瑛斗side「……もう三十年以上も前の話だったから、華と君が結婚する時は敢えて話さなかったのだがね。実は、神宮寺家と三村家には深い確執があってね。かつて大きなビジネストラブルに見舞われ、なかなか和解ができず、当時には珍しく裁判までに至ったのだよ」「神宮寺家と三村家が裁判……ですか?」「ああ。新規取引先の参入を巡っての対立だった。結局、相手方の不当性が認められ、神宮寺家には一切の非がないとしてお咎めなしとなり、裁判を起こした三村側が裁判費用を全額負担することで決着した。一時は裏で悪質な嫌がらせも受けたが、しばらくするとそれも収まり、私はすべて終わった過去のことだと思っていたんだ……」神宮寺会長は、悔恨の念を滲ませながら静かに言葉を続けている。思ってもみなかった告白に俺は息を呑んだ。「それが、今になって……華と玲が成人してから、一条家と神宮寺家の間に気味の悪い出来事が不気味に続いている。三村君が一条グループの副社長の座に収まったのもそうだ。断ち切ったはずの三村家との関わりが、再び出来てしまった。そして、今の三村家は、神宮寺家ではなく一条家を直接のターゲットにしているように思える。……もしかして、神宮寺家が一条家と婚姻関係を結んだからこそ、奴らの狙いが一条家へとシフトしてしまったのではないかと……。瑛斗君、本当に申し訳ない。すべての根源は、我が家にあるのかもしれないんだ」そう言って、神宮寺会長は俺に対して深々と頭を下げた。今まで親父の口からも、神宮寺家と三村家の間のそんな凄絶なトラブルなど一度も聞いたことはなく、初めて知る歴史に戸惑いを隠せなかったが、同時に胸の中で疑問が芽生える。(いくら激しい損害を受けたとはいえ、三十年も前のビジネス上の遺恨だけで、ここまで執念深く家族全員を巻き込むような陰湿な復讐を仕組むだろうか……)「会長、どうか頭を上げてください……。実は、私の方からもお話ししなければならない重要な事実があります。……以前、電報社が主催したパーティーに招待された際、三村家の方々を順番に紹介されました。その中に……私の父と極めて深い繋がりを持つ人物がいたのです。その人の名は、三村雅(みむら みやび)。電報社会長の息子に嫁ぎましたが、ご主人が病死された後は本家を離れ、別邸で暮らしています。そして彼女は……その別邸で数年間、三村ジョニーと一緒に暮らして
Última atualização : 2026-09-10 Ler mais