「うわぁ、綺麗……!」 思わず、感嘆の声が漏れた。 小高い丘の上。 そこから見下ろす景色に、私は一瞬で心を盗まれた。 街並みに目を向けると、建物はまるでミニチュアのように小さく見える。 人の姿なんて豆粒ほどだ。 こういうものを前にすると、人間なんてちっぽけな存在に思えてくる。 ほんのり赤く染まり始めた太陽が、辺りを包み込んでいく。 町も丘も、オレンジ色に染まりながら優しく輝いていた。 なんだか、ロマンチック……。 丘の周囲には低木や草花が広がり、そよ風が吹くたびにそれらが静かに揺れる。 葉擦れの音や鳥のさえずりが、心地よいハーモニーを生み出していた。 人影はまばらで、静かに景色を堪能できる。 こんな場所が近くにあったなんて、知らなかった。 目を輝かせながら、ゆっくりと景色に見入る。 すると、相川さんが、そっと私の隣に寄り添ってきた。「僕のお気に入りの場所なんですよ。気に入りました?」 お互いの肩が触れそうな距離に彼がいて、私はさりげなく一歩横に退く。「素敵な場所ですね! とても気に入りました」 正直な気持ちだった。 この景色は、すごく好き。「それはよかった。……流華さんって、龍が最初の男なんですか?」 相川さんの唐突な質問に、私は固まった。「さ! 最初の男!?」 大きな声が出た。 しかし、すぐに冷静になる。 「最初に付き合った人」って意味だよね? そう解釈し直し、頷いた。「そうです。私、今まで……」 ――ん? 言いかけたところで、ふと疑問がよぎる。 ヘンリーってどうなるんだ? 私たちは付き合っていたことになるのだろうか? 考え込んでしまい、腕を組み黙り込む。 そんな私の様子に、相川さんがまた可笑しそうに笑った。「すみません……そんなに悩まなく
Last Updated : 2025-10-17 Read more