三日後、綾は音々からメッセージを受け取った。【アルバムをありがとうございます。おかげで、誠也はS国で治療を受ける決心をしました】綾は輝星エンターテイメントの定例会議中だった。メッセージが届いたのはその時だったが、綾は確認しただけで返信はしなかった。会議が終わると、綾は会議室を出て、そのままオフィスへ向かった。若美も綾の後を追った。オフィスに入り、若美がドアを閉めると、じっと見つめるように綾に近づいた。「綾さん、北条先生に何か連絡はありましたか?」綾はデスクに座り、目の前にいる愛らしい女性を見上げた。24歳の若い女性。演技派の女優である彼女は、生き生きとした瞳を持っている。そして今、その瞳には乙女心が隠されている。「彼とは、もう長いこと連絡を取ってない」綾は少し間を置いてから尋ねた。「あなたは連絡してないの?」「しましたよ」若美は少し困ったように言った。「メッセージを送っても既読にならないし、電話も繋がらないんです。本当に困っています」「今回は力になれないかもしれない、ごめんね」「もしかして、喧嘩でもしたんですか?北条先生が何か怒らせるようなことをしたんですか?」若美は瞬きをした。「いいえ」綾はただそれだけ言った。「本当に彼を探したいなら、古雲町の漢方診療所に行ってみるといいよ」「古雲町ですか?」若美は再びやる気に満ちた。「綾さん、先にご報告しておきますね。実は、私、北条先生のことが好きなんです。恋愛するのを事務所から制限されたりしませんよね?」綾は一瞬言葉を失った。これは、なかなか良い質問だ。若美は人気女優であるため、私生活にも注目が集まっている。しかし、綾は彼女に恋愛で話題作りをして欲しくなかった。芸能界の人間との恋愛は、発覚した場合のリスクが大きすぎる。だが、要のような一般人であれば、特に影響はないだろう。「一般人となら、内緒で付き合っても構わないわよ」若美はすぐに理解した。要は芸能人ではない。だから、大丈夫。「綾さん、ご安心ください。私はただこっそり北条先生を落としたいだけなんです。もし付き合えたとしても、誰にも言いません!」綾は優しく微笑んだ。「あなたももう大人だし、恋愛を制限するつもりはない。ただし、プライベートのスケジュールはきちんと管理して、行動は控えめにし
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