モニカとカイザーが驚く程、仲良くなっていて驚いた。 カイザーがこれ程、気を許すのは珍しい。 モニカは優しそうに微笑んでいて本当に聖母のようだ。 俺の前では気まずそうに強張っている事が増えていたのに、出会った頃のように柔らかい表情をしている。 俺のことも名前で呼んで欲しいと言ったら、「アレク」と愛称で呼ばれて心臓が止まりそうになった。 今まで誰も俺を愛称で呼んだ人間はいない。 両親も俺を帝国の次期皇帝として見ていて、どこか距離をとって接していた。 彼女が歩みよってくれたのが嬉しくて、「モモ」と呼んでみたら嬉しそう微笑んでくれた。 3人で過ごしていると、カイザーが歳が離れているせいかまるで親子で散歩しているような気持ちになった。「カイザー、こんなところにカブトムシがいました。森に行かないと中々お目にかかれない方ですよ」 モニカが手の上に焦茶色の虫を乗せて、爛々とした表情をしている。「カブトムシという虫なんですね。汚くはないのですか?」「虫の王様です。アレクと同じですよ!」「あ、兄上と⋯⋯それは失礼致しました。」 俺はよくわからない虫と同格にされてしまった。 それでも、全然嫌じゃないのはモモがその虫を尊重しているからだ。 モモは不思議な女だ。 花や子供の前では、本当に屈託ない笑顔を見せる。 俺は花の名前を全く知ろうとしたことがなかったが、モモはとても詳しかった。 カイザーに花について説明している姿は、まるで子に新しい世界を見せたい母のようだった。(子供か⋯⋯モニカは本当にもう子供を持てないのか?) 俺はモモがもう逃げようとしていないと信用していた。 約束をしても守らないのは俺の方だった。 今までの彼女の行動を見ると、俺の方がずっと約束も守らず彼女を振り回して来たのだと反省した。 自分の行動を省みることなど、モモと出会わなければ一生なかったことだ。 俺はとにかくモモと一緒にいたくて、
Huling Na-update : 2025-06-23 Magbasa pa