All Chapters of お持ち帰りした異世界の皇子を返品したい: Chapter 21 - Chapter 30

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21.もう1回告白して来いってことだよな。

「もう1回告白して来いってことだよな。」俺、三池勝利は思いっきり思わせぶりなことを言って去っていった松井えれなのことを考えていた。彼女は俺が思っていた人とは全く違う女だった。俺は彼女のことを孤高で正義感が強くまじめな人間だと思っていた。俺は自分と全く逆なそんなところに強く惹かれていた。命をかける程、彼女が好きだった。俺がこちらの世界に戻ってきて、暫くは身動きできなかった。やっと手紙が書けるくらいに回復した時に、あちらの世界に行った時のことについて、彼女に向けて手紙を書いて母に託した。もし、彼女も同じ経験をしていたとしたら俺のところを訪ねて来ると思ったからだ。俺よりも先に動けるようになった彼女は俺を訪ねてきた。「申し訳ないけど、三池の気持ちにはこたえられない。そんな風に見たことないから。」彼女はまず懸念事項を片付けるかのように俺の告白を断って来た。凍りつくブリザードのような声だった。最初に怪我の状態を聞くとか、あの世界の話をして来るかと思ったのに。それだけ俺の感情は彼女にとって迷惑だということだろう。身体だけでなく心に大きなダメージを負った瞬間だった。そんな彼女の態度が変わったのは、俺の怪我への責任を感じただろう、彼女が勉強を教えようと俺の病室を訪れた時だった。彼女は俺を相手にする価値のない馬鹿だと思っていただろう。俺が彼女の持って来た問題集の問題を全て解くと、一気に彼女の態度が変わった。おそらく、彼女にとって価値のある人間の枠に入れたのかもしれない。それから、毎日のように彼女は俺の病室に来た。看護師さんが松井えれなは俺の彼女だと思っているほど、俺たちの仲は親密に見えるようだった。俺の家族が俺の病室に来た時も、彼女は俺の側にいた。俺が彼女を助けようとして怪我をしたことも知っている家族は、えれなを見て当然俺の彼女だと思って大騒ぎした。「俺の家族騒がしくてごめんね。」家族が去った後、彼女に謝った。
last updateLast Updated : 2025-06-19
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22.退院の日には来るだろう。

「流石だね、今受験したら受かっちゃうね。」なぜだか、宿題を俺にやらせた話は俺の力試しをしてやった的な話にすり替わっていた。彼女の退院と同時にアメリカに戻った彼女の兄がいたら、きっと彼にやらせていただろう。俺のカンニング疑惑事件の彼女を見るに、彼女はまじめな人間だと思っていた。そもそも、医者になるにはここからの勉強が大事なんのではないだろうか。医者になりたいというのも、俺が宇宙飛行士か社長になりたいというのと同じくらい曖昧な夢なのではないだろうか。中学から6年間学年トップの成績をとっていたわけだし、受験にも合格しているのだからヤル時はやるはずだ。でも、近寄りがたかった孤高の雰囲気からポヤポヤした感じになっている。受験疲れと異世界疲れで燃え尽き症候群になっているのではなかろうか。この病院はおそらく優秀な彼女の兄が継ぐだろうし、彼女が親から医者になることを強制されているとも思えないからプレッシャーはないだろう。それにしても、俺は彼女のことが心配になった。彼女の今いる場所は、日本のトップエリート集団が本気で勉強しているところだ。いくら優秀で強気な彼女でも本気で頑張らないと挫折してしまいそうだ。弱ってしまって、泣きそうになってしまったら近くにいて支えてあげたい。彼女にただ憧れていた時にはなかった色々な感情が目覚めてくる。そもそも、なんで東大なんだろうか。お嬢様が通う女子大とか行くのが今の彼女の雰囲気的には一番あっている。経済的に困っているようには見えないし、医者になりたいにしても私大にいけば良い気がする。東大なんて彼女の大好きな賢い人間がゴロゴロいるじゃないか。まさか、それが狙いなのか。狩猟本能が掻き立てられられるのだろうか。男子校育ちが多そうなのに、彼女みたいな女にロックオンされたら全滅しそうだ。日本のトップエリートたちの心を奪い、裏の支配者になるつもりなのか。彼女へのほのかな恐怖心から謎の妄想までしてしまった。俺の知る限り、彼女が誰
last updateLast Updated : 2025-06-20
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23..私はなんであんな無駄な時間を。

「エレナ! 良かった! 主治医を呼んで来てくれ! エレナが目覚めた」豪華絢爛な寝台で目覚めた私。目の前には銀髪にアメジストのような紫色の瞳をもった超美形。「もしかして、アル?」宝石のようにキラキラしていた瞳が曇っていた。どうやら私はまた『赤い獅子』の世界に飛んできてしまったらしい。私と三池の仮説が確かなら、もしかして6年以上経過している?「レナなのか?嘘だろう。なんてことだ。」可愛い美少年から私より年上なのではないかという位、大人な美青年になったアランが呟いている。私がエレナの体に憑依してがっかりしている。また、彼は一瞬にして私の正体に気が付いた。私が彼をアルと呼ばなくても気がついていた、私を見た瞬間に。一体どうして、本当に超能力でもあるのだろうか。「私、朝起きて大学に行く準備をしていたところだったんですけど、エレナ嬢になんかあったんですか?」私は、意識を失っていないし、普通に外出着に着替えて一人朝食を食べていたところだった。もし、入れ替わることの入り口のスイッチがあるのなら意識を失うことだと思っていたのだ。「オタム湖にボート遊びにいこうと馬に跨った時、彼女が落馬をして意識を失ったんだ。」どんどん彼の瞳が光を失っていく、私は彼を元気付けようと口を開いた。「エレナ嬢は大丈夫ですよ。私と入れ替わっているだけです。日本の私は家にいて、今、家に誰もいないし安全です。」今回の日本での私は意識を失っていない、しかし外出もしていないから安全な場所にいる。「どこにも行かなくても、君がいれば幸せだと言えば良かった。馬なんか乗せるんじゃなかった。」今の状況に相当ショックを受けているのか、あの淡々と物事を解決するアランが切り替えられていない。「おそらく私の世界の1日とこの世界の1ヶ月が同じくらいの時間の流れなので、早めに戻ることができればエレナ嬢に害が及ぶことはありません。」彼を安心させるために、自信はないけれど言い切ってみた。「皇帝陛下に、皇宮医レノア・コットンがお
last updateLast Updated : 2025-06-21
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24.両親の期待を得られずに寂しかったね。

『赤い獅子』と『赤い獅子の裏話』は主人公が強くてモテモテという共通点はあるが、同じ人が書いたものとは思えなかった。 対外的にはラノベ作家RAIの作品にはなっている。『赤い獅子』は多くの伏線が張り巡らされて、 その伏線がずいぶん後に回収されたりする。そして、主人公であるライオットは神視点を持っているのかという程の洞察力がある。 彼に惚れる人たちも自分のトラウマを解消されたり、 一番かけて欲しい言葉をかけられたり理由があって彼に惚れている。 私はそこに登場人物の女性たちが、本ばかり読んできた童貞の理想の女のように感じた。「両親の期待を得られずに寂しかったね。」 もし、私がそんな風に声をかけられたらトラウマが解消するどころか、 「お前、何様?お前ごときが私を語るな。」 と言った風にムカついたはずだ。「君はいつも頑張ってるって知っているよ。」 かけてもらったら嬉しい言葉。 でもその言葉は私の両親にかけて欲しい。 謎のイケメンにかけられたらムカつく。 「お前はもっと頑張れよ。」 そんなことを思い彼を蹴り上げてしまうかもしれない。ひょっとして、文系の人はそんな恋の仕方をするのだろうか。 トラウマを解消されたり、欲しい言葉をかけられたり。 『赤い獅子の裏話』を読む限りライオットも文系だ。 しつこいくらい、ポエミーな表現が多い。だとしたら、ライオットが恋に落ちたのは松井えれなではなくエレナ・アーデンだ。 彼の母が亡くなった時、エレナ・アーデンは彼に欲しい言葉をかけている。 おそらく、誰にも愛されていないと思っている彼のトラウマを少なからず解消している。私ではなくエレナ・アーデンが彼は好きなのだ。 分析するほど、その解に辿り着いてしまう。 自分や相手の気持ちを分析などせず、ただ馬鹿になって彼を好きでいたいのに。『赤い獅子の裏話』は起こる出来事が行き当たりばったりなところがあり、 主人公ライオットは物理的な強さは感じるが、状況に翻弄されている面もあ
last updateLast Updated : 2025-06-22
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25.SNSにでも載せるの?

「SNSにでも載せるの?」家でフルーツカービングの練習をしていると、母から話しかけられた。一言だけイラっとする爆弾を置いて、母は自分の部屋へと消えていく。本当に18年一緒に暮らしても、彼女は全く娘のことが分かっていない。私くらいの年頃の子が、みんなSNSに夢中だと思っているのだろう。私は一切のSNSをやっていない。どうして、私の手の内を世界に発信してあげなければならないのだ。知りもしない人間に「いいね。」なんて言われても気持ち悪いだけだ。以前の私なら母は私のことを全然見てくれてないと、悲しい気持ちになり心の健康を害していただろう。今はただ誰でも良いから自分を認めて欲しいと、個人情報を晒すようなバカ共と同類に見られたようで腹立たしい。目の前の果物を全て握り潰してジュースにしてしまいそうだ。果物は高い、お取り寄せしなければ手に入らないものもあった。私の中でジュースにして良い果物はバナナだけ。安売りスーパーでも、一年中5本1束128円で手に入る。物価高も跳ね返す強さに真の果物王の称号を与えられる日も近いだろう。それにしても私のこの怒りっぽさは異常だ。異世界でもずっと苛立っては切れて喧嘩ばかりした気がする。ここまで人様の世界に赴いてキレ散らかしてくるのも私くらいだろう。原因は私が6年間ろくに人間と関わってこなかったからだろう。ゲームばかりしてキレやすくなることは問題視されているのに、勉強しすぎでキレやすくなることはなぜ問題にならないのか。将来、秘書ができるような要職についた時、キレたところを隠し録音されないように気をつけねば。異世界で9割の時間イライラしていて、怒りを抑えられずキレてしまったことが多かった。自分の問題に気が付けた私は「アンガーマネジメント」に関する本を何冊か読んだ。でも、一番の治療法は友達が多く怒ったことなど見たことのない三池の側にいて彼のコミュニケーション能力を学ぶことな気がする。気がつくと三池に心変わりしたような自分を正当化する思考をしている
last updateLast Updated : 2025-06-23
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26.エレナ・アーデン、イケメンを青田買いしたのか。

ライオットのことを考えると、何もかも手につかなくなった。自尊心がズタボロになり、彼との恋と勉強を両立する自信がなくなった。私は少女漫画のアホ主人公のように恋に振り回されるのは嫌だった。恋を糧にして、しっかりと自分のすべきことを頑張りたいのだ。「あれ、でも私がやっていることって確実に悪役の行動。」小学校の頃借りた少女漫画を思い出すと、純粋な主人公の彼氏が入院中に悪役の女に近づかれる漫画があった。外堀を埋めて、あざとい言動で、周りの人間を味方につけた悪役の女。周りの人間は悪役の女が彼の彼女であると勘違いする。主人公はピンチに陥るが悪役の女はしっかり「ざまあ」されている。でも、電車の音で告白を聞きそびれたり、パンを咥えたまま登校したりする主人公が勝利するのはおかしくないだろうか。電車なんて新幹線でもない限り、声が聞こえないほど煩くない。大抵の少女漫画の主人公は聴力検査の再検査に引っかかるレベルで大切な言葉を聞落としたり、天然気取りですっとぼける。家で朝食を食べてから登校もできないズボラな女が好きな男がいるのだろうか。気になる相手を作戦を練って落とすのは当たり前だ。きっと少女漫画界にもダーク主人公の時代が来るに違いない。『赤い獅子の裏話』がヒットしたのは、大ヒットした『赤い獅子』の次回作であり、出てくる登場人物が同じということで話題になったのが大きい。雷さんが読んだら私の彼のかいた『赤い獅子の裏話』は便所の落書きかもしれない。でも、実際レオハード帝国のライオットの立場になったら、突然出兵を言い渡され、周りに翻弄され自分の考えなど尊重されない。敵が架空の魔物なのも彼が本当は戦いたくなかったという表れだろう。長い間入れ替われば、彼がどんな厳しい立場で神視点をもてる程情報を与えられてないことが分かるはず。おそらく短時間入れ替わって見た世界に刺激を受けて小説のネタにしたのだろう。会ったこともないけれど、私の彼をネタにして一儲けした雷さんが私は好きではない。雷
last updateLast Updated : 2025-06-24
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外伝7.ライオットがレノアを好きには見えない。

「あら、残念。」俺はイヤホンから聞こえた、エレナ・アーデンのサンプルボイスに恐怖のあまりイヤホンをはずしてしまった。声だけで男を誘惑できる。超人気声優さんらしく、見た目が可愛いらしい。でも、この声優さんのスゴさは東京女らしいクレバーさだ。このセリフはエレナがライオットに無理な要求をして、初めてライオットが断った時のセリフだ。エレナはライオットに断られても別プランを持っているので、全く残念とは思っていない。だから、残念そうに言わないのが、このセリフを言う時の正解。適当に言われたことで、ライオットはエレナの要求をのまないと彼女に切り捨てられると思って焦る。結局、ライオットはエレナの無理な要求に従い、帝国に不利なことをしてしまう。このセリフをこんな風に適当に魅惑的に言うということは、脚本からライオットやエレナの関係性や心情の理解をしていないとできない。こんな声でこんなセリフを聞いたらオタクはいくらでもお金を貢いでしまいそうだ。この声優さんは東京で生き残るだけはある。可愛くて声が良いだけでは生き残れない、どういう風な話し方をすれば、人の気持ちを惹きつけるか常に計算している強かな女だ。俺の思っているエレナ・アーデンそのものだ。そんなことがあって楽しみにしていたアニメ第1話を見ようとしていた時だった。俺はオープニングを見た時点で今までにない、吐き気と冷や汗に襲われた。アニメのオープニングのクオリティーがとてつもなく高かったのだ。短期間でこれだけものを作ったアニメ制作会社の人たちを思い浮かべてしまった。きっと、俺のいたようなブラックな職場だ。やりがいを感じるように強制され、寝る間も惜しみ仕事に没頭させられる。『赤い獅子』はネタ元があったから書けた。その上、メディア界のフィクサーにエレナが気に入られたから運良くヒットした。フィクサーのおじさんのように成功していると美女に振り回されたい願望でも出てくるのだろうか。俺はもう強かな東京女に振り回されるのはたくさんだ。
last updateLast Updated : 2025-06-24
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27.私のガードが緩いですって? 私は18年間貞操を守っている女ですよ。

時が経ったせいか自分の気持ちを客観的に分析をしてしまう。三池もどんな私でも夢中みたいに見えて、理系らしく後で自分の気持ちを分析してしまったりするのだろうか。そんな分析する暇もないくらいライオットには私をときめかせて欲しかった。彼が私の世界に転生する直前に『赤い獅子の裏話』を書くと私に告げたと言うことは、自分が日本にいる時、私に気がついて欲しいというメッセージだと思った。「もっと、ラブレター的なものを期待していたのに。」私が彼と思い合っていると言うのは、私の勘違いだったのだろうか。『赤い獅子の裏話』のライオットはモテモテで、エレナは彼を一途に慕っていた。エレナのキャラクターデザインがショートカットになっていたから、あれは私をモデルにしたのだろう。「何だか主人公が浮ついてて好きになれない。どうしてエレナの一途な気持ちと同等な気持ちを返してくれないのか。」読み取れたのはモテモテの彼を一途に思うエレナが彼にとっても、おそらく一番なだけ。主人公ライオットの愛は分散されているように見えて寂しかった。そもそも、みんなに好かれるなんて状況あるのかしら。高校時代、人気者の三池を嫌いだった経験からすると、どんなに人格的に優れた人気者でもアンチはいるのだ。「にしても、方向間違ったかな。まだ到着しないなんて。あの、すみません、そこのエスパルの方、道をお尋ねしたいのですが。」中央宮からかなり離れて人の気配がなくなっていたが、水色の髪色をした背の高い男性の後ろ姿が見えて話かけた。水色の髪色はエスパル出身者しかいなかったはずだ。皇宮で働いている人なのだろうか、鎖国状態で危険視されていたエスパルの人も受け入れているなんてアランは器がでかい。「私、エレナ・アーデンと申します。いにしえの図書館に向かっているのですがこちらで方向は宜しいでしょうか?」私は優雅に彼に挨拶をしながら道を尋ねた。「俺のエレナ、俺が図書館までご案内しますよ。」爽やかなその美青年は微笑みながらそう言って、私を持ち上げてお姫様抱っこするとスタスタと
last updateLast Updated : 2025-06-25
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28.私は、初恋の人と本当は両思いになりたいです。

「私は、初恋の人と本当は両思いになりたいです。でも、違う世界の人だし彼が好きなのは私じゃない」私は思わず本音を漏らしてしまった。急に彼が顔を舐めてきたので驚いた。「やめてください。さっきからなんなんですか」私は思わず彼を押しながら言った。「お昼の時間でお腹が空いたので、俺のえれなの涙で塩分を補給しました。初恋の人はライオット・レオハードですね。俺の初恋はエレナ・アーデンですよ。でも俺の今の最愛は松井えれなです。」彼が悪びれもせず言って来た。今の会話から私の初恋の人を当ててきた。本当に彼は怖いほど鋭く賢い。そう、知力によるときめきを感じる私は彼と合ってからとてつもないときめきを感じてる。こんな軽い口調で私に過剰なスキンシップをして来る彼に。なんだか私が簡単な女みたいで本当に嫌だ。「ダンテ様もエレナ・アーデンがお好きなんですね。彼女ってさぞや良い女なんでしょうね」私は気がつけば嫉妬のような言葉を述べていた。初恋のライオットも今私をときめかせるダンテ様もエレナ・アーデンが好きで私を代用品扱いしている。「エレナ・アーデンは俺に自分の男のために働いて死ねと言う女で、皇帝陛下のためならどんな悪さをする女ですよ。顔だけは良くて彼女を長時間見たせいで俺は他の女が全員芋に見える病にかかってました」私は彼の言葉にまた驚いてしまった。「エレナってアランのこと好きだったんですか?」純粋な疑問も浮かんで思わず尋ねた。「俺のえれなは子供時代の皇帝陛下にあったことありますね。今回エレナ様の中に入ったの初めてじゃなさそうだ。今の美男子皇帝の彼は全女子が恋をしてますからね」私はまた彼とのやりとりで、自分の情報を開示してしまったことに気がついた。アランと内緒にしようと約束してエレナのふりをしてきたのに本当にバカだ。私の些細な言葉からもダンテ様は秘密を吸い上げてしまう。私は思わず自分の手で口を塞いだ。ダンテ様が鋭すぎて彼の前で言葉を発するのが怖くなってしまった。すると、彼が私
last updateLast Updated : 2025-06-26
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29.そうですね。私もダンテ様に惹かれてたわ。でも、もう嫌いなの。

「別の世界に生まれてきた人間でも、出会った時点で世界の境は関係ないと思いませんか?」彼が私の頬を包み込みながら言ってきた。私は彼がクズだとわかっているが彼の知性ある言葉に、ときめきが止まらなくなってしまって彼に対して見方が甘くなりすぎている。とにかく必死に彼の手を外しながら顔を背けた。「それにしても、能力主義はエレナ様と同じですね。やはり魂が同じなのかな。俺のえれなが知性や能力にときめくとしたらエレナ様はやはり洗脳されてたということか」彼が少し考え込んだ末に言った言葉に衝撃を受けた。「魂の病」私は思わず呟いてよろめくと彼に抱えられた。私は自分の生育環境で自分が知性や能力に魅力を強く感じてしまうのかと思っていた。それが魂の病だとしたら私はどうしようもない。3日前に結婚したのに、私にちゅっちゅしてくるキングオブクズのダンテ様にさえときめいて頭にモヤがかかっている。「エレナ・アーデンが洗脳されていたってどういうことですか?」私は彼の言葉で気になったことを尋ねた。「彼女、皇帝陛下、一筋で尽くしてばかりなんです。皇帝陛下には汚いことは一切させないで、自分の手は汚すんです。優秀な人間なら俺だって良いじゃないですか、でも俺のことは利用するだけで愛人にもしてくれない。」彼が私に訴えるように言ってくる。「今の帝国本当につまんないんですよね。皇帝陛下が全部決めて、みんな彼を尊敬している。エレナ様も他の人なんて目に入らないくらい盲目でおかしいですよ。指一本触れさせてくれないから、仕事もあまり手伝う気が起きなかったんですよね」彼はアランを批判するような言葉を続けている。こんな反乱因子になりそうな考え方の人間をいくら優秀だとはいえ中枢に置くのは危なくないだろうか。それに、アランを批判するような言葉にとてつもない怒りがこみ上げてきた。その瞬間今までダンテ様に感じていたときめきが一気になくなり頭がクリアーになった。「女が芋にしか見えないって?種の分際で何様だよ。女に振られた理由が彼女が洗脳されているから、ダンテ様あなたっておめ
last updateLast Updated : 2025-06-27
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