Semua Bab 望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした: Bab 211 - Bab 220

228 Bab

7-22 伯爵との別れ

 エントランスまで歩きながらニコラスは伯爵に尋ねた。「伯爵、馬車を回すように言いますか?」「いや、構わなくていい。ここからホテルまでせいぜい徒歩10分ほどの距離だ。懐かしい『ボニート』の町並みを歩いて帰ろうと思っているからな」伯爵はジェニーが亡くなってから一度も、この地を訪れていなかった。その理由は当然……。「それはジェニーを思い出すからですか?」「当たり前だ。だからあの別荘だって手放したのだからな。ここへ来れば、いやでもジェニーのことを思い出してしまう……。だから今まで躊躇っていたのだ。そう言えばジェニーは、あの別荘に咲いているポピーが好きだったな。あんな地味な花の何処がいいのかと思い、理由を尋ねたことがあった」「ジェニーは何と答えたのですか?」「外で逞しく、可憐な花を咲かせている姿が好きだと言っていた。そう言えば、この城にもポピーが飾ってあったな。懐かしいものだ」「ポピーの花はジェニファーがあの別荘まで足を運んで摘んできた花ですよ」すると伯爵が足を止めて、ニコラスを見つめた。「……何だと? ジェニファーがこの花を?」「はい。ジェニーが好きな花だったからだと、シドに伝えたそうです」「そう……だったのか」「伯爵、ジェニファーは……」「言われなくても分かっている!」ニコラスの言葉を塞ぐように、伯爵はきっぱり言った。「先ほども言ったが……本当は分かっていた。ジェニファーがどれだけ気立ての良い娘なのか。ただ……ジェニーがあんなことになって……誰にこの悲しみや怒りをぶつければ良いのか分からなかったのだ……自分でもどうかしていたと思っている」「それなら、先程の発言は撤回してくれるのですね?」「私はもう部外者なのだ。2人のことなのだから、自分たちで決めれば良いだろう。色々言って……悪かったと思っている」ニコラスをじっと見つめる伯爵。「伯爵……」「もう見送りはここまでで結構だ」それは「自分に構うな」と言ってるようにニコラスは聞こえた。「分かりました。なら後は彼に任せます」ニコラスが背後を振り返ると、付き添っていたフットマンがお辞儀をする。「……分かった。もうここへ来ることも……ジョナサンに会うことも無いだろう。元気でな。ニコラス」「はい。伯爵もお元気で」すると伯爵は口元にフッと小さな笑みを浮かべ、フットマンを伴って去って行
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-24
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7-23 悪いタイミング

 自室に戻ったジェニファーは荷造りを始めていた。テイラー侯爵家に来るときに持参してきた服を全てトランクケースにしまうと、クローゼットを開けた。ここには首都『ソレイユ』でシドとポリーが選んでくれて購入した服が吊り下げられている。「中には……もう、私の持参した服は入っていないようね」明日、ジェニファーはこの城を出ると決めている。ニコラスの小切手で購入した物は一切持っていくつもりは無かった。15年前にフォルクマン伯爵家を追い出された時も、買って貰った物を一切持ち帰ることはしていない。「私には持って帰る資格が無いもの。それに一度も袖を通していないし、次にニコラスの再婚相手になる女性にあげて貰えれば……」ジェニファーは言葉を切る。(考えて見れば、そんなはず無いわよね。だって次にニコラスが再婚するのなら、きっと高貴な貴族女性を妻にするはずだから)「ジョナサンを可愛がってくれる女性ならいいけど……」思わずため息をついたとき。—―コンコン不意に扉をノックする音が聞こえた。「あら……誰かしら?」ジェニファーは扉を開けに向かい……目を見開いた。なんと、部屋の前に立っていたのはパトリックだったのだ。「……え?」「やぁ、ジェニファー。君に話があるんだ、ちょっと中に入れて貰えるかな?」「で、ですが……」部屋で2人きりになるのは流石にどうかと思い、躊躇っているとパトリックは言った。「別に何かジェニファーにしようとかは一切考えていないよ。そんなに心配なら部屋の扉を開けておけばいいし」ニコニコと笑顔で話すパトリックをじっと見つめながら考えた。(この部屋は私の部屋では無い……ただの客人でしかない私がパトリック様の入室を拒むなんて出来ないわ。しかもこの方は侯爵家の人で、私よりずっと立場が上なのだから)「分かりました……散らかっておりますが、どうぞ」「ありがとう、ジェニファー。それじゃ部屋の扉は開けておくよ」笑顔のまま、部屋に入るとパトリックは周囲を見渡した。「散らかっているって……衣類の整理でもしていたのかい? もしかしてこの屋敷を出る為に?」パトリックの視線の先には、開け放たれたクローゼットがある。「はい。でももう終わりました」「終わったって……あんなに残っているじゃないか」「いいえ。あれはニコラス様の小切手で買わせて頂いただけで、私の服
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-25
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7-24 問い詰める人々

 ニコラスは青ざめた顔で尋ねた。「ジェニファー、説明して貰えないか? 何故パトリックがこの部屋から出てきた?  それに、そのトランクケースはジェニファーの物では無いのか?」「あの、これは……」何と説明すれば良いか困っていると、その様子に気付いたパトリックがジェニファーに声をかけた。「ジェニファー、僕の方から兄上に話をさせて貰えないかな? 頼む」「え……? 分かりました……。ではお願いします」「ありがとう」パトリックは笑顔でジェニファーに礼を述べる。それがニコラスは気に入らず、苛ついた様子で尋ねた。「それでは、パトリック。説明してくれ。何故、お前はジェニファーの部屋から出てきた。一体ここで何をしていたのだ?」「話し合いの場でジェニファーは伯爵に心無い言葉をぶつけられたせいで部屋を飛び出して行きましたよね? 心配だったから追いかけたんですよ。廊下でジェニファーを見つけて話をしているとへ母が現れてジェニファーに失礼な態度を取ったのです。そこで話を切り上げて母を連れて部屋に戻ったんです。その後母が少し席を外したのでジェニファーに謝罪するため部屋を訪ねると、荷造りを終えた彼女が出迎えてくれたというわけですよ」流暢に説明するパトリック。「それでは何故、お前が彼女のトランクケースを持っているんだ? まさかとは思うが、ジェニファー。今すぐ、ここを出て行くつもりなのか?」尋ねるニコラスの表情があまりにも悲し気で、ジェニファーは驚いてしまった。(まさか、ニコラスは私が居なくなることを悲しんでいるの……?)「ニコラス様……私……」ジェニファーが口を開きかけた時。「誰が、今ここを出て行くというのかしら?」突然廊下に女性の声が響き渡った。ジェニファーとニコラスは驚いて振り向き、パトリックは心の中で舌打ちした。イボンヌが城に戻ってきたのだ。(まずいぞ。もう戻って来るなんて思わなかった。しかもよりにもよって今の話を聞かれてしまったなんて……! クソッ! タイミングが悪すぎだ!)パトリックは自信のタイミングの悪さを呪った。「パトリック、一体誰がここを出て行くつもりなのかしら?」ツカツカと近付いて来るイボンヌ。「っ!」するとニコラスがイボンヌの前に立ち塞がった。「ニコラス……一体何のつもりなのかしら?」邪魔をされたイボンヌの眉が吊り上がる。「
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-26
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7-25 イボンヌの提案

「何よ……ちょっと外の空気を吸いに行っただけでしょう? それの何処が悪いのよ?」自分の企みを知られないように何食わぬ顔で答えるイボンヌ。「ですが、俺は客室にいるように言いましたよね? 外の空気が吸いたければ窓を開ければ良いだけのことです」「はぁ!? ニコラスッ! 貴方は私たちに出歩く権利すら与えないというの!? 冗談じゃないわよ!」イボンヌが苛立ちながら反論する。「大事な話が終わるまで、部屋で待っていて貰おうと思っただけです。第一、こちらに何の連絡もなく勝手にいらしたのはどこのどなたです?」「クッ……」「……」悔しそうにイボンヌは唇を噛みしめ、パトリックは口を閉ざしている。「パトリック! 黙っていないで何とか言いなさい!」その態度に我慢できなくなったイボンヌはヒステリックに喚いた。「ですが兄上の言うことも尤もです。先ほども言ったでしょう? 僕たちは招かれざる客だとね。ここは兄上の言うことに従うべきでしたね」「何を言うの! 貴方だって勝手に部屋を抜け出したじゃないの!」「ええ、すみません。つい、好奇心に負けて部屋を抜け出てしまいました。反省しています」照れ笑いしながら謝罪するパトリック。その白々しさにニコラスは苛立ちながら続けた。「それでは2人の話を伺いましょうか? その前に……」ニコラスはジェニファーに視線を移した。「ジェニファー……」「は、はい」「部屋に戻っていてくれ」「え? でも……」ジェニファーは助けを求めるようにパトリックに視線を移す。その視線の意味を察したパトリック。「兄上、ジェニファーは……」「そうね。彼女には部屋に残って貰いましょう」突然イボンヌが口を挟んできた。「あ、あの……」ジェニファーが驚いてイボンヌを見つめると、彼女はニコリと笑う。「ねぇ、ニコラス。これでも私たちは家族でしょう? 久しぶりに会えたことだし、あなたの再婚相手にも会えたわ。このまま私たちを帰すことなんてしないわよね? 折角なのだし、皆で一緒に夕食でも取りましょうよ」イボンヌの提案にパトリックはギョッとした。(冗談じゃない! 今夜殺害計画を立てているのに、ジェニファーも誘って夕食だって!? 何としてでも止めなければ)「母上、いくら何でもそれは図々しいのではありませんか?」「あら? 何を言っているの? 私たちは遠路はる
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-27
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7-26 思惑を胸に

「で、でも私はフォルトマン伯爵から……」「伯爵なら、もう帰った」「え!?」ニコラスの返事に驚くジェニファー。「まぁ! 伯爵はもう帰ったのね?」イボンヌが嬉しそうな声を上げる。けれど、それは当然のことだった。何しろ彼女は今夜ニコラスとジェニファーの殺害計画を立てているからだ。伯爵がいては計画を実行しにくい。そこで、どうやって伯爵を帰らせようか密かに考えていたところだったのだ。しかし、パトリックの方は伯爵が居なくなってしまった話に先ほど以上に焦っていた。(参ったな……伯爵に母の計画を話して、妨害工作に協力してもらおうと思っていたのに。これでは別の方法を考えなくてはならなくなった。念のために伯爵のことを聞いてみるか)「兄上。伯爵は帰ったと言いましたが、家に帰ったのですか?」「いや。家ではなくホテルだ」「ホテルですか? 名前は聞いていますか?」本当はニコラスはジェニファーと話をしたかったのだが、パトリックがいろいろと質問してくるので肝心なジェニファーと話をすることが出来ない。(一体、パトリックは何を考えているんだ?)「いや、名前は聞いていないが……何故、そんなに伯爵の滞在先を知りたがるんだ?」すると早くこの話を切り上げたいイボンヌも会話に入ってきた。「そうよ、パトリック。伯爵のことは、もう関係ないでしょう?」ニコラスとイボンヌから疑わしい目を向けられてパトリックは答えに困っていると、ジェニファーが口を開いた。「分かりました、それでは部屋に戻ります。ニコラス様、今夜の夕食会楽しみにしておりますね」「あ、ああ。又後でな」ニコラスは「後で部屋へ行く」という意味合いで言ったのだが、ジェニファーはそうは取らなかった。「はい、夕食会の時に。皆さん、失礼いたします」それだけ言うとジェニファーは部屋へ入ってしまった。「あ……」ニコラスは引き留めようとしたものの、パトリックとイボンヌが居るので出来なかった。(ジェニファー……)ジェニファーが消えた扉を見つめていると、イボンヌがニコラスに話しかけてきた。「さて、それではニコラス。当然、私達も今夜はここに宿泊させてもらえるのよね?」「……ええ、使用人に命じて用意するように伝えましょう。それまでは先ほどの部屋で休んでいてください」「分かったわ。それじゃ、行くわよ。パトリック」イボンヌは
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-28
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7-27 手配

 3人と別れた後、ニコラスは執事長カルロスの部屋を訪ねていた。「え? イボンヌ様とパトリック様のお部屋の準備ですか?」「そうだ、今夜2人はここに宿泊する。それに夕食会を開くことにしたので、その準備も頼む」「承知致しました。……ですが、本当にお泊めして宜しいのでしょうか?」カルロスも、当然ニコラスが何度も暗殺の危機に晒されてきたことを知っている。「あれでも一応義理の母親だし、パトリックは腹違いの弟だ。無下に帰すことは出来ないだろう」「確かにそうではありますが……」「供もつけずに、2人だけで来ているしな。だが万一のことを考えて、2人の監視と警備を怠るな」「……はい、ニコラス様」「では頼んだぞ」ニコラスは用件を告げると、その場を後にした——****ニコラスがジョナサンの部屋に戻ると、ポリーとシドが待機していた。「ジョナサンの様子はどうだ?」「はい、まだベッドでお休みです」ポリーがニコラスの問いに答えた。「そうか」ベビーベッドを覗くと、ぐっすり眠ているジョナサンの姿がある。「ニコラス様、伯爵はどうされたのですか?」シドが尋ねる。「伯爵なら、すぐに帰った。馬車を回すか尋ねたが、懐かしい『ボニート』の町並みを歩いて帰ると言ってな」「そうだったのですか? お帰りが遅かったので、てっきり伯爵と話をされていたのかと思っていました」「いや。ジェニファーと話をしようと、彼女の部屋へ行ったんだ。そしたら……」そこで一旦ニコラスは言葉を切る。「ニコラス様? どうされたのです?」「ジェニファーの部屋の前で、パトリックとジェニファーに会ったんだ。2人は丁度部屋から出てきたところだった」「何ですって!?」「え!?」シドとポリーが同時に声を上げる。「しかもジェニファーはここを出ようとしていたし、パトリックが彼女の荷物を持っていた。恐らく、見送ろうとしていたのだろう」「そ、そんな……何故、パトリック様が……」シドが拳を握りしめる。「一体何故、パトリック様はジェニファー様の部屋から出てきたのでしょう? それって、ジェニファー様がお部屋に招き入れたということですよね?」ポリーの顔は青ざめていた。「パトリックの話ではジェニファーが心配で追いかけて話をしていたところにイボンヌが現れて、ジェニファーに失礼な態度を取ったそうだ」「何ですって!
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-29
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7-28 イボンヌ 3

 その頃――客室ではイボンヌがパトリックに問い詰めていた。「パトリック! 一体どういうつもりなの!? 最初に話していた相手……あの娘はジェニファーだったじゃないの! 部屋の案内をしてもらっていたと言っていたけど、本当は知っていたんじゃないの!」「いえ、まさか。そんなはずないじゃないですか。俺は彼女がここの使用人だと思って声をかけたんですよ。大体ジェニファーの姿を見たでしょう? とてもじゃないが、侯爵夫人とは思えない身なりだったじゃないですか」(それでもジェニファーは十分魅力的だったけどな)脳裏にジェニファーの姿を思い描く。「まぁ言われてみれば確かにそうね……。ブラウスにスカートなんて、その辺の平民と何ら変わらない格好だったわ。一体ニコラスは何をしているのかしらね」クックッと、口元に笑みを浮かべながらイボンヌが肩を揺らす。「母上、何かおかしいですか?」「おかしいに決まってるじゃない。仮にも、あの娘は侯爵夫人なのでしょう? それなのに、あんなみすぼらしい服を着ているなんて普通じゃないわ。あれではさぞかし冷遇されてきたに違いない。所詮ジェニーの代用品でしかなかったということね」「……そうでしょうか?」ジェニファーを気にいってるパトリックは、イボンヌの話が面白くない。「大切な存在だったら美しく着飾らせてあげるはずだもの。でも貧しい出身の娘にはお似合いの恰好かもね」今やイボンヌの口から出てくる言葉は、パトリックへの追求ではなくジェニファーの悪口となっていた。楽し気にジェニファーの悪口を言うイボンヌをパトリックはうんざりした様子で眺める。しかも悪口を言っている相手がジェニファーだというのもイヤだった。本当は言い返してやりたい。けれどここでジェニファーの肩を持つような発言をしては、イボンヌに怪しまれて目をつけられてしまう。(やれやれ……。自分の親ながら本当にイヤになってしまう)そこでパトリックは話題を変えることにした。「ところで母上。今夜どのような計画を立てているのか、そろそろ教えて貰えませんか?」「別に貴方が動くことは何も無いわ。だから知らなくていいのよ。大丈夫、全て私に任せておきなさい。今回こそ確実にニコラスを仕留めてあげる。貴方を当主にする為にね?」それは予想外の返事だった。「え? で、でも俺だって計画を知っておくべきではあり
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-30
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7-29 それぞれの思惑

 計画を話そうとしないイボンヌにパトリックは焦っていた。(これはまずいぞ……母の立てた計画の概要が一切分からなければ手の打ちようが無い。然も、今回は今まで以上に本気だ)パトリックはニコラスにもジェニファーにも死なせるつもりは一切無い。その為にはほんの僅かな情報でも手に入れておく必要がある。「そんなこと、言わずに教えてくださいよ。第一計画の内容を知らなかったばかりに僕が不用意な真似をして、巻き添えを食ったらどうするつもりですか?」「何ですって? 不用意な真似って、一体何をするつもりなの!?」イボンヌの眉が吊り上がる。「い、いえ。今のはほんの例えです。例えば夜中に眠れなくて外を出歩いたりとか……お手洗いに行ったりとか、色々ですよ。せめて何時に実行するか位は知っておくべきかと思いまして」「……なるほど、言われて見れば確かにその通りね。分かったわ、なら時間だけ教えてあげる。屋敷を襲撃する時間は23時よ」「え!? 23時ですか? これは少し……早くないですか?」「あら、どうしてそう思うの?」「だって、今までそんなに早い時間は無かったですよね? 大体午前2時から3時頃だったじゃないですか? そんなに早ければ、まだ屋敷の人々は起きているでしょう?」「大丈夫よ。この城は使用人の数も少ないし、警備も手薄だもの。そんなこと貴方が気にする必要無いわよ」「ハハハ。そうですね。分かりました、では母上に任せますよ」(23時だって? 冗談じゃない! これでは母の計画を妨害する計画を立てる時間が無いぞ?)笑顔で返事をするも、内心パトリックは焦るのだった——****――17時半「ニコラス様。城の周辺を皆で見てまわりましたが、今の所不審人物は一切見当たりませんでした。今は他の騎士達が警備に当たっています」見回りを終えたシドが書斎にいるニコラスの元へ戻ってきた。「そうか、御苦労だった。それでイボンヌとパトリックの様子はどうだった?」「はい。2人とも同室だった時は何か話をしていたようですが、個室に案内した後は互いに部屋に閉じこもっています」「そうか、分かった。引き続き2人の監視を続けてくれ」「分かりました。それで……ジェニファー様の件はどうするつもりですか?」遠慮がちに尋ねるシド。「そんなことは決まっている。ジェニファーは絶対に何処にも行かせない。彼女は俺
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-01
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8-1 夕食会 1

――18時半ポリーがジェニファーの部屋を訪ねていた。「ジェニファー様、そのお召し物で夕食会に参加されるのですか?」「え、ええ。……やっぱり着替えが必要だったかしら?」相変わらずジェニファーはブラウスにスカート姿だった。「私とシドさんで選んだジェニファー様の瞳と同じ色合いのバッスルスドレスは気に入りませんでしたか?」そのドレスは沢山試着した中でも一番ジェニファーに良く似合っていたものだった。「まさか! とても気に入っているわ」慌てて首を振るジェニファー。出来ればそのドレス姿をニコラスにも見て貰いたいと思えるほどにジェニファー自身気にいっていた。「だったら何故お召しにならないのです?」「それ……は、私には着る資格が無いから……」自分はここを去るのに、ニコラスのお金で買った服を着るのはどうしても躊躇いがああったのだ。するとポリーが悲しげな顔になる。「資格が無いなんて、そんな悲しい事言わないで下さい。このお部屋にあるドレスは全てジェニファー様の物なのですよ?」「ありがとう、でもいいの。やっぱり私のような者には分不相応だから」(それに、どうせ明日にここを出るのだから。下手に着て未練が残ってしまうのは嫌だもの)「……分かりました。どちらにせよ、もうお着換えする時間もありませんので参りましょう。ですが、分不相応なんて言わないで下さいね? お願いします」ポリーは懇願するように訴える。「分かったわ、ポリー」「では、行きましょう」ジェニファーはポリーの案内でダイニングルームへ向かった――****――その頃。ダイニングルームでは先に席に着いていたニコラスがいて、そこへふらりとパトリックが現れた。「……パトリック様。いらしたのですね?」扉の前に立つシドが不愛想に尋ねた。「ああ、そうだよ。何しろ今夜は兄上の母方の実家で初めての夕食会だろう? 楽しみにしていたからね」笑顔で返事をするパトリック。するとニコラスが声をかけてきた。「来たのか、パトリック。席は何処でもいい、空いている場所に座れ」「分かったよ」笑顔を崩さず、パトリックは空いている席に着席した。「ジェニファーはまだ来ていないのですか?」その言葉にニコラスの中で苛立ちが募る。(何故、パトリックは図々しくジェニファーと呼ぶのだ? 仮にも書類上とはいえ、彼女は俺の妻なのに
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-02
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8-2 夕食会 2

「「……」」まるで夜会にでも出席するかのようなイブニングドレスに姿のイボンヌに、ニコラスもパトリックも言葉を無くす。(うわっ! 母上はすごい格好で出てきたな。 まさかイブニングドレスを用意していたなんて……。やけに荷物が多いとは思ったが、そういうことだったのか)パトリックは苦笑いしながらイボンヌを見つめる。対して眉を顰めるのはニコラス。「これは……随分めかしこんできましたね」嫌味を込めて言ったのだが、イボンヌには通じない。「ええ、当然でしょう? 何しろニコラスが初めて招待してくれた夕食会なのだから」そしてイボンヌはパトリックの隣の席に立つ。「どうぞ、母上」パトリックはすかさず立ち上がると椅子を引いた。「あら、ありがとう。相変わらず気が利くわね。さすが私の息子だわ。椅子を引いてくれる使用人すら用意しない誰かさんとは大違いね」そしてチラリとニコラスを見る。けれど、当然の如くニコラスは動じる気配も見せない。ただ黙って腕組みをしているだけだ。「それよりもまだジェニファーは来ないの? 全く……お客を待たせるとは失礼な人ね。よほど身支度に時間がかかっているのかしら」「……なら、様子を見てきますよ」ニコラスは立ち上がった。実は先程からジェニファーが現れないことに不安を感じていたのだ。夕食会に参加する様に言ったものの、自分に黙ってここを去ってしまったのではないかと考えていたのだ。「それなら俺が……」シドが手を上げたその時、ジェニファーがポリーと共に現れた。「遅くなりまして、申し訳ございません」「ジェニファー……」ジェニファーの姿を見て、ニコラスが安堵の声を漏らす。「ジェニファー様、お待ちしておりました」シドが会釈する。「え、ええ」躊躇いがちに返事をすると、ニコラスが声をかけてきた。「ジェニファー。席に着いてくれ」「はい……」ジェニファーは席に向かい、その後をポリーが続いて椅子を引いた。「どうぞ、ジェニファー様」「ありがとう、ポリー」ジェニファーが着席するとすぐにイボンヌが文句を言う。「ジェニファーさん、客である私たちを待たせるとは一体どういうことかしら? しかも何なの、その恰好は。家族揃っての初めての夕食会なのだから、それ相応の服装で出てくるのが礼儀だと思わないの?」「あ……も、申し訳ございません」頭を下げるジ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-02-03
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