いつまでも出会ったころと変わらない恋人同士のままで…… 誰もがかつてはそう信じてやまなかったはずだ。 だがそれも子供ができるまでだ。わたしと空良は真斗を愛し、育児にいそしむあまり正輝と枕を並べる夜は目に見えて少なくなった。 それは空良にしても同じことだったようだ。わたしたち夫婦は互いに愛し合いはしていたものの夜の営みはなくなっていった。「正輝…… 浮気してるんじゃないかしら……」 ふいに空良がそんなことを言い出した。たしかに最近帰りが遅くなったというのはあるが、それはあくまで仕事が忙しいからだと疑うことすらなかった。正輝さんはその頃、会社の社長に就任していた。以前に働いていた会社の上司と共同で起こした小さな会社だったが、社長をしていたその上司はすべて正輝さんに任せると言って引退した。若くして会社を任された正輝さんが仕事が忙しくて奔走しているという話は頷けた。 帰りが遅く、食事も外で済ませることがほとんど。会社に泊まることも多く、家に帰らない日が続く。 空良もまた、浮気を疑いはしたもののそれ以上そのことに踏み込もうとはしなかった。 彼女もまた、仕事に面白さを感じるようになっていた。 子供が産めない体であることを会社に告白した空良は、次々と重要な仕事を与えられるようになった。 これまで、妊活の姿勢を崩していないと判断されていた空良はいつ出産を理由に退職するかわからないと思われていたふしもあり、長期にわたる企画にはあまり参加させられないでいたが、今回の件で会社はもともと実力のある空良にどんどんと仕事をこなしてもらうようになった。あるいは空良に同情して、少しでも多くのプロジェクトに参加させようとした会社の意向があったのかもしれない。 地方の小さな出版社で主に雑務ばかりをこなしていた空良にも、好きに書いてよい記事のスペースが与えられ、正輝さんがどこで誰と浮気をしているのか、気にもとめていない様子だった。その頃のわたしは育児をしながらずっと自宅で家事をこなしていた。外で働いている空良は仕事から帰り、まっさきに真斗の寝顔を確認する。空良と二人で食事をとって、その日一日の出来事を語り合い、子供の世話をする。子供の夜泣きには二人で対応した。 正輝さんが家に居なくてもわたしたちは真斗と三人で一つの家族として成立しており、不満を感じることもなかった。 空良が正輝さんの浮気を疑い
Terakhir Diperbarui : 2025-07-09 Baca selengkapnya