柊也が倒れて入院し、肝臓腫瘍が見つかったというニュースがすぐに広まり、星羅の携帯での最新ニュースにも表示された。「星羅、彼を見舞いに行くのか?」涼太が尋ねた。「この手術の成功率が低いらしい。佐藤さん親子も病院に駆けつけたそうだ」星羅は娘に尋ねた。「もちこ、行きたい?」もちこはダンスコンテストの動画に夢中で、首を横に振った。「私も行かないわ」星羅は指輪を選びながら言った。「もちこ、9番の指輪、涼太パパに似合うと思わない?」「うん、いいと思う」もちこは答えた。星羅が涼太に指輪をはめようとした時、電話が鳴った。表示された番号を見て、星羅の表情が変わった。「もしもし、柊也のお母様ですか?どうされましたか?」「柊也が手術室に入るのを拒否しています。あなたともちこちゃんにどうしても会いたいと……一度病院へ来ていただけませんか?」年老いた婦人の口調は重かった。「今回の手術はリスクと難易度がともに高く、、成功するかどうかも.....わからないんです……どうか、もちこちゃんの命を繋いだことだけは考えて……一度だけ会いに来てやってください」柊也の母の体調が良くないことを思い出し、星羅は仕方なく頷いた。「わかりました。すぐ行きます。ただし、私ともちこが彼に会うのはがこれで最後です。どうか柊也を説得してください。私たちのことを諦めて、もう追いかけてこないように……」「ええ、必ず」と、柊也の母は言った。星羅は娘を連れて病院へ向かった。手術室前の廊下は、重苦しい雰囲気に包まれていた。ベッドの傍らに座る柊也の母は、やつれた様子だった。その後ろでは、沙耶と莉央が目を赤く腫らして泣いていた。莉央は、星羅たちを見ると、一瞬、憎しみに満ちた目線を向けた後、愛想のいい表情で近づいてきて言った。「もちこちゃん、やっと来たのね!早く榊パパと話してあげて!ずっと待ってたんだから!」「もちこちゃん……」ベッドに横たわる柊也は、弱々しく手を伸ばしながら言った。「パパのところへ……おいで……」もちこは少し迷った後、ベッドに近づいたが、1メートルほど離れたところに立った。「おじさん、私に何か用?」「いい子だ……もっと近くに……パパのそばへ……」柊也は弱々しい声で言った。「お前とママと……写真を撮りたいんだ……いいか……家中のアルバム
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