今となっては、このジムに彼の相手になる者など誰もいない。たまに外部から挑戦者がやってくることもあったが、怜央の敵ではなかった。怜央はここで最も若く、そして最も強いボクサーだった。そのうえ、端正な顔立ちと申し分のない肉体を持ち合わせているため、数多くの女たちから熱狂的な人気を集めていた。中には、大金を積んで彼を囲おうと、あの手この手で言い寄ってくる裕福なマダムまでいるほどだ。彼女たちは怜央にすげなくあしらわれても腹を立てるどころか、試合のたびに会場へ足を運び、プレゼントや花束を贈って熱心に応援し続けた。怜央はすでに、このジムの絶対的な看板になりつつあった。だからこそ、他のボクサーたちは彼を激しく妬んでいた。オーナーの娘である結城桃香(ゆうき ももか)も、怜央に惚れ込む女の一人だった。彼女は現在、金融系の大学に通っている。若く美しい彼女は、大学でミスキャンパスに選ばれるほどの容姿を持ち、家柄もよく、おまけに一人娘だった。彼女と結婚できれば、それだけで一気に富裕層の仲間入りを果たし、人生を逆転できるのだ。しかし残念なことに、桃香の目には怜央しか映っておらず、他の男など歯牙にも掛けなかった。そのため、裏でこそこそと怜央に嫌がらせをしたり、汚い手を使って彼を陥れようとしたりする男が後を絶たなかった。だが、怜央もただ黙ってやられるような男ではない。リングの上で、そうした連中を完膚なきまでに叩きのめし、半殺しにしてきたのだ。不満を持つ者たちがオーナーのところへ告げ口に行っても、かえって怜央の強さを高く評価される始末だった。リングの上では、物を言うのは実力だけだ。実力が劣っていれば、殴り殺されたとしても文句は言えない。弱肉強食。それがこの世界の、あまりにも残酷な生存競争の掟なのだ。怜央はファイトマネーを稼ぐようになっても、その金を生活水準の向上には使わず、自らの実力をさらに磨くための投資に回した。実戦で経験を積むことも確かに重要だが、技術的に格上の相手に出会えば、圧倒的な力でねじ伏せられてしまう。上には上がいることを、怜央は痛いほど分かっていたのだ。そのため、彼は稼いだ大金を惜しげもなくつぎ込み、腕利きの専属コーチを雇い入れた。オーナーと桃香がそのことを知ると、ますます怜央を気に入った。オー
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