「ランダリエでしか手に入らない材料もございますゆえ。それに、尊き聖樹であるエマ様が、帝国民に侮られてはなりません! 一国の姫にも匹敵するお輿入れでなければ!」 「ナタリナ様の仰るとおりですわ~!」 スースも、熱のこもった声で同意する。 「先代皇帝のご側室だった聖樹様も、ランダリエの宝飾品で権威を見せつけたと伺っております! ここは何事も万全に!」 気合いと熱意に押されて、エマは彼女達の言うままに頷いた。 エマはいま、仮縫いの法衣に着替え、衣装担当となったスースの質問に答えているところだ。 ナタリナはエマの仮縫いの様子を眺めつつ、分厚い書類に目を通している。 「エマ様。宝飾品については、王妃様と王太子妃様より婚礼祝いを頂いてますから、当面は大丈夫そうですよ」 「うん。お二人は、ブローチとかブレスレットとか、使いやすいものばかり贈って下さったよね」 エマはもう王族の婚約者ではないのに、王妃と王太子妃から贈り物を頂くなんて思わなかった。本当に、ありがたいことだ。 「そういえば、ダリウ殿下からも、文箱と筆記具一式を頂いて、嬉しかったな」 「あの文箱! 表面には、聖樹の印である大樹が描かれてましたわ~!」 スースが楽しそうに答える。 さりげなく宝石が使われていて、とても綺麗な文箱だった。 スースはワクワクしながら、エマを見上げる。 「デイモンド伯は、どのような指輪を贈って下さるのでしょうか?」 結婚指輪は、お互いに準備して式で交換するのが慣わしだ。 エマはルシアンと話し合い、自分の瞳の色を映した宝石を、相手に贈ると決めていた。エマは王太子妃が紹介してくれた宝飾工房に、黄水晶の指輪を注文済みだ。他にも、長年仕えてくれたナタリナへ贈るブローチを、他の工房へ注文している。 「きっとルビーだよ。ルシアン様の瞳は、宝石みたいに綺麗だから」 「それを言うなら、エマ様だって宝石みたいですわ~」 「もうっ」 「フフッ。結婚指輪ですもの。極上のものを選
Mehr lesen