翌朝、海羽は食べ物の香りに包まれて目を覚ました。大きな床から天井までの窓から差し込む陽光が、部屋全体をやわらかな金色に染め上げている。身を起こすと、自分が見知らぬ大きなベッドに横たわっていることに気づいた。身に着けているのは、どこか懐かしい琥珀の香りが残る、ゆったりとした男性用の白いシャツだった。昨夜の記憶が、波のように一気に押し寄せる。あの闇に閉ざされた密室。崩れ落ちる寸前だった絶望。そして......あの男に強く抱き締められたときの、焼けつくような体温と激しい鼓動。理由もなく、頬が熱くなる。部屋を出ると、一輝がオープンキッチンのカウンターに立ち、落ち着いた手つきで朝食を用意していた。スーツは着ていない。シンプルな黒のTシャツ姿で、袖を無造作にまくり上げ、引き締まった前腕がのぞいている。差し込む光が彼の身を包み込み、普段まとっている近寄りがたい冷たさをいくらか和らげていた。彼は彼女が起きたのを見ると、できたてでまだ湯気の立つサンドイッチと、温かい牛乳を彼女の前に置いた。そして、もう一つの書類を、彼女の手元へと滑らせる。海羽が目を落とすと、それは昨夜彼女を密室へ誘い込んだスタッフの詳細な資料と供述書だった。「吐いてくれたよ」一輝の声は淡々としていて、まるでごくありふれた事実を述べているかのようだった。「梅谷隼颯の差し金だ」海羽は供述書を見つめる。そこに並ぶ生々しい文字を追うにつれ、顔色が少しずつ沈んでいく。――やはり、あの連中だ。牛乳の入ったグラスを握る手に、思わず力がこもる。関節が白くなるほどだった。「どう処理する?」一輝は彼女を見つめる。その琥珀色の瞳には、底知れぬ静けさが宿っている。「手伝おうか」その言葉に宿る揺るぎなさを、海羽ははっきりと感じ取った。彼女が一言でも願えば、この男は本当に梅谷家を踏み潰してしまうだろう。けれどもうこれ以上、彼に借りを作りたくはなかった。「自分でやるわ」顔を上げる。血走った瞳の奥には、澄んだ決意が光っていた。「これは私の問題よ」彼は、頑なな彼女を見つめ、怒るどころか低く笑った。無理に止めはしない。ただ、別の書類を彼女の前へと押し出す。それは梅谷家のヨーロッパにおけるすべての事業配置と人
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