8月31日の夜。 直希とつぐみ、そして菜乃花が食堂に集まっていた。 明日から9月。 菜乃花の新学期に向けて、これからの仕事の割り振りを決める為のミーティングだった。「菜乃花ちゃんにとっては、高校生活最後の二学期。体育祭に文化祭と行事もあって、何より卒業後の進路を決める大切な時期だ。 あおい荘で働いてくれて、正直すごく助かってる。特にこの前、俺が倒れた時には本当、迷惑をかけてしまって」「そうね。そのことに関しては本当、菜乃花に感謝し続けて頂戴よ。勿論、私やあおいにもね」「分かってるって。あんまりいじめるなよ」「あ、でもその……直希さん、元気になられて、本当によかったです」「ありがとう。菜乃花ちゃんは優しいね」「あ、いえ……そんなこと……」「優しくなくて悪かったわね」「いやいや、その突っ込みは来ると思ってたけど、そういう意味じゃないから」「分かってるわよ、ふふっ」「菜乃花ちゃんにとってこれからの数年は、人生で一番大切な時期になる。仕事を手伝ってくれるのは本当に嬉しい。でも今はそれ以上に、これから自分がどうしていきたいのかを、しっかり考える時間を持ってほしいんだ」「はい。ありがとうございます」「菜乃花は将来の夢とか、あるのかしら」「夢……ですか」「ええ。大学に進学するのか、働こうと思ってるのか。専門学校という道もあるわね」「私は、その……頭もよくないし、無理して大学に行っても仕方ないかなって思ってます」「そうなの? 今からでも頑張ったら、まだまだ間に合うと思うけど。それに、大学は勉強だけじゃない。友達も出来ると思うし、新しい発見や出会いもあると思うわよ」「でも私、友達を作るのも苦手だし……大学に行っても、その……今より多くの人たち
Last Updated : 2025-07-04 Read more