配信ホールには歓声が一気に広がり、社員たちは互いにハイタッチを交わして成果を喜び合った。篠は興奮のあまりステージへ駆け上がり、そのまま美穂をぎゅっと抱きしめる。「美穂、すごすぎる!こんなに早く完売するなんて!しかも大型契約まで!」美穂も軽く抱き返し、穏やかな笑みを浮かべた。だが視線をスクリーンへ戻した瞬間、ほんのわずかに疑念がよぎる。律希に合図し、注文詳細を表示させる。画面を指でスクロールしながら、要求仕様の記述を確認した。【リハビリ動作の補正サポート】、【慢性疾患向け投薬リマインドおよび用量モニタリング】、【地域医療データベースとの連携機能】。いずれも、まだ一般公開していない拡張機能に関わる内容だった。知っているのは開発チームと、ごく一部の提携機関のみ。外部が事前に把握できるはずがない。「柳副社長、この三件の注文番号を控えて」美穂は落ち着いた声で言った。「フォローアップの際は、要件の詳細が当社の拡張仕様と一致しているか重点的に確認して。それから、注文アカウントの登録情報も調べて、異常がないか確認してほしい」律希はすぐに頷く。「了解しました。すぐ調査を手配します。ただ、これだけ注文が集中しているとなると、以前から提携の意向を示していた機関が事前に準備していた可能性もあるのではないでしょうか」美穂は小さく首を振り、再びステージ上の知夏へ視線を向けた。銀色のロボットは静かに立ち、淡い光を湛えた瞳がゆるやかに明滅している。まるで何も知らないかのように。だが美穂の胸には、微かな違和感が残ったままだった。この三件の注文はあまりにもタイミングが良すぎる。要求内容も正確すぎる。単なる取引先の推測というより――まるで、製品の仕様や開発進捗を把握している人物が発注したかのようだった。「手順通りで対応して。異常があればすぐ報告を」美穂は視線を戻し、マイクへ向かって締めくくる。「知夏へのご関心、誠にありがとうございます。今後は生産体制をさらに強化し、できるだけ早く皆さまへお届けできるよう努めます。本日のオンライン発表会は以上となります。ご視聴ありがとうございました」配信が終了しても、会場の熱気はすぐには収まらなかった。篠は興奮した様子で成功の瞬間を繰り返し語り、社員たちも機材の撤収とデータ整理に追われ
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