朝食後のラジオ体操が終わると、文江は早々に部屋に戻っていった。 残された栄太郎は、庭の喫煙所で頭を抱えている。「あ、あのその……直希さん、みなさん、それじゃ私、いってきます」「あ、ああ菜乃花ちゃん。何だかごめんね、朝からバタバタしちゃって」「いえ、それはいいんですけど、その……文江さん、大丈夫なんでしょうか」「大丈夫大丈夫。じいちゃんばあちゃん、夫婦歴長いからね。こういうことはよくあるんだ。心配ないよ、菜乃花ちゃんが帰ってくる頃には、またいつもの二人に戻ってるから」「そう、ですか……分かりました。じゃあみなさん、いってきます」「うん、いってらっしゃい」「菜乃花、実行委員、頑張ってね」「はい。つぐみさん、ありがとうございます」 そう言って、菜乃花が高校に向かった。「ふう……」 菜乃花の姿が見えなくなると、直希は大きくため息をついた。「何よ直希、菜乃花が行った途端に」「あ、いや……菜乃花ちゃんは今、色んなことに挑戦しようと頑張ってる。だから余計な心配をかけたくないんだよ。俺、うまいこと言えてたかな」「全く……そんなことだろうと思ったわよ。まあ、菜乃花は大丈夫なんじゃないかしら。あの子、直希の言うことに疑いを持ったりしないから」「そっか、よかった……」「にしても、ちょっと大袈裟じゃないかしら。文江おばさんだって、そんなに引きずる人じゃないでしょ」「だといいんだけど……いや、今回はつぐみの勘、外れてると思うぞ」「そうかしら」「ああ。じいちゃんばあちゃん、確かによく喧嘩するんだけど、俺が間に入ったら、結構簡単に仲直りしてくれてたんだ。それでも駄目だったのは、一回だけで」「それってまさか」
Last Updated : 2025-07-14 Read more