「アレク、起きてください! 重いです」 私の昨日の高熱の原因はスレラリ草の毒だったらしい。 もう、子が望めないと皇宮医が言っているのを聞いて泣いてしまった。 アレクは私を抱きしめて寝てしまったようだが、非常に重い。「モモ、熱は下がったのか」 起きるなり、私の額に手を当ててくる彼は心底私を心配しているようだ。「はい⋯⋯それから、アレクが私に申し訳ないと思う必要はないです。毒を盛られる可能性に気がつけなかった私に落ち度があるのですから」 私はランサルト・マルテキーズの娘で、私に子が産まれたら自分にとって危険だと感じ毒を盛るのは想像できた。 普段の私だったら予想できる事が、犬の記憶が蘇ったことで主人に対する疑念より忠誠の心が勝っただけだ。 「そんなこと言わないでくれ! 俺が毒については絶対に何とかするから」 アレクが私をキツく抱きしめてくる。 彼自身も、毒を何とかできるとは期待できないだろう。 そのような事ができていたらタルシア前皇后は死んでいない。「アレク、それよりもスラーデン伯爵の問題に集中してください。あと、おそらくマルテキーズ王国がまた刺客を送ってくると思います。レイ・サンダース卿より厄介な、ルイーザ・サンダース卿を⋯⋯」 「ルイ! ルイが来るのか?」 ルイーザ・サンダース卿はレイ・サンダース卿の双子の妹だ。 私がルミナを返したので、メイドという設定で送り込まれてくるかもしれない。 (ルイって、なぜ愛称で呼んでるの?)「アレクはルイーザ・サンダース卿をご存知なのですか? 彼女は女性ということで油断されますが、レイ・サンダース卿と並び立つ暗殺術を持っています。本当に女好きなのですね⋯⋯命が狙われるかもしれないというのに⋯⋯」「えっ? ルイーザ? 女? 違う、俺は女は好きじゃない。誤解してないでくれ、モニカだけが好きなんだ!」 アレクの言葉は嘘じゃないだろう。 確かに彼の瞳からは私への好意を感じる。 ただ、その好意はやがて気まぐれのように終わる事を私が知っているだけ
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