佳奈side「あのさ……坂本ちゃん、この前はごめん!俺、酔っぱらったみたいで。変なことしていない?」あの夜から数日後、用事があり葉山に電話をすると、電話の最後に少しためらいながら葉山が謝ってきた。彼の声は、必死で後悔しているように聞こえた。「いえ……。肩を組んでキスしようとしてきただけです。」「それ、問題じゃん!何、『いえ……。』とか言っているの。ごめん、本当にごめん。何かお詫びさせて。」「お詫びは結構です。」「え、待って。それって会社に訴えるとかそういう感じで言ってる?ごめん、本当にごめん。どうしたらいいかな?」私のそっけない返事に葉山は焦りを隠せないようだった。「大丈夫です。訴えるとかそんなことは考えていません。でも、そうですね……それなら、今度の打ち合わせ後に少しお話を聞いてもらいたいことがあるのですが。仕事以外の話なので、出来れば社外がいいです。」「分かった。俺の事務所来る?と、言っても事務所兼自宅だけど。」葉山は独身。この前のこともあるし、仕事場とは言え、
 Last Updated : 2025-09-28
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