佳奈side「下期よりこの部門に配属になる部長の藤原だ。まだ分からないことも多いが、少しでも多く仕事を覚えて本来の部長職の業務を全うできるようにしたいと思うので、よろしくお願いします。」結婚式から二か月と少し経過したある日、人事異動で部長が変わることになった。新しい上司は五十代前半で、若くして結婚したため成人した二人の娘がいるそうだ。藤原の希望で部門の社員全員が個別で面談をすることになった。私は緊張しながら会議室のドアをノックし、中に入った。「坂本さん、だね。藤原だ。今後ともよろしく頼む。」「よろしくお願いします。」藤原部長は、私の顔をじっと見つめると人当たりの良い笑顔で話し始めた。「坂本さんは、仕事熱心でバイタリティ溢れる女性だと前任者から聞いたよ。」結婚後の面談を行った部長が、そんな風に話していたと思うと心が温かくなった。だが、その安心感はすぐに打ち砕かれることになる。「それで、坂本さんは今年結婚したばかりなんだね。でも苗字は旧姓の坂本のままなんだ。」「はい。今年の四月に。仕事では、
 최신 업데이트 : 2025-09-17
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