航平は彩香に訴えかけるような視線を向けた。「彩香さん、絶対に星をこいつへ渡しちゃいけない。こいつは前から星の居場所を知っていたのに、わざと黙っていたんだ。そのせいで私たちは何も知らずに探し回る羽目になった。もしこいつがもっと早く教えていれば、星はこんな目に遭わずに済んだんだ!」そう言って、冷たい目で仁志を強くにらみつける。「溝口さん、君はあまりにも自分勝手すぎる!自分のくだらない独占欲のためだけに、星の安全を犠牲にしたんだぞ!」だが、仁志は航平の顔を見ようともしない。視線は星にしっかりと釘付けになっていた。仁志は彩香が頷くのを待たず、星の膝裏と背中にそっと腕を通し、軽く力を込めて横抱きに抱え上げた。星の柔らかく熱い体が腕の中に収まると、彼女は無意識に涼を求めるように仁志の胸へ顔を寄せる。薄いシャツ越しに、彼女の熱く荒い息が仁志の胸元を焦がした。「溝口さん!」航平の顔色が激しく変わり、一歩踏み出して力ずくで星を取り返そうとする。「星を下ろせ!」仁志は、行く手をふさぐ航平へ、氷のように冷ややかな視線を向けた。「ここで時間を稼いで、彼女の薬が完全に全身へ回り、病院へ運ぶ時間さえなくなる……それでも止めるつもりか?」その絶対的な正論に、航平の目に一瞬ためらいが走る。そのわずかな隙を突き、仁志は航平の横をすり抜け、星を抱えたまま部屋を出た。その足取りは速く、少しも乱れていない。星の意識はすでに朦朧としていた。誰かの腕に抱えられた気配に、彼女は本能的に身をよじり、弱々しい指で仁志の胸を押し返そうとする。仁志は低く穏やかな声で言う。「星野さん、僕だ。今から病院へ連れて行く」その懐かしい声を聞き分けたのか、星の体からすっと抵抗の力が抜ける。熱い額を仁志の肩に預け、息を浅く乱した。彩香はすぐに二人の後を追い、部屋を出る前に航平を振り返った。「鈴木さん、あなたは主催者として残って、宴会の後始末をして。病院に着いたら連絡するから」航平は、星を抱いた仁志が階段の角へ消えるまで、ただ立ち尽くして見つめていた。その目には、抑えきれない激しい嫉妬が渦巻いている。彼は深く息を吸い、胸の内の怒りを必死に押さえ込むと、足早に後を追った。このまま星を仁志の勝手に任せるわけにはいかない。自分が彼女のそばで守らなけれ
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