(せっかくこっちが労って提案したっていうのに、何なんだよ。コロコロ意見変えやがって。)この時の俺は、妻の真意を全く理解していなかった。それどころか、気分屋な女で面倒くさいとさえ思っていたほどだ。 義理の親に子どもを預けることをお願いすることの憂鬱さを知らなかった。仕事など致し方ない理由ではなく、夫婦で気分転換に遊びに行くために預かって欲しいなんて 裕子はリビングのソファでくつろごうと、缶ビールを開けようとしていたが、その手を止めて洗面所へと向かっていった。待っていたがなかなか戻ってこない。しばらくしてから、歯を磨いてそのまま寝室にいき子どもたちと寝たのだと分かった。「なんだよ、たまには夫婦水入らずで楽しもうと思ったのによ……。」裕子のことが嫌いになったわけではない。むしろ俺は、結婚して子どもが出来ても、夫婦の時間や楽しみを持ちたいと思っている。しかし、いつしか裕子は母になり、出掛けることや寝ている時に誘っても拒むことが増えるようになっていた。最近では、拒まれることが多く誘う気にもなくなっていた。「今日は久々に頑張って誘ってみたんだけどな……。」缶ビールのパッケージを眺めながら、誰に喋りかけるわけでもなく呟いていた。その言葉は、気泡のように静かに消えていく
Terakhir Diperbarui : 2025-08-24 Baca selengkapnya