聡は彼を一瞥した。「俺は心優の叔父だ。改まって礼を言われるような仲じゃないだろ」それを聞いて、大輝は唇を真一文字に結んで微笑んだ。聡は大輝の肩を軽く叩いた。「この五ヶ月、一人でよく頑張ったな」大輝は一瞬、呆然とした。そして、聡が低い声で続けた。「真奈美はきっと良くなる。俺たちの人生もきっともっと良くなるさ」大輝は俯き、喉仏が上下に動いた。込み上げてくる感情を必死に抑え込んだ。彼は心優をチャイルドシートに座らせ、シートベルトを締めた。心優は眠たそうだったので、大輝は彼女のおしゃぶりを口にくわえさせた。それくわえた心優は、口を何度か動かした後、すぐに目を閉じて眠ってしまった。大輝は心優にブランケットをかけ、立ち上がって玄関の方を見た。若葉は真奈美の手を握っていた。二人の雰囲気は相変わらず和やかだった。若葉が何かを言ったのだろう、真奈美は小さく微笑み、頷いて応えた。大輝は、まるで時が止まったかのように、彼女たちから目を離すことができなかった。ほどなくして、若葉は車の方へ歩いてきた。真奈美は視線を向けると、大輝と目が合った。あまりにも突然のことで、二人は明らかに驚いて、一瞬の間、固まってしまった。大輝は息が詰まり、ドアに手をかけた。手のひらはたちまち汗ばみ、指先は震えていた。彼はその瞬間、あの日、真奈美が発作を起こして取り乱していた時の様子が、頭に浮かんだのだ。そして、大輝は胸が締め付けられるように痛みを感じ、慌てて視線をそらすと、車の中に飛び乗った。真奈美の病気はようやく快方に向かっている。自分のせいで悪化させるわけにはいかない。大輝はハンドルを強く握りしめ、深く頭を下げた。若葉は大輝の様子を見て、諦めたようにため息をついた。そして、聡に別れを告げ、彼女も車に乗り込んだ。哲也はまだ学校なので、午後、学校が終わったら、石川家の運転手が直接迎えに行くことになっている。聡と若葉は手を振った。車はUターンして、新井家を後にした。聡は視線を戻し、真奈美の方を向いた。真奈美は玄関先に立って、聡と見つめ合い、静かに微笑んだ。彼女は相変わらず落
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第1024話

部屋番号は分かったが、輝は部屋まで上がれなかった。「申し訳ございません、お客様の宿泊情報が見つかりません。お連れ様とご予約された場合は、お連れ様にフロントまでご連絡いただくようお伝えください。情報を確認させていただきます」フロントでそう言われ、輝は言葉が出なかった。音々にはブロックされているのだから、連絡を取れるわけがなかった。仕方なく、彼はロビーで待つことにした。だが、昼から夕方まで、行き交う旅行客を一人も見逃さないように見ていたが、音々の姿はどこにもなかった。日が暮れ始め、輝は顔を手で覆い、ため息をついた。そして、スマホを取り出して、出前でも注文しようかと考えていたその時、見慣れた姿が視界に入った。輝はハッとして、顔を上げると、そこにはキャミソールのワンピースを着ている音々の姿があった。そしてその身にまとったくるぶし丈のスカートは彼女が歩くたびに揺れていた。さらに、音々の隣には、彼女より頭一つ分は大きい若い男がいた。男は短髪で、カーゴパンツに黒のTシャツを着ており、胸筋と上腕二頭筋がよく目立っていた。音々は男と話しながら歩いていて、二人とも楽しそうだった。輝は勢いよく立ち上がり、二人に向かって大股で歩いて行った。「中島!」怒鳴り声を聞いて、音々は驚いた。そして、怒りを露わにした輝がこちらへ歩いてくるのが見えた。彼女は思わず足を止めた。輝は音々の前に来ると、隣の男を一瞥し、そして笑顔が消えた彼女の顔を見た。「どこに行ってたんだ?」輝は歯を食いしばって言った。「私が来ていなかったら、彼を部屋に連れ込んでたのか!」それを聞いて、音々は思わず吹き出しそうになった。知らない人が見たら、それはまるで本命の彼氏が浮気現場に乗り込んできたみたいだ。「岡崎さん、私はあなたに自分の行動を説明する義務はないし、あなたに私のプライベートを干渉する権利もありません」音々は輝を見て、冷淡な口調で言った。「道をあけてください。他の人の婚約者とは関わりたくありませんので」「言っただろ!私は詩乃さんとは何もない!」輝は苛立ち、声を荒げた。「あなたが怒っているのは分かる。説明もする。だけど、何も言わずに姿を消すのは許さない。ましてや、他の男を連れ込むなんて!」音々は怒り狂う輝を見て、冷たく微笑んだ。「あなたは一体何様で
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第1025話

輝がここまで追いかけてきたってことは、きっと自分のことを気にかけてくれているんだと音々は思った。だけど、彼がどれくらい真剣なのかを音々は分からなかった。一方で、輝は両手を握りしめ、喉仏を何度も上下させながら、なかなか口を開かなかった。痺れを切らした音々は、もう待つのはやめようと思った。「岡崎さん、もう帰ってください。用があればまた連絡は取れますから」音々はそう言うと、隣の男性の方を向いた。「じゃあ、明日の朝9時にビーチのカフェで会いましょう、先に部屋に戻りますね」男性は頷いた。「ああ」音々は男性に微笑むと、輝の前を通り過ぎてエレベーターへと向かった。「音々――」輝は大声で叫び、スーツケースを持って彼女を追いかけた。音々は早足でエレベーターに乗り込み、閉ボタンを押した。「待て、音々!」エレベーターのドアが閉まろうとした瞬間、輝は手を差し出したが――手が挟まり、ドアは自動的に開いた。輝はエレベーターの中に駆け込み、無表情な音々を睨みつけた。「このホテル、満室なんだ」「ここは海沿いの有名なホテルですから、満室なのも当然でしょう」輝は音々をじっと見つめた。音々は彼に見向きもせず、52階のボタンを押した。エレベーターのドアが閉まった。二人は沈黙していた。途中で何組か人が乗り込んできて、輝は隅に追いやられた。52階に到着すると、音々はスムーズに降りていった。輝は焦って、彼女に呼びかけた。「音々、待て!音々、お願いだから......」だが、音々は聞こえないふりをして、振り返らなかった。輝はエレベーターから出て、スーツケースを引きながら音々を追いかけた。音々はルームキーをかざしてドアを開け、中に入ろうとした。ドアが閉まろうとするのを見て、輝は叫んだ。「好きだ!音々、あなたが好きなんだ!」バタンとドアが閉まった。輝は閉ざされたドアを見つめ、スーツケースのハンドルを握りしめていた。走ってきたので、胸はまだ小刻みに上下している。しばらく呆然と立ち尽くした後、深く息を吸い込んで、ドアをノックした。「音々、開けてくれ。確かに以前はあなたに冷たくしてた。でも、その時はまだ自分の気持ちに気づいてなかったんだ。それに、私は恋愛経験がないから、少し時間がかかっても仕方ないだろ...
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第1026話

輝は喉仏が上下に動き、背筋がゾッとした。「音々、落ち着いてくれ。そんなに焦らなくてもいいだろ......まず、手を離してくれ......」輝は緊張のあまり、言葉が支離滅裂になっていた。「恋愛って、段階を踏んでいくものだろ?まずは、話をするところから始めよう......」「私はもう32歳ですよ!」音々は目を細めた。「男に惚れて、その人と愛し合いたいと思うのは問題でもあるんですか?」「......いいえ、ない」「だったら、なにをためらっているのですか?29歳にもなって、好きな女性に対してその程度の感情も湧かないなら、二つの可能性が考えられますよ。一つは、私のことが好きじゃないことで、二つ目は、あなたがダメ男だってことですよ!」それを言われ、輝は驚きの表情を浮かべた。男として、ダメ男呼ばわりされるのは絶対に許せない。輝は音々の両手首を掴んだ。「後悔するなよ!」音々が状況を理解するよりも早く、輝は力づくで彼女を制圧した。不意を突かれた音々は、何が起きたのか分からず、あっという間に主導権を奪われてしまった。背中がドアに押し付けられた瞬間、音々の心臓は高鳴った。この程度の拘束なら、音々の腕力なら簡単に振りほどくことができる。しかし、相手が輝だからこそ、彼女は身を任せた。輝は音々の両手をドアに押し付け、身を屈めた。額と額が触れ合い、輝の鼻先が音々の頬に触れた。彼は目を閉じ、唇をゆっくりと近づけていく。そして、ついに彼女の唇に触れた......音々は息を呑み、目を強く閉じ、まつげを震わせた。口で言うのと実際にするのとでは大違いだ。こういう場面では、彼女も実は経験が不十分なのだ。輝は29歳になるまで、恋愛経験がなかった。唯一のキス経験は、音々の挑発に乗せられて、わけも分からずしてしまったものだった。正直、あの時は勢い余って、何も考えずに突っ走ってしまった。頭に血が上り、ただひたすらキスをした。経験もテクニックもなく、ただただ挑発されたことに対する反発心だけで突き動かされていた......キスが終わると、彼は一目散に逃げ出した。今思い出しても、唇が痺れていたことと、なぜか切れて血が出ていたことしか覚えていない。それから数日間、歯磨きや食事の度に、傷に触れては顔をしかめていた。全然ロマンチックじゃなかった。
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第1027話

......興奮しすぎて、荷物のことなんてすっかり忘れてた。音々は思わずクスっと笑って、輝を軽く押した。「早く取ってきてくださいよ」そう言われ、輝はベッドから起き上がり、床に落ちていた白いTシャツを拾って着た。そして、顔を手でサッと拭いてから、咳払いをし、ドアに向かった。音々もまた上半身を起こし、乱れたロングスカートを整えた。そして、輝がドアを開けて、清掃員からスーツケースを受け取る様子を後ろから覗いた。「ありがとうございます」輝は清掃員に礼を言ったが、声を出した途端、ひどくかすれていることに気づいた。清掃員は彼の口元に付いた口紅に気づいたが、ホテルで長く働いていると、こういう場面にも慣れている。彼女は平静を装い視線を逸らすと、「それでは、ごゆっくりお休みください」と言った。軽く頭を下げて、清掃員は去って行った。輝はドアを閉めて振り返った瞬間、何かが飛んできた。咄嗟にそれを受け止めた。見てみると、なんとコンドームだった。輝は言葉が出なかった。さっきは良い雰囲気だったので、流れに身を任せていた。だが、一度中断されてしまうと、また最初からやり直すのは......輝は顔を手で覆い、深く息を吸い込んで、ベッドに座っている音々を見た。落ち着いて話し合う必要があると感じた。「音々、私たち、ちゃんと話し合った方がいいと思う」音々はスカートの裾を指で弄びながら、あまり乗り気じゃなさそうに尋ねた。「ちゃんと話し合うって?どれくらいちゃんとなの?」輝は唇を噛み締め、少し考えてから言った。「つまり、あなたが私に言い寄ってきたのは、本当に私のことが好きだからなんだよな?」「当たり前でしょ!」音々は呆れて笑い出した。「あなたのこと好きじゃなかったら、こんなことに一年以上も時間をかけると思う?そんなに暇なわけないじゃない?」輝は一歩前に出て、彼女の目を見て、真剣な表情で言った。「じゃあ、ずっと今みたいに私のこと好きでいてくれるのか?」「そんな話になると、ちょっと重くない?」音々はスカートの裾を引っ張り、足を組んで顎に手を当てた。「先のことは誰にも分からないけど、少なくとも今は、すごく好きだし、一緒にいたいって思ってる」「それは聞き捨てならないな」輝は眉をひそめ、不満そうに言った。「私は初めてなんだぞ。しかも、あ
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第1028話

白い足首には、まるでアンクレットのように小さな外国語のタトゥーが刻まれていた。輝は喉仏を上下させ、突然膝を曲げてしゃがみ込み、落ち着きなく動く音々の足を掴んだ。大きな掌で彼女の足を包み込み、ゆっくりと上に滑らせながら、指先でそのタトゥーを優しく撫でた。顎を少し上げ、軽く唇をあげ、目の前の女性をじっと見つめながら、「何て書いてあるんだ?」と尋ねた。「感情に惑わされず、理性を常にたもつこと」っと音々は答えた。そして、そう言いながら彼女は指先で彼の唇についた口紅を拭いながら言った。「以前は、この言葉が自分にぴったりだと思っていた。戒めとして、体に刻んだの。でも今考えると、少し青臭かったような気もする」輝は笑いながら尋ねた。「それは、恋をすると理性が吹き飛ぶからか?」音々は彼を見つめ、眉を少し上げ、色っぽい視線で言った。「少なくとも、あなたに出会う前は、年下の男を好きになるなんて思ってもみなかったけど」輝は眉をひそめ、少し不満そうに言った。「年下はいいもんだぞ。体力もあるし、あなたは今まで見る目がなかったってことだよ」音々は彼をからかうように言った。「試してみないと分からないんじゃない?」そう言われ、輝は歯を食いしばり、彼女の足首を握る手に力を込めた。「今すぐ、年下の男の良さを教えてやる!」音々は柔らかなベッドに倒れ込み、スカートの裾が捲れ上がった。そして彼女は年下である彼の激しいキスに溺れ、その大きな手で身を焦がした。......3分後、ベッドの動きは突然止まった。輝は音々の首元に顔を埋め、身動き一つしなかった。音々は天井を見つめ、しばらくして状況を理解した。彼女は瞬きしながら、「輝?」と呼んだ。輝は彼女の首元に顔を埋めたまま、泣きそうな声で言った。「初めてだったんだ......笑わないでくれよ」音々は何も言えなかった。初めての彼は、緊張しすぎていた。何もかもが始まる前に、一瞬にして終わってしまったのだ。音々は実経験はなくても、仕事柄、そういうことは熟知していた。輝に出会う前は、そういうことにあまり興味がなく、どちらかと言えば、視覚や精神的な刺激を求めていた。でも、好きな人としてこそ意味があると思っていた。そうでなければ、動物と変わらないじゃないか。それに、優秀なエージェン
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第1029話

すると音々はまた、輝のキスにすっかり夢中になっていた。そして、突然、鋭い痛みが走った。男の動きが一瞬止まったのが分かった。「あなたは......」輝は顔を上げ、欲望に染まった瞳に驚きを浮かべた。「初めてなのか?」音々は答えず、彼の首に腕を回し、顔を上げて唇を重ねた。「他のことに気を取られないで......」だが輝はその事実にかなりの衝撃を受けた。彼は目を閉じ、言葉にできないほどの高揚感が胸に広がるのを感じた。そして、その熱い想いはそのまま行動に移され、音々に確かに伝わった。音々は今夜、屋台に行こうと思っていたのに、思いのほか計画を狂わされてしまったのだ。この夜、輝は年下の男としてのアドバンテージを遺憾なく発揮した。29年間、禁欲生活を送ってきた男は、一度その味を知ると、もやは止められないのであった。夕暮れ時から深夜まで、ベッドからバスルームまで、そして午前1時まで、輝は音々をずっと解放しなかった。とはいえ、ずっと止まっていたわけではなかった。10時過ぎに、二人はバスルームでシャワーを浴び、輝が出前を注文した。出前が届くと、二人は海が見えるバルコニーで、食事をしながら夜景を楽しんだ。バスローブ姿の音々は、うつむいて食事をしていると、胸元が少しはだけて、男が残した痕が見えていた。輝は音々の向かいに座り、何気なく視線を向けると、目が釘付けになった。だが、音々は全く気づいていなかった。彼女は体力があり、今は任務についていないとはいえ、毎日トレーニングを欠かさないでいた。こういうことに関しても、音々は経験がないから、疲れ果てて動けないほどではないものの、初めてのことで、体のある部分が少し違和感を感じていた。食事を終えると、音々は立ち上がって伸びをし、あくびをした。「歯磨きしてくる。片付けはお願いね。もう寝るから、おやすみ」彼女は至ってあっけらかんとしていた。その様子はまるで百戦錬磨の恋愛マスターのようだった。だから輝も以前は、音々のそんなサバサバした態度に騙されていたのだ。彼女は男遊びが激しくて、たくさんの男と関係を持っていると思っていた。なんせ、あの口から出る言葉は、何でもありだったから......しかし、今、彼は真実を知った。不思議な感覚だった。輝は処女にこだわっているわけでは
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第1030話

その結果、音々は三日ぶっ通しでホテルから一歩も出ることがなかった。三日間で、ゴムを一箱使い切った。二人の状態は両極端だった。輝は最初の恐怖から夢中になり、音々は最初の夢中から恐怖へと変わっていった。四日目、音々はトイレに座って、予定通り生理が来たのを見て、安堵のあまり涙が溢れてきた。生まれて初めて、生理がこんなにもありがたく思えた。方や、輝は体を重ねることだけでなく、恋人としてもすぐにその役割に馴染んでいった。彼は自ら薬局へ行き、音々のためにナプキンとカイロを買ってきた。音々は長年一人で何でもやってきたため、こんな風に世話を焼かれるのは初めての経験だった。彼女は丈夫な体質だったが、以前の訓練が原因で生理痛に悩まされることもよくあった。組織を離れてからは医師の診察を受けていたおかげで、症状は少し改善されていた。それでも、生理の初日はお腹と腰が痛むものの、いつもならこの程度の不快は我慢していて、特に気にしていなかった。しかし、輝はそうは思っていなかったようだ。彼は音々を強引にベッドに寝かせ、お腹にカイロを貼ってあげた。それはとても温かくて、気持ちよかった。「今日は出かけないで、ゆっくり休んでな」輝は彼女に布団をかけ、エアコンを27度に設定した。「......27度って、ちょっと暑くない?」そう言いながら、音々は布団から足を出し、涼もうとした。「ネットで調べたら、生理中は冷やしちゃダメだって書いてあった」輝は布団を引っ張り、音々の足先を覆った。そう言って彼はちみつ入りの暖かいハーブティーを入れてきた。そして、そのハーブティーを持ってベッドの傍まで行き、音々の隣に腰を下ろした。「ネットで調べたら、生理痛の時は暖かいものを飲むといいって書いてあったんだけど、薬局にはハーブティーしか売ってなかったんだ。とりあえず、これ飲んで少し寝てな」「そこまでしなくても大丈夫だよ」音々は微笑みながら言った。「私はそんなに弱くないし、ただの生理でダウンしたりしないから」「そう言う問題じゃないんだ」輝は真剣な表情で彼女を見つめた。「以前はどうだったか知らないけど、今は私が傍にいるんだから面倒を見てやるのは当然のことだろ?甘える時は甘えろよ。音々、彼氏に甘えるのは悪いことじゃないんだぞ」音々は感情的なタイプでは
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