月明かりの下、仁志の瞳はまるで星を宿したかのように輝いていて、表情には解けない深い感情が満ちていた。星の胸は、まるで蜂蜜入りの氷水に浸されたように、甘さと熱さが同時に襲ってくる感覚でいっぱいだった。もし……もし仁志の病が治らなかったら、二人は結婚式を挙げられない。最悪の場合、別れることだってあり得る。理性は星に「受け入れちゃダメ」と警告していた。でも、この瞬間、星は何かに心を揺さぶられたかのように、無意識にうなずいてしまった。その反応を見た仁志の微笑みはさらに深くなり、彼女の指にそっと指輪をはめた。空になった手を見て、星は思い出した。そういえば昨夜、仁志は「指輪をメンテに出す」と言って、自分の指輪を持ち去ったんだった。なるほど、今日のプロポーズのためだったのか。その後、仁志は立ち上がり、静かに星の唇にキスをした。プロポーズの後、二人はキャンドルライトのディナーを楽しむ。食事の間、星が尋ねる。「ねぇ、いつヴァイオリン習ったの?今の腕前、数日でマスターしたとは思えないよ」確かに音楽の才能に関しては、星の方が圧倒的に上だ。天才でも、一夜であのレベルには到達できない。仁志の手にある赤ワインのグラスが灯りを受けてきらきら光る。彼は穏やかに答えた。「前回、溝口家に戻って治療していたとき、暇だったから始めたんだ」前回、溝口家に……?星は頭の中で時間を逆算する。もう一年近く前のことだった。星は笑いながら言う。「音、すごく綺麗だよ。本気で習えば、私と互角になるかもね」仁志は首を横に振った。「専門分野には専門の道がある。俺は一般人よりは上手いかもしれない。でもお前の得意分野には、努力しても勝てない」ディナーを終え、二人は家路についた。……その夜、星はふと目を覚ました。無意識に後ろに寄り添うが、隣には誰もいない。目をこらすと、抱きしめてくれるはずの仁志がいない。下に降りて探そうとしたそのとき、足音が響く。星の顔に微かな表情の変化。仁志が戻ってきたのだ。彼女は再び目を閉じ、眠っているふりをする。足音が近づき、ベッドのもう一方が沈み、仁志が横に来る。気のせいかもしれないが、かすかに血の匂いがした気もした。仁志は長い腕を伸ばし、彼女をぎゅっと抱きしめる。翌日、星は周囲に失踪や事故の情報がないか確認したが
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