彼はさっき悠良の行動に驚かされた。彼女が大胆で心配りもできる人間だということは分かっていたし、普段はとても静かに見える。だが、まさか本当に銃を撃つような度胸があるとは思ってもみなかった。それに、あの銃の腕前はどこで学んだのか。考えるべきことはいくつもあった。だが今は彼女を問い詰める時ではない。まずは気持ちを落ち着かせる必要がある。悠良は小さく首を振り、機械的な声でつぶやいた。「そ、それより......と、鳥井さんは?」「皆無事だ。誰も怪我してない。悠良はよくやった。でも次は絶対にこんな無茶をしないでくれ。どれだけ危険だったか分かってるか?」彼は悠良の手が、銃のような冷たいものに触れることを望んではいなかった。伶は彼女を抱き寄せ、子どもをあやすように背中を優しくぽんぽんと叩いた。そこへ警察が近づき、悠良に問いかける。「お嬢さん、以前こちらの方面と関わったことがあるのですか?それとも同業者ですか?」伶は、今の悠良が答えられる状態ではないと分かっていたので、代わりに答えた。「いいえ、ただの一般市民です。聞きたいことがあるなら、彼女の精神状態が安定してからそちらに伺ってもいいでしょうか」「分かりました。実を言えば、我々警察としても小林さんに感謝すべきです。とっさに動かなければ、人命が失われていたかもしれません。上に説明がつかないところでしたよ」伶はただ軽くうなずいた。そこへ光紀も駆けつけてきた。「寒河江社長」「鳥井社長を病院に送れ。俺は悠良をホテルに連れて戻る」「承知しました」伶が悠良を支えて出て行こうとした時、若菜が彼を呼び止めた。「伶......私のことはもう放っておくの?」伶は淡々と答える。「今忙しんだ。だから代わりに光紀が君を病院へ送る」若菜は口を尖らせ、泣き声混じりで、心細さと失望をにじませた。「でも私が欲しいのは、伶なの。伶のそばにいてほしいの」伶はあっさりと言い捨てた。「鳥井社長、我々はただの友人であり、仕事上のパートナーだ。君に付き添う義務も責任もない」先ほど真宙に傷つけられたばかりの若菜は、また彼の言葉に打ちのめされた。頭がぼんやりし、胸が締めつけられるように痛み、息が詰まりそうになる。光紀は今にも倒れそうな彼女に駆け寄り、支えよ
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