仁志はもともと体が丈夫で、葛西先生、陸瀬先生、晴彦という三人の腕利きの医師がついていたこともあり、回復もかなり早かった。ただ、傷痕に薬を塗れるのは、傷口がしっかり塞がってからだった。入院中、仁志は薬を塗ったり包帯を替えたりするたびに、何かと理由をつけて星に席を外させていた。傷口が塞がると、包帯を替える必要はなくなった。だが今度は、葛西先生から渡された傷痕を消すための軟膏を塗り始めなければならなかった。初めのうち、仁志は星に隠れて、部屋で一人こっそり薬を塗っていた。退院してからというもの、二人は別々の部屋で眠っていた。仁志の言い分は、同じベッドで寝ると、うっかり体の傷に触れてしまうかもしれないから、というものだった。本当は、彼が自分の傷痕を見せたくないのだと、星はもう気づいていた。けれど、背中にも火傷がある以上、一人ではどうしたって薬を塗れない。そこである日、仁志が一人で薬を塗っている最中に、星は突然扉を開けて入った。彼の体に残る傷痕を目にした瞬間、彼女はその場で立ち尽くした。そしてすぐに涙をこぼした。「私のせいで、あなたはこんな大怪我をしたのよね。仁志、私といると、あなたには悪いことばかり起きるんじゃない?」彼女が泣くのを見て、仁志の目に一瞬、動揺が走った。彼は手にしていた薬を置き、そっと星を抱きしめた。「星、お前がいなかったら、俺はとっくに死んでいた。ここまで生き延びることもできなかったはずだ」仁志の入院中、星は彼がいつ記憶を取り戻したのか、もう尋ねようとはしなかった。琴音の話を聞いて、星には薄々察しがついていた。このことを知らなかった頃なら、ためらうことなく仁志に尋ねられた。でも真実を知ってしまった今、星にはもう聞く勇気がなかった。もし自分の推測が本当に当たっていたなら、仁志がどんな思いであの時期を耐え抜いたのか、想像することすらできなかったからだ。少し前、美咲と寧輝が仁志を見舞いに来た時、星は美咲と二人きりで話をした。美咲は言った。「私も寧輝も、L国を離れる前には仁志の異変に気づかなかった。あなたの推測どおりなら……私たちまで騙し通していたのかもしれない」美咲と寧輝がL国にいた期間は長くなく、しかも四六時中仁志と一緒にいたわけでもない。仁志が本気で隠そうとすれば、そう簡
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