澄玲は深くは聞かず、こう言った。「こちらでも当たってみるわ。何か分かったら連絡する」星は答えた。「助かるわ。ありがとう」通話を切ったあと、星はさらに侑吾と拓海にも手配し、医師探しを進めさせた。葛西先生ですら、早急な治療を勧めている。仁志の状態は、一刻も早く介入が必要だった。もう、これ以上先延ばしにはできない。数日後。星のもとに、澄玲から電話が入った。「星、精神分野を専門にしている医師を見つけたわ。西洋の名医、ドクター・ドーグの弟子らしいの」澄玲は続ける。「統合失調症や双極性障害、強迫性障害といった精神疾患に、かなり深い見識を持っているみたい。本当はドーグ先生本人を探したかったんだけど、もう何年も前に亡くなっていて……だから弟子に頼るしかなかった。あとで資料を送るから、まずは確認してみて」星は言った。「澄玲、本当にありがとう」澄玲は柔らかく答える。「星にはこれまでたくさん助けてもらってるのに、私は何も返せてなかった。こうして力になれるなら、むしろ嬉しいくらいよ」二人は長年の友人だ。今さら多くを語る必要はなかった。通話を終えたあと、星は送られてきた医師の資料に目を通した。医師の名前はウィンター。典型的な西洋系の美女で、金髪に碧眼。年齢は三十代半ばほどに見える。資料上は特に問題ない。だが星は念のため、彩香に連絡を入れ、徹底的な調査を依頼した。仁志の治療を任せる医師だ。いい加減に決めるわけにはいかない。さらに星は葛西先生にも電話をかけ、ドーグ医師について尋ねた。葛西先生は言った。「確かに多少の付き合いはあったが、もう何年も前に亡くなっている。その弟子についても、何度か顔を合わせたことはあるし、名前も聞いている。西洋ではかなり腕が立つらしいな」少し間を置き、続ける。「だが、そこまで親しいわけじゃない。どうも西洋の連中とは、いまいち話が合わなくてな。その資料をこちらに送ってくれ。陸瀬に見せてみよう。あいつは変わり者でな、条件さえ合えば犬とでも友達になれるような男だ」その直後、電話の向こうから陸瀬先生の怒鳴り声が響いた。「誰が犬だ!お前こそ犬だろうが、家族まとめてな!」葛西先生は鼻で笑った。「家族がいるだけマシだろう。お前は一人だろう
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