あれからずっと、ヘンリーは私を避け続けている。 もちろん対応がそっけないのも継続中。その理由も未だに不明。 さらには、結構精神的に辛いことがあって。 シャーロットと仲良く過ごすヘンリーの姿を目撃することが多くなっていた。 見せつけるようなその姿に、私はただ毎日耐え続けるしかない。 居間でいつものように皆でご飯を食べていると、「はい、あーんですわ。ヘンリー様」 「あーん」 シャーロットがすくったご飯にかぶりつくヘンリー。「美味しい、ありがとうシャーロット」 「うふふっ」 新婚のように仲良くじゃれ合う二人。 その様子を目の前で見せつけられた私の血管は、切れそうなほど浮き出ているに違いない。「おい、おまえたち、いい加減にしろよ」 龍がヘンリー達を睨み凄んだ。「いいから」 私が制すると、龍は納得していないように顔を歪め、口をつぐんだ。 これが最近のやり取りの定番だ。 幾度となく私の目の前でいちゃつくヘンリーとシャーロットに、龍の堪忍袋の緒が切れたのが昨日。 それまでも幾度となく二人に向け、注意はしていた。 それでもやめない二人に、龍がとうとうキレた。 ヘンリーに殴りかかろうとした龍を私は止めた。 そんなことしたからって、何も変わらない。ヘンリーの気持ちが変わることはないとわかっているから。 なんでこんなことになってしまったのか、未だにわからないけれど。 私はもう疲れていた。 ヘンリーのことがわからなくて、彼のことをあきらめようとしている自分がいる。 あんなに私のことを好いてくれていたヘンリーは、もういない。 もう元には戻れない……なぜかそんな気がするのだ。「龍、行こう」 私は立ち上がると、居間を出ていく。「お嬢、どこへ?」 龍に問われ、ふと考える。 とくに目的があったわけではない。ただ、ここから
最終更新日 : 2025-08-10 続きを読む