第19話 支え 「ちょっ……伊月」「黙ってて、僕の番だから」 薫は積極的な伊月に驚きながら、起きようとするが、押さえつけられてしまった。見た目に反して腕力に自信がある伊月をどうやって止めようか考える。体もキツいはずだ。いくら同意があったとしても、それは媚薬の力によるもの。理性を失ってしまった自分を責めながら、申し訳ないように見つめた。「そんな顔しないで。嬉しかったんだから」「痛いだろ? 休んだ方が……」 その提案はことごとく却下されていく。伊月からしたら自分だけが恥ずかしいと思い込んでいるみたいだ。「同じ所につけてあげるね」 ニヤリと笑うと、まずは首筋から始めていく。皮膚を吸ってみるが、中々くっきりと跡がつかない。薫はキスマークが付きにくい体質のようで、伊月は徐々にムキになっていった。 チュと赤ちゃんのように吸うと、さっきよりは跡が残るようになっていた。それでも納得出来ない伊月は軽く歯を食い込ませ、今までより強く歯型がつくように、強く噛んだ。「いっつ……」「キスマーク付きにくいんだね。だったらこれで僕のものだって印、付けてあげる」「おい……大丈夫なのか?」 意識を逸らそうと話をすり替えようとする。薫が何を言いたいのか、理解した伊月は「夏樹に任せてるから」と言うと、おもむろに貪り始めた。薫が深入りしてはいけないようで、話をぶり返そうとしても、聞き入れてくれない。こうなったら、伊月の好きなようにさせるのが、今は得策なのかもしれないと納得する事にした。 首筋から始まり胸上、脇と沢山の噛み跡を増やしていくと、薫も痛みにようやく慣れてきたようで、顔を歪ませながらも拒絶しないように、伊月を支え続ける。 体を動かすと下半身が痛いようで、フラっと体制を崩す伊月を抱きしめると、耳元に息を吹きかけ、低音で囁いた。「無理しなくていい……大丈夫だから」 ここまでムキになるのは、自分の知らない自分の行為を思い出さないように、上書きしたかったのだろう。不安を見せたくない一心
Terakhir Diperbarui : 2025-06-02 Baca selengkapnya