「ではでは文江さん。血圧測らせてもらいますです」 朝のバイタルチェック。つぐみが見守る中、あおいが直希の祖母、文江に腕帯を巻いて測定する。 あおいが使用している血圧計は、市販の測定器。つぐみは水銀式にこだわっているが、最近の電子計測器でもかなり正確な数値が出るようになっているので、あおいたちが使用する分には構わないと許可を出していた。「はい、終わりましたです。文江さん、今日も健康そのものです」「うふふふっ。ありがとう、あおいちゃん」「うっ……」 つぐみが口を押えてうつむく。「どうしたんですか、つぐみさん」「あ、うん……あおい、立派になったなって思って……」「ええええっ? 血圧測っただけでですか?」「うふふふっ。つぐみちゃん、毎日大変だったものね」 * * * あおいを連れて初めてバイタルチェックに行った日。 この日はつぐみが、各部屋で入居者の血圧を測っていた。 まずは私の動きを見ておきなさい、見て学ぶことも大切だから。 つぐみの言葉にうなずき、あおいはつぐみの動きを観察した。 体温、血圧を手馴れた様子で測っていき、そして前日の排便等を聞いて記入する。その後、体調に変化がないかを確認し、気になったことがあれば記録する。 そしてその間中、ずっと笑顔で接していた。 「じゃああおい、私の血圧、測ってみなさい」「あ……は、はいです!」 昼の休憩時間を利用して、食堂での測定講習が始まった。 腕帯を手に取り、つぐみの方を向く。「朝、私が測ってたの、ちゃんと見てたわよね。その通りにすればいいのよ。6人分の計測を見てたんだから、出来るはずよ。私を入居者さんだと思って、声掛けも忘れないようにね」「は、はいです…&helli
Terakhir Diperbarui : 2025-06-14 Baca selengkapnya