All Chapters of 花の国の女王様は、『竜の子』な義弟に恋してる ~小さな思いが実るまでの八年間~: Chapter 51

51 Chapters

それから(後)

 ブルーノがドアノブに手をかけたとき、シュテファンの声が背中から追いかけてきた。「私も花の国へ行くぞ!」 「別に行かなくていいよ。お前は花の国が嫌いなんだろ? 無理すんなって」 「いや、それは……あ、そ、そうだ、お前だけ行かせたら、蜂蜜酒を飲んで泥酔して、帝国の恥さらしになるかもしれん! 見張りが必要だから私も行ってやる。分かったな? 絶対に、私も行くからな!」 「見張りなんか必要ないけど、しょうがないなあ。……じゃあさ」 兄の行動を見越していたブルーノは、駄目押しとばかりに部屋の外を自身の親指で示す。「今から父上の部屋に行くんだ。お前も一緒に来てくれよ」 「父上に用でもあるのか?」 「ああ。俺はこれから、今の話を父上にしに行くんだ」 ライナーに対し「我はこれよりそなたを息子と認めたりしない」という絶縁状もどきを送っておきながら、結局はずっとライナーのことを気にし続けた竜帝のことだ。「『花の国の女王陛下がご懐妊』という報告をもらってからこっち、父上はずっとそわそわしてたろ? いざ『ライナーの子が誕生した』って話をしたら、竜の姿で花の国へ飛んでいくかもしれない。だから俺とお前で引き止めたいんだ」 「……私とブルーノで父上を止められるだろうか」 「シュテファンと俺で止められなけりゃ、この世の誰も父上を止められないぜ。とにかく竜の姿を他国に見られるわけにはいかないんだ。父上には何としても正気に戻ってもらわなきゃならん」 「確かにな。分かった」 真面目な表情でうなずくシュテファンとともに歩きながら、ブルーノはくすりと笑う。「四年前に俺たちが花の国へ行ったときは、兄弟三人ともバラバラだったよな」 「あれは……ライナーを止めるために仕方なく出かけたからだ。本来なら花の国になんて行く必要はなかったんだ」 「そう言われたらそうなんだけどさ。だけどわざわざ花の国まで行ったっていうのに、往路は一人で馬車に揺られてたからさ。つまらなかったなあって」 「帰りは私が一緒だったろうが。忘れたのか」 「もちろん覚えてるよ。ライナーがいなくなって暗ーくなるお前の面倒を見てやるのは、ものすごく大変だったからなぁ」 「どの口が言うんだ? お前は花の国から持ちこんだ蜂蜜酒を飲んで、ベロベロになってるだけだったろうが」 「なんだ、ちゃんと覚えてるんだな。へへへ、今
last updateLast Updated : 2025-07-14
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