下校の時間。 私はさっさと帰ろうと、急いで教室を出た。 すると、私のあとを必死で追ってくるヘンリーの気配を感じ、そっと振り返る。 視界に入ってきたのは彼と、彼にべったりと寄り添うシャーロットの姿。 見たくないという思いとは裏腹に、澄んだ瞳でじっと見つめるその眼差しに、私は負けた。 結局、皆で帰るはめになってしまった。 ヘンリーに腕を絡め、密着するシャーロット。 その様子を横目で見ながら、私は心の中でため息をつく。 こんなことがこれからずっと続くのかな……結構、しんどいんですけど。「お嬢、ご気分でも悪いのですか?」 私の様子が気になったのか、龍が声をかけてきた。「ううん、大丈夫。……ね、今日の夕飯は何?」 「え? あ、はい。雑穀米、茄子のお味噌汁、サバの塩焼き、酢の物でございます」 「美味しそう! 龍の作る料理が一番よね、楽しみにしてる」 「光栄です」 私は明るく振舞った。 落ち込んでいるなんて思われたくない。もちろんヘンリーへの気持ちも知られたくない。ましてや、嫉妬してるなんて絶対に知られるわけにはいかない。 ……今さら、ヘンリーのことが好きだなんて。 それに、ヘンリーにはシャーロットがいるし……ヘンリーはこの世界の人じゃない。 いつか、必ず別れが訪れる。 これ以上好きになったら、いつかきっと辛い思いをすることになる。 この気持ちは封じ込め、忘れてしまったほうがいい……。 思考を巡らしていた私は、前をよく見ていなかった。「お嬢っ! 危ない!」 突然、龍に力強く引き寄せられた。 よく見ると、進行方向には電信柱が……。どうやら、私はそれに向かって歩いていたらしい。 龍が止めてくれなかったら、思いきりぶつかっていただろう。 私としたことが情けない、考えごとばかりしているからだ。 ほっとしたのもつかの間、私は肩を落とし落ち込んだ。「大丈夫ですか? 心配させないでください」 龍が真剣な眼差しを私に向ける。「うん……ごめん」 意気消沈する私。 ふいに龍が私の手を取った。「え?」 私は驚き龍を見つめる。 すると、彼は照れくさそうに下を向いた。その頬はほんのり、赤い。「行きますよ」 そう言うと、龍は私を引っ張って歩き出す。引かれるままに、彼の後についていく。 突然の龍の行動に戸
Terakhir Diperbarui : 2025-07-18 Baca selengkapnya