第四十一話 涙の跡 「ちょっと、やめなさい 梅乃!」 大部屋に妓女の声が響く。 「もうすぐ追い出しますので」 梅乃が返事をする。これは大部屋にゴキブリが出ていたのだ。 梅乃はホウキでゴキブリを外に誘導している。 梅乃は虫が好きで捕まえていたが、ゴキブリは苦手だった。 梅乃がホウキで追いやるが、ゴキブリは思った方にいかず、妓女のスペースに走っていく。 「キャー」 妓女の叫び声が響く。 それでも梅乃が追い回すと、ゴキブリは妓女の方へ逃げていった。 「ふぅ……とりあえず逃げたみたいですね♪」 梅乃が汗を拭うポーズをすると、 “ポカンッ ” 妓女は梅乃の頭を叩いた。 「もう……何をするんですか 姐さん……」 梅乃が頭を押さえる。 「「何するんですか」じゃねーだろ! 私の場所に追いやっただけじゃねーか!」 妓女は怒って言うと、 「もう見えなくなったし、大丈夫です」 梅乃が自信満々に言った。 妓女は堪らず、追撃のゲンコツを落とす。 「早く始末しとけよ!」 こう言って妓女は外に出ていった。 「何でだよ~」 梅乃がブツブツと言いながらゴキブリを探していると、「どれどれ……」 そう言って、信濃がゴキブリを探してくれた。 「信濃姐さん……」 梅乃は感激していると、ゴキブリが出てきた。 そこに古峰が捕まえる。
Last Updated : 2025-10-04 Read more