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第1299話

作者: 栄子
「哲也、や、やめて、離して......」

哲也は目尻を赤くしながら、優希をじっと見つめた。「優希、答えてくれ。俺が怒るのは、おかしいか?」

「私も、あなたが怒るのがおかしいなんて、言ってないじゃない......」優希はそう言いながら必死でもがいたが、まだ病み上がりで、少しも抵抗できなかった。

彼女は力が抜けてしまい、ため息をついた。「哲也、お願いだから離して。ちゃんと話して?」

しかし、哲也は応じず、力強く優希を抱きしめたままだった。

こうして、二人は見つめ合った。こんなにも近い距離だと、彼の瞳に映る痛みと怒りが、優希にははっきりと見えた。

「あなたは俺の彼女で、将来の妻になる人だ。病気で一番弱っている時こそ、俺に隠したりしないで、真っ先に頼ってほしかったんだ」

哲也は優希の瞳を見つめた。彼女の瞳には、確かに自分の姿が映っている。それなのに、どうしてこんなにも心がざわつくんだろう?

哲也は苦しんでいた。言いようのない虚しさが、ずっと彼の理性をかき乱していた。

こんなことをすべきじゃない。頭では分かっているんだ。

でも、どうしても自分を抑えきれなかった。

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