考えてみた。 自分の人生について。 これまでのこと。そしてこれからのことを。 * * * 私の人生には、物心ついた時からずっと直希がいた。 初めて会った時のことは覚えていない。でも気が付けば、直希はいつも私の隣にいた。 その頃直希のことを、私はどう思っていたんだろう。 優しい子? 一緒にいて楽しいおともだち? よく分からない。 でもあの日。 私のことを「べっぴんさん」と言ってくれたあの日から、私の中で直希という存在は大きくなっていった。 直希のことを考えると、胸がドキドキした。顔が熱くなった。 直希が私の手を握り、「大好き」と言ってくれた時のことを思い出すと、体中がむずがゆくなった。 そして。 私は直希と結婚した。 二人で駆け落ちして、そこで生まれて初めてキスをした。 あの時のことはよく覚えてる。 私にとってあれは、早く大人になりたいという願望だったんだと思う。 大人がしていることは全部したい、そう思ってた。 そうすれば自分は大人になれるんだ、そう信じていた。 直希のことは好きだった。 男子にいじめられる私を、いつもかばってくれた。 喧嘩で傷だらけになっても、決して逃げなかった。 嬉しかった。 直希は大人ぶる私のことを、いつも褒めてくれた。 だから私は、直希の前ではいつも大人ぶっていた。何でも知ってる振りをした。 そうすればもっと私を好きになってくれる、そう信じていた。 そんな自分勝手な理由で、直希に迷惑をかけてしまった。 直希を泣かせてしまった。 でもあの時。二人で雨宿りをしていた時に感じた安息感は本当だ。 だから私は、直希とキスをした。 直希と結婚すれば、キスすれば、この気持ちはもっと大きくなる。そう思った。 そして、それは本当になった。 私は直希に恋をした。
Last Updated : 2025-11-11 Read more