優希が起き上がるのはつらいだろうと、梓は看護師にストローをお願いした。優希はストローで水を一杯飲み干すと、焼けるように痛かった喉がようやく少し楽になった。水を飲み終えると、彼女も少し元気を取り戻した。梓は優希にもう一度目を閉じて眠るように、そしてもうすこし回復するまで付き添っているから、ゆっくり休むといいと言った。「もう眠れないや」優希は彼女を見上げ、少し戸惑ってから梓に尋ねた。「私のスマホ、持ってきてくれた?」病院に来たときは熱で朦朧としていたから、スマホを持ってきたかどうかなんて、まったく覚えていなかったのだ。「持ってきたよ」梓はスマホを取り出して彼女に手渡した。「さっき新井社長から電話があったの。あなたが熱を出したって知ったら、心配して夜通し飛んでくるんじゃないかと思って。だから、勝手だけど嘘ついちゃった。あなたがぐっすり眠っていて、スマホはリビングに置きっぱなしだって」そう言う間も、梓はずっと優希の反応を窺っていた。優希が怒るんじゃないかと、内心少し怖かったのだ。だが、優希はぱちぱちと瞬きをすると、梓を見つめた。特に表情を変えることもなく、ただ一言、「それで、彼は信じたの?」と尋ねるだけだった。「たぶん信じてくれたと思う」梓は言った。「最近、コンペでしょっちゅう徹夜してたでしょ。で、コンペも終わったから、これまでの寝不足を解消しなきゃって言ってたって伝えたの。それで特に疑う様子もなく、わかったって言って電話を切ったわ」優希はうなずいた。「わかった」「優希、その......勝手なことして、怒ってる?」梓は彼女の顔をじっと見つめ、探るように尋ねた。「どうしてそう思うの?」優希は梓を見て、呆れたように笑った。「ううん、よくやってくれたわ。哲也は今年は栄光グループを継いだばかりで大事な時期でしょ。それに、私も何かあるたびにすぐに駆けつけてもらうのは申し訳ないし。病気で心細いから、正直ちょっと会いたい気持ちもあったけど、私のせいで彼の仕事の邪魔はしたくない。だから、あなたのこと責めたりしない。むしろ感謝してるくらいよ。とっさにうまく隠してくれて本当にありがとう。もし彼が私の熱と入院を知ったら、あの性格だもの。きっとプライベートジェットで夜中にでも飛んでくるわ」それを聞いて、梓の張り詰めていた神経は完全に解
Ler mais