Semua Bab お嬢!トゥルーラブ♡スリップ: Bab 41 - Bab 50

69 Bab

【第1部】 第24話 似ている二人②

 病院の帰り道、夕陽に照らされた道を龍と二人で歩く。 私は今日起こった不思議な出来事を、龍に話して聞かせた。「へー、すごい偶然ですね。  ……でも、よかった。そのおかげでお嬢の気持ちが少しでも軽くなったなら、大吾様も嬉しいでしょうね」 龍が嬉しそうな笑顔を私に向ける。  思い詰めていた気持ちが少しだけ晴れやかになっている自分に気づき、私も自然に笑みがこぼれた。「ありがとう……皆には心配ばかりかけてるよね」 私が落ち込んだように下を向くと、龍が少しムッとした表情になる。「何を言っているのですか? 皆お嬢のことが大好きで大切だから心配するんですよ。  お嬢、もっと笑顔を見せてください。その方が皆幸せですから」 龍が満面の笑みを見せるので、私もつられて微笑んでしまった。「そうだね、うん……そうする」 私が龍を見つめると、龍はすぐに視線を外す。「どうしたの?」 「なんでもありません」 龍が目を合わせてくれないので、私は悔しくて少しむくれた。「なら、こうしてやるっ」 龍の脇をこちょこちょする。「ひゃ、や、やめてださい。ひっ、ひひ」 龍は体をうねらせながら、必死に笑いを押し殺している。  昔から龍の弱点の一つだ。私だけが知る、龍の秘密。「ごめん、ごめん。そういえば、龍の弱点って他にはないの?」 私はいたずらっ子の表情で、龍を覗き込む。  すると、なぜか龍はあきれた顔をして、私のことをじーっと見つめてきた。「それは……自分の胸に手を当てて、よーく考えてみてください」 「何よ、いじわる」 何だか嫌味なその言い方に、腹が立った私は龍にそっぽを向いた。  そして、さっさと歩き出す。「あ、お嬢! そんなに先に行かれては危ないですよ!」 慌てた様子のその声に、私はため息をつく。  本当に龍は過保護なんだから。 勢いよく振り返ると私は笑顔を見せる。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-11
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【第1部】 第25話 お姫様登場①

 家に帰ると、待ちわびていたヘンリーが私にダイブしてくる。  案の定、すぐさま龍の返り討ちにあい、ヘンリーは床にのされた。 なんで、学習しないかな……。 私は玄関の床で倒れ込んでいるヘンリーに、手を貸そうとしゃがみ込む。  すると、遠くから激しい足音がこちらへ近づいてくるのが、私の耳に聞こえた。  どこからやってきたのか、突然姿を現すアルバート。 勢いがよすぎて、一度私たちの前を通り過ぎてから、また戻ってきた。 彼の目が鋭く龍に向けられると、飛び蹴りを放つ。  それを軽く受け止め、間合いを取った龍はアルバートを睨みつけた。「貴様……また王子に無礼なことを!」 「ふん、そいつがお嬢によからぬことをするからだ」 二人は睨み合い、ふっと笑う。  それが戦闘開始の合図だった。激しい戦闘が玄関で繰り広げられる。 私は二人の対戦を眺めつつ、また大きなため息をついた。  これは、いつものパターンだ。長くなるな、と判断した私は、もう三人のことは放っておくことにする。 一人で考えたかった私は、とりあえずお風呂に入ることにした。  お風呂って、考えごとにむいてると思うんだよね……。無心になってゆっくりと思考できるから。 脱衣所から風呂場に入ると、お湯の温かな湯気に包まれる。  柔らかな湯気が体に触れると、ほっと心が解きほぐされていくように感じられた。 あー、なんだか癒される、この瞬間。 体を洗い終えると、足先からゆっくりと湯舟に浸かった。「はあー、やっぱりお風呂って気持ちいーっ」 ゆったりと湯につかりながら、一息つく。 私が思考に集中し始めたそのとき、お湯から泡がポコポコと現れ始める。  驚いた私がその泡を凝視していると、どんどんと泡の数が増えていく。 え、まって、このパターンって。「ちょ、ちょっと!」 私は次の事態に備え、身構えた。 次の瞬間、突如としてお湯が沸騰し
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-12
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【第1部】 第26話 二人の男①

「お嬢……大丈夫ですか?」 私を部屋に送り届けた龍が、心配そうに見つめてくる。「何が?」 なんとなく気まずくて、私は目を逸らしぶっきらぼうな態度を取ってしまう。「いえ、少し……お辛そうだったもので」 「は? 別に私、何も辛くないけど」 そう言いつつ、さっきから妙にイライラしている自分に気がついていた。  別に辛いとは思わないけど、なんだか心がざわつく。「あ、あの、ヘンリーの奴、お嬢にメロメロなんで。何も心配しなくて大丈夫ですよ」 龍は私のことを励まそうとしているのか、ぎこちない笑顔を向けてくる。 メロメロって、龍が言うとは思わなかった。いったいどこでそんな言葉を覚えるのかな……いつも私の傍にいるか、組のことしかしてないくせに。  龍には似合わないよ。 それに……私が何を心配してるって? そんな訳ないじゃない。 私は湧いてきた気持ちに蓋をするように、龍に感情をぶつける。「何言ってんの? ヘンリーが誰を好きだろうが、誰と結婚しようが私には関係ないし。心配なんてしてないわよ」 私は怒ったように腕を組み、龍に背を向ける。 この気持ちがどこから湧いてくるのかわからなかったが、蓋をして、無かったことにしようとしている自分に薄々気づいていた。  龍にはすべて見透かされているようで、なんだか不愉快だ。 最近、私は自分の気持ちを掴めないでいた。  ヘンリーのこと、好きなんだろうか?  もう既に好き? それとも……。 なんだかごちゃごちゃしていて、心の整理がつかない。  先ほどから、なぜかわからないが、龍は何も言わず、じっと固まり動かなくなってしまった。  ずっと床の一点を見つめている。 もしかして、私の態度に傷ついてしまったのだろうか……だとしたら悪いことをしたな。と少し反省する。  いつも龍は、私に振り回さればかりだ。 ずっと動かない龍のことを不振に思った私は、どうしたのだろうかと彼の様子を窺った。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-14
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【第1部】 第26話 二人の男②

 息がかかる程の距離、もうすぐ触れてしまいそうな近さに龍の顔があった。 トクン、と胸が高鳴る。 龍はピタリと動かなくなってしまう。 こんな至近距離で見つめ合うなんて普段ないから、ドキドキするじゃない!  私としたことが、龍に“ときめく”なんてあり得ない……と思いつつ、なんだろう……胸の高鳴りがなかなか消えてくれない。 ドキドキドキ、脈打つ鼓動。 いや、これはきっと、あまりにも顔が近いから、体が密着しているから!  そうだ、きっとそうだ!  こんなこと普段ないから、免疫がないからだ。 自分に言い訳し、私は一人で頷いた。「お嬢……」 龍が熱い視線を私に送ってくる。 え? 何? この展開。  いや、龍に限ってない、何もないから。「龍、早くどいてっ」 私は冷静を装い、龍を押し返そうとする。  突然、龍が私の腕を掴み、床に押し戻した。「ちょ、何すっ」 龍の瞳は、私の知っているいつもの優しいものではなくなっていた。 それは、知らない男の目……。 じっと見つめられ、私は動けず固まってしまう。  龍の顔がゆっくりと近づいてくる。 ど、どうしよう、龍の力が強くて突き放せない。 こいつ、めちゃくちゃ力強い!「何してるの!」 大きな声が、突然辺りに響き渡った。 声に反応した龍の体は一時停止し、その目が大きく見開かれる。  私のことをじっと見つめ数秒、あっという間に龍は私から体を離し、立ち上がった。「も、申し訳ありません! わ、私はいったい……」 龍は激しく動揺しているようだった。  顔を赤らめ、何度も私に頭を下げ、オロオロと取り乱している。 いつも冷静な龍のこんな姿は、滅多にお目にかかれない。 それにしても……と慌てふためく龍を見つめる。  先ほどの龍は、いつもと違った。転んだ瞬間に、どこか頭でも打ったのかな? と私
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-15
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【第1部】 第26話 二人の男③

「まあまあ、これはちょっとした事故なんだから」 私がヘンリーを諭すように優しく話しかけると、珍しく彼は強気に反発してきた。「だって、龍……流華にキスしようとしてたよ」 「はあ!?」 ヘンリーのとんでも発言に、私は素っ頓狂な声を上げてしまった。 まさか、そんなこと……。とすぐに否定するが、ちょっと待てよ、と考える。  そう言われれば、そんな感じもしたかもしれない? 龍の方へ視線を向けると、彼はタコみたいに真っ赤な顔をして下を向き続けている。 え? 何その反応。  私は驚いて龍を凝視する。「龍……」 「お嬢! 申し訳ありません。今は何も聞かないでください!  猛烈に反省いたしますので……おやすみなさい!」 龍は私に深く頭を下げると、急いで立ち去っていく。 いや、今そんな反応されると、どう捉えていいのかすごく悩むんですけど!  遠ざかる龍の背中に向け、私は心の中で叫んだ。 残された私は、呆然とそこに立ち尽くす。 そして、ヘンリーの存在がまだそこにあったことに気づいた私は、そちらへ視線を向けた。  不機嫌そうな表情をしながら、私のすぐ傍らに彼は佇んでいた。 二人きりになってしまった。  先ほどのこともあり、ヘンリーと二人きりはちょっと気まずい。「ねえ、龍のこと……どう思ってるの?」 ちょっと沈んだ様子のヘンリーが、暗い声音で話しかけてくる。 どうって、どういうこと? と私は眉を寄せた。「もちろん……好きよ」 あっさりそう答えると、ヘンリーは驚愕し、目が飛び出すほどにその目を大きく開いた。「えっ! 好きなの!? 僕より?」 ヘンリーは慌てた様子で、私に詰め寄ってくる。  その反応に驚いた私は、誤解を与えたのかと思い、急いで弁解した。「ちょっと待って! 好きって言っても、家族としてだよっ」 私の言葉に、ヘンリーは少し落ち着きを取り戻し、どこかほっとした表
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【第1部】 第27話 気になっちゃう①

 また、夢を見た。 頭上には、黒く塗りつぶされたような漆黒の夜空がどこまでも広がっている。その空を、月と星々の光だけが薄く照らしていた。  眼下には黒い海が広がり、強い風の影響か、波が激しくぶつかり黒い水しぶきを上げていた。 私は断崖絶壁の上に佇んでいる。  一歩前へ出れば、崖下へ転落してしまうだろう。  冷たい夜風が私の体を撫でていくと、体が小さく震えた。  それは恐怖からくるものなのか、寒さからくるものなのか、わからなかった。 岩に打ちつける波の音だけが鮮明に聞こえ、静寂の時が流れていく。 私は包まれている温もりを感じながら、そっと顔を上げる。 目の前には、いつものあの男性。  私のことを抱きしめてくれていた。 そう……いつも夢に見るあの男性だ。  綺麗な金色の髪が月に照らされている。 その男性の瞳が私の方へ向けられ、愛しそうに目を細める。「愛してる。たとえ生まれ変わっても、僕は必ず君を見つける」 彼の真剣な眼差しが、私を射抜く。  愛している、とその瞳が訴えかけてくる。「私も必ず、あなたを見つける」 私は自然とそんな言葉を口走っていた。  体は冷えているのに、心はあたたかい……。 彼は嬉しそうに微笑むと、私の頬に愛おしそうに触れ、優しく撫でた。「僕の愛は永遠だよ。たとえ離れ離れになっても必ず君を見つけ、そしてまた好きになる」 「私も……愛してる。必ずあなたを見つけるから、待ってて」 見つめ合い、頷き合う。  そして、ギュッと強く抱き合った。 そのまま、ゆっくりと私たちは崖から落ちていった。 「っ……!」 そこで目が覚め、私は飛び起きる。  急いで辺りを見回し、短く息を吐いた。 ここは、自分の部屋のベッドの上。「そっか……私、寝てたんだよね」 今いる自分の現状を把握した私は、ほっとする。  先ほど見
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-16
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【第1部】 第27話 気になっちゃう②

 いつもの登校の道。いつもの風景、いつもの朝……じゃない! なんで、五人!?  いつも龍と二人で歩いていたこの道。 斜め後ろには、いつも通り私に付き従う龍が控える。 私の隣にはヘンリーが陣取り、ニコニコと嬉しそうな笑顔を向けながら、楽しそうに私に話かけてくる。  そして、そのヘンリーの隣、逆サイド。そこにはシャーロットがヘンリーに寄り添い、腕をからめ、幸せそうな顔を向けていた。  そしてもちろん、その二人の後ろにはアルバートが付き従う。 このような布陣が、いつの間にかできあがっていた。 祖父の計らいにより、ヘンリーに続きシャーロットまで学校へ行けるよう、いつの間にか手続きされていた。  っていうか、変なことに自分の権力を使っちゃ駄目でしょ。  本当に面倒見がいいんだから……。 私は祖父の顔を思い出し、あきれたように薄ら笑いを浮かべる。「ヘンリー様とお散歩できて、幸せです」 シャーロットはヘンリーの腕に自分の腕をぎゅっと絡め、体を密着させている。「あんまりくっつかないで。一人で歩きなよ」 腕を解こうと試みたヘンリーだったが、外れないようだった。「嫌です、離れません。絶対に流華さんより私を好きになってもらいます」 シャーロットが私へ視線を向ける。  その瞳からは敵意がひしひしと感じられた。 私はその視線をするりとかわし、気づかぬ振りでやり過ごす。「僕の心は流華のものだよ」 ヘンリーは何の迷いもなく、まっすぐな気持ちをシャーロットに告げる。「ひ、ひどい……。でも挫けません」 「頑張ってください、シャーロット様」 落ち込むシャーロットを一生懸命応援するアルバート。 彼はどうやら二人を結び付けたいようだ。  まあ、普通そうだよね。  あっちの世界の人同士、それが自然なんだから。「流華……」 ヘンリーが私の様子を窺ってくる。  昨日のことが気まずくて、私達はま
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-17
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【第1部】 第27話 気になっちゃう③

 教室の自分の席へ座ると、すぐに貴子が声をかけてきた。「まーた、新たにキャラが増えたみたいね」 貴子は瞳をキラキラと輝かせ、ヘンリーたちを眺めている。  新キャラとは、シャーロットのことだろう。 彼女は完全にこの状況を楽しんでいるようだ。「そうなのよ……」 私は机に突っ伏して脱力する。 あの二人と私はクラスが同じ。  常にシャーロットがヘンリーにベタベタしている姿を見せつけられなければならないのだ。 なんで同じクラスにするかな!?  まあ、どうせその方が監視できていいだろう、っていうおじいちゃんの配慮なんだろうけど。  本当に余計なことしてくれるわ。 シャーロットはヘンリー同様、一気にクラスの注目の的になっていた。  現実離れしたその美しさと可愛らしさを兼ね備えた美少女。クラスの男子達はすぐに彼女に夢中なった。 次々声をかけられていたが、彼女がヘンリーにしか興味がないと判明した瞬間、男子たちはすぐにあきらめムードとなった。  ご愁傷様、と私は男子たちに憐みの視線を送る。 ヘンリーはあれからずっと私を気にしている様子だった。  こっちの方をじーっと見つめてくる。  しかし昨日や今朝のこともあり、まだ私が怒っていると思っているのか、なかなか近づいては来なかった。 私も別に怒っているわけではなかったが、ヘンリーを見るとなんだかムシャクシャして、どうも素直になれないでいた。  昨日からヘンリーに優しくすることができない。「ねえ、あんたたち、なんかあった?」 「え?」 「なーんか、ヘンリーと流華の空気感が変わったというか……。  でも、いいじゃん! なんかお互い気にしてるっぽいし」 貴子はにニヤニヤとほくそ笑み、何かを期待しているような瞳をこちらへ向けている。「ヘンリーのこと、好きになった?」 「はあ!?」 大声を出したので、クラスの視線が私へと集中する。  恥ずかしくて、今度は小声で話す。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-17
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