「陛下、皇妃殿下が動きました」 夜明け前に侍従が部屋に知らせに来たので、俺は皇妃が庭園の方に歩いて行ったと聞き庭園に向かった。 昨晩、彼女の美しさに魅せられ皆が彼女と踊りたがっていた。 ダンスの誘いがあれば、受けるのは当たり前なのに彼女に八つ当たりしてしまった。 明らかに俺は彼女に心を占拠され始めていて、おかしな独占欲まで生まれている。 彼女が一緒に食事をしたいなどと可愛いおねだりをしてきて、愛おしく思った。 しかし、今度は夜明け前に皇城内を抜け出すと言う不審な真似をする。 ただ、安心して愛させてくれれば良いのに、彼女に対する疑いは消えない。 庭園まで行くと話し声が聞こえた。(間者と接触している?) 近づいていくと、彼女はカイザーと会話をしていた。 カイザーが俺にも言わないような本音を彼女に吐露していて驚いてしまう。 モニカ・マルテキーズの前では男は何でも話してしまうと聞いていたが、5歳のカイザーも例外ではなかったようだ。 何も知らないと思っていたカイザーが、スレラリ草の毒を自分の母親が使っていることを知っていて驚いた。(何も知らなかったのは俺の方だ⋯⋯) 楽しそうに蛇を腕に巻くという奇行をする皇妃が心配になった。 その上、彼女は飛んでったハンカチを走って追って池まで入って行った。(王女として育てられたのではないのか? なぜ、そのように野生的なんだ?) 皇妃が拾いに行ったのは、カイザーが彼の母親から貰ったハンカチだ。 彼はまだ幼くて表には出せなくても、亡くなった母親を今も想っていたのだろう。 そして、カイザーは皇妃を「姉君」と呼び、彼女からのハンカチが欲しいと言っていた。(本当に人の心を捉える天才だな⋯⋯モニカ・マルテキーズ) 彼女は花が好きなように見えたので外にガーデンテーブルを設置して、そこで朝食を一緒にとる事にした。 しばらくして、現れた彼女は真っ白なシンプルなワンピースを着ていた。 俺と食事をする女は皆、朝
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