目を開けると陛下が心配そうに私のことを覗き見ていた。 背中にベッドの柔らかさを感じて、周りを見渡すと自分の部屋だと分かる。(私、倒れたの?)「陛下、申し訳ございません。私が無理を言って出席させて頂いたのにご迷惑をお掛けしました」「いや、俺の方こそ⋯⋯すまなかった」 陛下は何に対して謝っているのだろう。(雌犬とか、悪魔とか言われたような気がするけれど⋯⋯何がいけなかったのかしら⋯⋯)「私の方こそバラルデール帝国について不勉強でした。ダンスの誘いは受けるべきではなかったのですね」「いや、君は間違ってない⋯⋯俺が勝手にイライラしていただけだ」 陛下はお母様を亡くされたばかりだ。 私は部屋にいるように彼から言われたのに、自分の我儘を通した。(こんな私では、また捨てられてしまうかも⋯⋯) 私が落ち込んで黙りこくっていると、陛下が私の髪に手を伸ばして撫でてきた。 私は昔から髪を撫でられのが好きで、思わず目を瞑りその優しい感触に身を委ねた。(前世が犬だったからから、撫でられるのが気持ち良いのかも)「その何かお詫びをさせてくれないか? 欲しいものとかあれば言ってくれ」「お食事を⋯⋯陛下とお食事を一緒にしたいです」 私は少しでも陛下と一緒にいる機会が欲しくて提案した。「分かった。明日から一緒に食事をしよう。今日はもう遅い⋯⋯体を休める為にも眠った方が良い」「はい。明日が来るのが楽しみです。おやすみなさい陛下」 心なしか陛下が優しい顔をしていて、私は安心した。 ふと目が覚める。 遠くに夜行性の梟が鳴いている声がしたのでまだ、朝にはなっていないだろう。 カーテンを開けるとまだ夜明け前だった。 眠り続ける生活を過ごした反動か、体が冴えている気がする。(もしかして、全快した?) 私は立ち上がり、そっとクローゼットを開けて淡いピンクの軽めのワンピースを着た。 (よし、お散歩に行こう!) 私がしょっちゅうお散歩
Last Updated : 2025-06-03 Read more